表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
160/322

160 お菓子くれなきゃいたずらするぞ!

ローレンシアは閃いた。日々の生活には潤いが必要だと。そう言えば前世では丁度この時期にお祭りをしていたと思い出した。ハロウィンなるものが確かあったと。自分ではやった事がない。でもやってる方々は居たのだ。彼らがお祭り騒ぎしているのを見て、なんかやってるなー、という感じだったのだ。しかしだ。こう単調な基礎訓練を繰り返していると何か普段はしない様な事がしたくなってくるのだ。マーガレットの特訓とエールトヘンのお茶会以外ではビルダー氏達とちょっと遊ぶくらいの生活がワンパターンになっていたのだ。しかしそれも仕方がない。訓練の後にはグッスリなのだ。寝る、起きて訓練、寝る、起きて訓練、エールトヘンとお茶会、また訓練、寝る、気付けば朝、なんてことが良くあるのだ。充実はしている。しているのだが、潤いが足りない。足りないのだ。

なのでローレンシアは訓練が始まる前にマーガレットにこう言った。


「お菓子くれなきゃいたずらするぞ!」


突然の言葉にマーガレットは驚き、しかしそこは年長者の貫禄。そろそろ訓練にも飽きてきて他の事もしたくなってきたのか、と考えて答える。


「へぇ、僕にいたずらするの?いいよ?やってみせて?」


あ、しまった、何も考えてない、とローレンシアは焦る。そう、あのお祭りは相手側もハロウィンを知っているからこそ通じる話なのだ。いきなり言っても通じる筈がなかった。それにローレンシアはそこで愕然とする。そういやこの国の祝日やお祝い事をまともに知らないという事に今更気づいた。そうなのだ。屋敷内をうろつくのがほとんどでたまに庭と離れの別邸に向かうくらいしか行動しないローレンシアの世界は狭く、そして情報源もこれまた少ない。そしてカリキュラムをこなすだけの日々。ダンスも覚えれば裁縫だって覚える。色々と能力を伸ばす日々の中、いつの間にかというか生まれてからずっと世間から取り残されている事にようやく気付いたのだ。


「ん?なに?来ないならこっちから行くけれど?」


ローレンシアが愕然としている間、何もしてこないのを不思議に思ったマーガレットがそう言ってニコリと笑いながらローレンシアに迫る。その言葉に自身が呆然としていたのだと気づいて『しまった』と思ったときには既にマーガレットに両手で捕まっていた。


「え、えーと?お手柔らかに?」


ローレンシアはそう言いながらひきつった笑いを浮かべる。正直な話、幼児のひきつった笑いなど判別できるのかと言えば難しいがどうか伝わって欲しいと願うローレンシア。マーガレットは勿論笑顔のまま。


「じゃあいくよ?」


そういってマーガレットは回転しだし、時にはローレンシアを高く持ち上げた。慣れない事に戸惑いながらもたまには良いかと思うローレンシア。普段とは違う振り回される感覚もこれはこれで、と思っていると。

マーガレットが更に回転しだした。独楽の様に回るだけでなく縦にも。今までは言ってしまえばフィギュスケート。3回転アクセルだとかを楽しめたのだが、マーガレットが始めたのは側転やバク転だ。いや、手を地面についていないから側宙やバク宙になるがマーガレットの手はローレンシアの脇をがっしりと掴んでいるから当然だ。


「お?おお??」


などと良くわからない叫び声を上げながら上下左右様々な方向へ振られ、ローレンシアと向かい合っているマーガレットも同じ状況になっているので雑に扱われているわけでもなく、しかし慣れなさ過ぎている感覚にローレンシアは目を白黒させてしまう。まるで宇宙飛行士の訓練の様にグルグルと回されるローレンシアはどうしたらいいのか分からないながらも、マーガレットの身体能力に舌を巻く。しかも気づいてみればマーガレットの突然の派手な訓練に興味を示したウルフやビルダー氏がマーガレットに協力して足場になったりしているのだ。ビルダー氏の足や手を踏み台に高く回転してみたり、高く上がった所で同じ様に飛び上がったウルフを足場に三角飛びの様に方向を変えたり、そしてマーガレットの腰を掴んだビルダー氏が頭の上で槍を振り回す様に回したりとノリにノッているのだが、そのマーガレットに捕まれているローレンシアはジャイントスイングをされている様になっている。いや、善し見でメリーゴーランドの様だと考えるのだ、と思ってみても振り回される現状に変わりなく、ようやくビルダー氏がマーガレットを縦回転で放物線を描く様に投げ飛ばした後に一息つける状況になった。

三半規管が、目の前がー、とフラフラの頭で考えているとマーガレットがジッとローレンシアを眺めているのに気付いたが、すぐにマーガレットはニコリと笑って顔を余所に向けた。向けた先にはエールトヘンが居て二人で何やら含みのある顔で頷き合っていたのだがそんな事など気づかずにフラフラの頭でビルダー氏やウルフに『後で覚えてろ』とばかりにローレンシアは睨むが幼児に睨まれても怖くないビルダー氏達は逆に笑みを返してくる始末。ウルフが笑みを返すと犬歯剥き出しで逆に怖いのだが。


「さて、どうしていたずらしようと思ったのかな?」


マーガレットはそう話し出した。するとローレンシアは、


「よくぞ聞いてくれた!」


とそれまでの事はすっぱり忘れて即答し、どうも最近潤いが足りないのではないかと不満を述べた。それで前世で行われていたお祭りを思い出して、『お菓子をくれなきゃいたずらするぞ』とそんなノリで言ってみたのだと、また振り回されてはかなわないとビクビクしながら説明した。


「ふーん。そんなお祭りがあるの。相手にお菓子を要求するって変わってるね。」


「そうじゃの。だから前世ではやった事がない。だからこそ!今ここでやってみたいのじゃ。」


訓練でのストレス発散にはそれもアリかとマーガレットは考えながら頷きローレンシアにこう返す。


「それで?お菓子をくれないとどんないたずらやるの?」


「それは・・・、その。一応お祭りじゃと知り合いの所に貰いに行くからお菓子は貰えるんじゃよ。先に取りに行くって伝えてあるから。」


「じゃあいたずらはしない前提なのね。でも皆、そんな習慣がないからさっきの一言を言ってしまえば悪戯しなきゃいけなくなるわよ?」


「うっ・・・。それはまぁ、考え無しじゃった・・・」


「それに真面目に受け答えると『では料理長に何か作らせましょう』で終わるわよ?アンジェラ辺りならお茶の時間までお待ちくださいとか平気で言いそう。」


「そうじゃな・・・」


ショボーンと項垂れるローレンシアにローラが話しかける。


「お嬢様。やってみれば良いじゃないですか。何事も経験です。ほら、骨は拾ってくださりますって。エールトヘン様が。」


「いつも他人頼みじゃの!」


「ええ。私はしがないメイド。お嬢様の望む通りになる様に行動するだけです。それに言い方ですか。しっかりエールトヘン様がサポートしてくださいますって。」


「受け答えは一流じゃな。それに前回の事を少し引っ張りすぎじゃ。して本音は?」


「お嬢様。便乗犯というものはお知りですか?」


「なるほどの・・・」


「ですからまずは多少のユーモアを解する方の所へ行って試してみましょう。」


「増々なるほどの。それでローラは用事も済ませるという事か。」


「その通りです。さすがお嬢様。いえ、ここはあえて『さす嬢』と言いましょう。」


「なんか恥ずかしいから止めて。」


「いえいえ、そう仰らずに。何事も日頃からアピールしてこそ定着するものです。」


「だから止めてって!なんかする度に『さす嬢』とかそれ絶対嫌味じゃろ。」


「さすがお嬢様。いえ、さす嬢。そこに気づくとは。」


「な?嫌味にしか聞こえんじゃろ?ローラが言うと。」


「さす嬢!良くお分かりで!」


「もう良い・・・。それよりいたずらか・・・。いたずらなんかあまりしないから思いつかんのぅ・・・」


「・・・」


「どうした?ローラ。いきなり黙って。」


「いえ、そんな。さすがお嬢様!だからこそです。もっとイマジネーションを膨らませて想像力豊かにする為にも色々な事をすべきなのです。ほら。お嬢様。イマジネーションです。お嬢様の場合はシェリーに何か良い事してあげようと思ってみたら良いかもしれませんよ。」


「さらりと酷い事言うな!ワシも少しは反省しておる。それでも、そうか。いたずらかー。」


ローレンシアが乗り気な為に誘導されてしまっているのを見てマーガレットが窘める。


「ローレンシア。それでどうするの?そのお祭りの様な事はやるの?」


「勿論じゃ。潤い!今、世界は潤いを求めておる!」


そう言ってローレンシアはローラとエールトヘンを連れて出かけた。



「お菓子くれなきゃいたずらするぞ!」


「まあ、ローレンシア。何、私に甘えたいの?仕方ないわね。」


「すいませんでした!」


エレナ夫人はそう言いながら授乳しようとしたのでローレンシアは慌てて逃げ出した。エールトヘンが残って事情を説明しているのを視界の端に捉えながらローレンシアはローラとそそくさと今の出来事は忘れて次へと向かった。求めていたのはその潤いではないと心に刻みながら。


「お菓子くれなきゃいたずらするぞ!」


「お嬢様!最近平和だったのにいきなりですか!お菓子なら料理長に・・・」


「そうではない!そうではないんじゃ!」


「相変わらずの無茶振りですね・・・。仕方ありません・・・。」


「脱ぐな!」


シェリーまで授乳しようとしたので慌ててローレンシアは止めた。なぜそうなるのかと問い詰めてみるとシェリーはこう答えた。


「え?だって料理長のお菓子以外でお嬢様が飲んだり食べたり出来そうなものと言えばこれくらいしか・・・。まぁ、冗談ですけど。」


「そういう所が実にシェリーらしいがの!でも残念!天丼じゃ!」


「天丼?」


「先にお母様がしたぞ。それ。」


「そうですか。ですから反応が早かったんですね。残念です。」


「そもそも出るのか?」


「出ませんけど?冗談だって言ったじゃないですか。もしかして飲みたいんですか?それなら乳母を・・・」


「いや、いい!今は要らん!それより潤いじゃ。潤いが足らんのじゃ。シェリー、なんとかせぇ。」


「だから無茶振りすぎますって、お嬢様。そもそもエールトヘン様に相談されてはどうです?」


「いや、暖かく見守ってくれているから他を当たっているのじゃ。だからシェリー。潤いを足りんのじゃ。・・・って、脱ぐな!」


「でも潤いですよね?」


「そうではないんじゃ。こう、もっとなんというか。」


「なおさら分かりませんよ。やっぱりエールトヘン様あたりに聞くべきじゃないですか?」


「そうか。すまん。邪魔した。また後で。」


「シレッとまた来るとか言わないでください。」


シェリーとそんな会話をしたローレンシアはようやく追いついたエールトヘンを連れて次はマスター・ララの所へ向かった。


「お菓子くれなきゃいたずらするぞ!」


「ああ、丁度良かったです。お嬢様。ここに今しがた完成したばかりのキャンディーがありますが・・・、ってお嬢様どこへ!」


ローレンシアは速攻で逃げ出した。


その後にもう一度、屋敷内でアンジェラ達にも話したが、皆、『お菓子なら料理長に・・・』とか『ではお茶の時間に』などと言うだけでローレンシアの期待するものは出てこなかった。


おかしい、こんなはずでは、と自室で悩むローレンシアを見かけてこんなもので良ければ、と話しかけてきたのは。


「お嬢様。私ので良ければどうぞ。」


などとオタネが自身に実る実を指さして頭を傾けてきたのにはさすがにローレンシアも焦った。


「いや、よい!そんな文字通り身を切るまでしてもらったらこちらが心苦しいわい。」


「そうですか・・・。」


などと言いながらショボンとされてしまうともうローレンシアとしてはこの遊びはここまでかと割り切った時、エールトヘンが話しかけてきた。


「そもそもお嬢様。そのお遊びはどういったものですか?ある程度納得するまで見ておりましたがどうやら気が済んだ様ですので。」


エールトヘンにそう言われてローレンシアはハロウィンについて話し出す。するとエールトヘンは何やらしきりに頷いた後にローレンシアに話しかける。


「なるほど。元々は秋の終わりで収穫の後に話し合いを行って1年を締め、新たな1年に備えるものでしょう。どうやら話の中では時代の移り変わりによりいろいろな者が混ざってしまっている様に思えますが、まず簡単な部分では、企業で言えば決算期における集会という事です。村という単位で言えば村全体の収支を報告する集まりという事です。その時には先祖の霊が帰ってくるというのは、今ある現状を与えてくれた先祖に感謝の念を捧げている姿がまるで故人がそこに現れているかの様に錯覚するからでしょう。またその影響から先祖の事を思い返し、1年を振り返り来年に備えるという習慣にもなっているのかも知れません。これに関しては王国でも同じです。あいにくと新年は王国では建国祭になり初春ですが、1年の報告は秋の終わりから本格的に冬に入る前になります。そのお話の中でも各地の精霊たちが一同に会する為にある場所に集まるという部分があるようですが、これは各領主が今年の収穫を報告する為に王城に集まる事を指すのでしょう。動物などの生贄を捧げるのは、知識を与えてくれた神を宿してくれた先祖の取り分を示していると思われます。自分達は取り分を全部自分達で独占しない。知識を与えてくれて現状の生活が出来る様にしてくれた者への感謝の気持ちは忘れていない、と示す為に行われていると思われます。時折、人間が生贄に捧げられる事もあるという話も加わっていますが罪人の処刑方法ともいえるかも知れません。

悪霊が現れるというのは収穫の時期とはいつもより多くの財産を持っているという事であり、また、必ずしも収穫が得られるとは限りませんので、失敗した者達がどこかに居る可能性があり、その者達は他者の財産を奪わないと生きていけない可能性があります。そうすると悪い考えに憑りつかれた者達が収穫の終わった場所の近くをうろつき、奪おうとしてくるのでそれに警戒する必要があります。奪われてしまえば今度は自分達が奪う側にならなければ生きていけなくなります。

そしてお嬢様の行った遊びの『お菓子をくれなきゃいたずらするぞ!』というものですが、善悪のどちらからも見る事が出来ます。先程言いました様に、その時期というのは領主などは王城に集まって留守にします。すると領を管理して犯罪を取り締まる体制に隙を生じやすくなります。そうなると警備の目を盗んでは不当に他者から搾取しようとする者が現れ、脅して利益を得ようとします。その遊びはその姿の様にも見えます。祭りという表装を被って公然と相手を脅す事も出来ると言う事でもあります。良い解釈をすれば、収穫時期に不当に利益を得ようとする者達が現れるのを忘れない様に祭りとして習慣化してしまっているとも言えます。そのどちらであるかはその成り立ちを考えなければ分かりません。そして子供にさせるのは仕事で忙しい大人ではその役を演じる事が出来ないので子供にしてもらい、そのお駄賃としてお菓子を与えるという事かも知れません。

しかしこれをもう少し大きな枠組みで見ると、例えば暴力で権力を手中した者が収穫時期に搾取する行為を正当化する為に、あえて祭りという形を行い、かつて自分達がした悪事を時代の移り変わりの中で誤魔化してしまおうとしているのかも知れません。かつてそうやって搾取されている側が、時代が変わり祭りとして行う事で、あなたがたもしたよね、という様な感覚で過去の自身の行いを正当化して自身の罪を誤魔化す事が出来ます。また、現状でまだそういった権力者が治めている場合は、現状の再認識として脅す目的で行われている可能性もあります。どちらにせよ、その様な行いを祭りとして習慣化する事自体が争いの原因に繋がり、また悪事を隠蔽する結果に繋がるのであまり褒められた行いではありません。

そしてその習慣化はその様な行いをする罪悪感などの良心の呵責を抱く可能性を減じさせ、より行いやすくする傾向を生み出します。これは遺伝子上にその行いが良い行いという成功体験で積み重ねられる事で世代継承と共に罪悪感が薄れる様にしているやり方とも言えます。最終的にその様な行為に罪悪感を抱かない者達であふれかえるとすれば、それ以前に行われたある特定の人物や集団の悪事というのは上書きされ罪に問われる事なく逃げる事が出来、場合により、元々被害者であった者達にその悪事の責任を押し付け、まるで自分達が被害者だという振りまで出来る可能性があります。私達の持つ恩恵であり原罪でもある"忘れる"という性質を悪用した悪事が行われている可能性も否定出来ません。」


そんな事を言われたローレンシアはズーンと気が重くなった。してしまった後で聞かされるととても辛い。


「じゃあ、あれか、ワシは悪い事をした、という事かの?」


「断定は出来ませんがその可能性は高いでしょう。例え、相手とそういった遊びをすると取り決めてもそれを習慣化すればやがてそれは遺伝子上に情報として残り、世代継承の際に情報がより未分化な状態になった時に、情報が足りなければ、過去の成功体験の記憶から"してよい"事だと思い込みやすくなり、また、そういった判断能力が薄れているから行ってしまう為に、そうなってしまえば気づけない、そして失敗して初めて気づくという状態になります。簡単に言ってしまえば原画についた傷は修復しなければ写しを取ったら常に同じ傷が残ってしまうという様なものです。行為の習慣化において、世代継承した時にどの様な影響が残るかも考慮した方が生存確率は上がると言えます。それを怠るからこその現状の不都合を抱えているという可能性をまず気づけるような知性の成長をする必要があります。」


「そう、そうじゃの・・・。次からは気を付ける・・・。」


「ええ、そうしてください。まだお嬢様はお若いし間違っても良いのです。それが経験になり、自身が何に間違いやすいかを経験しておけば、今後の対処法も決めやすくなります。そうやって経験を積み成長するまでは旦那様が庇護者であり後見人として守ってくれます。勿論、私共もその為に居るのです。行為し結果を得てそれを経験として判断材料とし次の行為を改善していく。人生とはその繰り返しです。しかし知性が低ければ得られる情報も少なく、自身の関心の持つ事しか情報を得ようとしない為に主観的な判断しかしない様になり、争いの原因になります。ですので、常に物事を知ろうとしてください。出来る限り自身の判断能力を細分化しようとしなければいつまでも主観のままの"自分だけの世界"になってしまいます。その様な世界では成功してしまえば"盗みも合法であるし、暴力で奪う事も合法"なのです。その結果が世界にどう影響を及ぼそうとも自身から見た世界には関係ないと思えるのです。その様な者に育たない様にする為に教育はあり、私達が居ます。どうか、行為する事に臆病にならず、積極的に行為してください。それを正しい方向へと修正し、あるべき姿を指し示すのが先人の役目でもあります。」


「お、おう・・・。」


一つの事からかなり壮大な展開な話になったと思わずローレンシアが思った。そして次からは気を付けるぞ、と決意を新たにしたローレンシアは、潤いがどうだと言っていたことを罪悪感と供にすっぱり忘れてしまった事には気づかなかった。そしてまたローレンシアが来るのではないかと警戒していたシェリーの事も忘れて、結局シェリーは2、3日は警戒したままだったという。


-->時折、人間が生贄に捧げられる事もあるという話も加わっていますが罪人の処刑方法ともいえるかも知れません。

<--wicker man->wicked->不道徳的な、とかそんな意味です。ではこれが野蛮だったかと言うと、日々の中に殺し合いが日常的だった世界で罪を犯したものを罪と一緒に浄火するのを残虐かどうかと考える事になります。こういった者は見せしめとしても行われます。抽象概念を理解出来ないものには形で分からせないと伝わりません。子供を説明する時に、やってはいけない事を教える時にどれだけ説明しても、やれば欲しい結果が得られるからやろうとするのと同じです。後、罰に対する認識も違うので現代の感覚でそのまま量ろうとすれば間違うのでご注意を。そして私の説が正しいかどうかも気を付けてください。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ