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元カノが コンビニで    作者: 三ツ星真言
16/25

小悪魔の告白

「30歳までに結婚相手を見つけること。

 それが出来れば、アタシはもうこの部屋に二度と

 来ることはないわ。約束する。

 もし、それができなければ・・・・・」

 そこで、小悪魔はいったん顔を下向けた。

 この沈黙が、めっちゃ怖い。

 小悪魔がキッと顔を上げて、僕に言い放った。

「私と結婚して。それが、無理なら、私と付き合って。」

「・・・・・・・・・」

 僕は唖然となった。聞きたくなかった。

 恐らく僕の眼は点になっていたであろう。

 僕の沈黙をどう感じたかわからなかったが、

小悪魔は続ける。


「 私にとってあなたは初恋の人なの。

  あなたは覚えていないと思うけど、高校の文化祭の

  クラス劇で太っていた私を主人公に豚ズキンちゃんを

 やろうと男子が悪ノリした時、止めてくれたじゃないの。

  私・・・・、すごく嬉しかった。

  高校の時のあなたは今とは違った。

  真面目で明るい優等生でよく学級委員に選ばれていたわよね。

  大学受験しか頭になかったので、私なんか近寄ることはできなかったわ。

  私・・・・、遠くから見ることしかできなかった。

 

  高校を出て、短大生になった私はダイエットに必死に取り組んだの。

  バイト代を全部ジムとエステにつぎ込んだし、メイクもファッションも

 必死に勉強したわ。

  成人式であなたに逢う日のために。

  綺麗になったねって、言ってもらいたくて。

  私、あなたのことが、明のことがずっと好きだったの。」


  僕は、情けないことに言葉が全く出なかった。

  そんなふうに僕のことを想っていたのか。

  そんなことを考えていたのか、信じられなかった。

  確かに、高校の時のこいつはポッチャリだった。

 クラスの男子が言うほど、デブではなかったと思うけど、

成人式で見た時、綺麗になっていたことにはめっちゃ驚いたのは

今でも覚えている。

 振袖姿の女の子が多い中、ビシッと上から下までシブいスーツで

決めていたから、余計目立ったよな。


「ねえ、何か言ってよ。」

 僕の回想は、これで邪魔された。

 流石に、ここまで来て何も言わないようでは男じゃない。

「 霧子、君の気持は嬉しい。

  でも、信じられないのが本音だ。

  君にとって僕は都合の良い遊び相手にしかすぎないと

 思っていたから。

  だから、今すぐ返事はできない。

  考えさせてくれ。」

 これだけしか、言えなかった。

 僕の方こそ、霧子を都合の良い遊び相手としか

見ていなかったことは言えなかった。


「うん、わかった。私のこと、久しぶりに霧子って呼んでもらえたし。

 今日は、大人しく帰るね。」

 霧子はまるで恋する女子高生のように恥ずかしそうに、

帰って行った。


 バタンとドアが閉まった瞬間、僕はソファにバタンと倒れ込むのであった。



 


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