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プロローグ 「第一教育艦隊」出港

実は、続きを書けるかどうかが分からない作品です。

練習もかねて、とりあえず掲載しますので、よかったら御意見、ご感想よろしくお願い致します。

あんまり傷つくようなことは、書かないでくださいね?

 

 201X年5月1日、横須賀港――――――。


 停泊中の10隻の艦が、朝日に照らし出される。

 その姿はとは思えない、雄々しさを放っている。


 第一教育艦隊(通称:一教艦いっきょうかん)司令長官は今回の遠洋航海実習を前に、顔をこわばらせていた。

 一教艦とは、扶桑ふそう軍事ぐんじ女学園じょがくえん大学校だいがっこう附属ふぞく横須賀よこすか海洋かいよう学院がくいん中学校ちゅうがっこう高等こうとう学校がっこう(通称:『扶桑横ふそよこ』)に在籍する訓練空母「ほうおう」を始めとした8隻の学生艦と2隻の教官監督艦によって編制される実習目的の特別艦隊である。

 学生艦は排水量の大きい順に、訓練空母「ほうおう」、教育支援揚陸艦「みうら」、教育支援補給艦「とうや」、訓練対空巡洋艦「あまぎ」、教育汎用駆逐艦「あまぐも」、「なみぐも」、「あらかぜ」、「いわかぜ」の8隻である。

 この8隻は、1930~1955年までに作られたふねの設計図から外観を設計されたものがほとんどのため、最新鋭ガスタービンを積んでいたり、主砲が全自動装填速射砲だったり、CIC(戦闘情報センター)を持っていたりするが、外見上は大戦期前後のものと酷似していると言う面白い特徴がある。

 その8隻に加えて、最新鋭汎用教官監督(駆逐)艦である「あまかぜ」、「はれかぜ」の2隻に総勢278名の教官が座乗し指導、監督にあたる。

 そして計本日7月1日、10隻の艦によって編制される一教艦はアメリカ海軍との交流・も兼ねた遠洋航海を行うため、武器弾薬をにして、横須賀港を出航する。

 乗組んだ生徒の総数は1981名。内、男子生徒8名、女子生徒1973名。

 男子生徒は扶桑横の生徒ではなく、提携校である大和軍事大学校附属横須賀海軍高校(通称:『大和横やまよこ』)の成績優秀生徒で、アメリカ海軍幹部との交流を目的に旗艦「ほうおう」に乗組んでいる。


 そんな約2700名の生徒の長である司令長官も先月の誕生日で18歳、一般的に言えば大学受験を前にした高校生と同じ年であり、実習とは言え一人のにはあまりに重すぎる責任であると思われる。

 しかし司令長官を任命されたからにはその責任を無理をしてでも背負わなければならないという思いが、彼女を支えている。

 だからこそ現在いま、一教艦旗艦「ほうおう」の艦橋ブリッジにいるのだ。

「総員配置につけ、出港準備」

 司令長官は背中が汗で湿るのを感じながら緊張をな胸の内にしまい、凛とした佇まいで見守る。

 「ほうおう」艦長の声に応じ、艦の中があわただしくなる。

 ある者は艦橋で、またある者は機関室で、それぞれが各々の持ち場で出港準備を行う。

 出港準備中は、戦闘中と並び艦内が騒がしく、忙しなくなる時間だ。


 時間が経ち、一教艦旗艦である訓練空母「ほうおう」の出港準備が整う。

 「各部安全確認終了、各部出港準備よしッ!」

 「前方、水上目標無し。航路安全確認よしッ」

 出航用意が完了したことを知らせる報告が、張り詰めた艦橋に響き渡る。

 「ほうおう」艦長は誰にするでもなく頷くと、遂に告げた。

 「舫い放て。手空き総員、右舷甲板に整列」

 「ほうおう」艦長は舫いを解くように指示をした。最後の舫いが放たれるとともに出港である。

 「ラッパ用意ッ!」

 信号員がラッパを構える。

 「ほうおう」艦長は振り向いて、司令の方を向く。

 「司令長官、これより「ほうおう」は出港します」

 「第一教育艦隊各艦の出港、許可します」

 司令長官の許可で遂に「ほうおう」を初めとする一教艦が横須賀港から出港を開始する。

 舫いが最後に一つになる。

 「出港用意ッ!」

 

 パパパパン、パパパパン、パパパパッパパッパパ――――――ッ。

 

 「しゅっこうよ~~~いッ!!」

 艦長の号令に応じる形で、副長ら細かな指示を出す。

 「一番、放てッ!!」

 「曳船、曳航終了。曳航舫い、放て」

 曳船のおかげで、わざわざ岸壁から離す必要はない。

 出港する。

 「両舷前進微速、針路1-0-0」

 「両舷前進微速~、針路1-0-0。ヨーソロー!」

 当直士官が艦長の号令を復唱する。

 「ヨーソロー。両舷前進微速、針路1-0-0。船体、機関、共に問題ありません!」

 司令長官は当直の操舵手の報告に、影でひっそりと胸をなでおろしつつ応じる。

 「手空き総員、帽振れ」

 「手空き総員、帽振れ~ッ!!」

 号令と共に、訓練空母「ほうおう」の飛行甲板では軍楽科生徒による行進曲「軍艦」が演奏される。

 岸壁からは、「がんばって~」や「無事に戻って来いよ~」と言った声がかすかに聞こえてくる。

 遂に一教艦旗艦「ほうおう」が、暁の海にその身を晒すときが来たのだ。

 「ほうおう」以下10隻で構成される一教艦は遂に朝日に照らされ、かつて日本海海戦に勝利をもたらした旧海軍連合艦隊の旗艦「三笠」、ビッグ7にして日本の誇りとも称される」、そして世界最大にして最強の戦艦である」という3隻に見送られ横須賀港を出て真珠湾を目指す。

 いつもならば、乗員のほとんどが騒ぎ出すほどの圧倒的な威圧感と迫力ある重厚感を誇る3隻の記念艦も今日ばかりは、自分らの出航を笑顔で見送ってくれている、そんな風に司令長官は感じていた。

 司令長官は半年弱にわたる遠洋航海のためしばらくの間、見ることはないと思うと日本の誇りであり日本海軍の象徴でもある記念艦3隻に自然と姿勢を正され、敬礼をしてしまうのだった。

 それの姿は、艦橋にいた他の乗員たちの目に映り、艦橋に詰めていた水兵たちもまた司令長官にならい、記念艦へと敬意を示すために敬礼するのだった。

 

 敬礼を止めた司令長官は、号令を下す。

 「これより、原速にて陣形を作りつつ、ハワイはアメリカ合衆国海軍太平洋艦隊総司令部、真珠湾泊地パールハーバーを目指す!」

 「はっ!針路そのまま、両舷前進原速赤黒無し!」

 長官の言葉に応え、艦長は号令をかける。

 「針路そのまま、両舷前進原速赤黒無し、ヨーソロー!」

 当直士官が艦長の号令を復唱して訓練空母「ほうおう」の足を速める。

 それと同時に、僚艦が速度を上げて陣形を組む。

 その姿は、彼女たちもまた大日本帝国海軍の末裔であることをよく表していた。

 

 30年前から続く扶桑横ふそよこの遠洋練習航海は、事前の徹底した教育と生徒の潜在的意識の高さから、未だかつて大きなミスが起きたことはなく、今回もつつがなく遠洋航海は成功裏に終わると思われていた。 

 

 

 

 ……そう、思われていたのである。

 

 

  

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