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S153 私が間違っていました

ここはパクリです。前半の最初のは昔見た映画の題名が分からないのでストーリーで重要だと思った部分を抜き出し最後の方にアレンジを付けました。

後半は多分オリジナルです。探せば、すべての要素を他の作品から抜き出せるかも知れません。


アルベルト王は暴君だとディアナ王妃は結論付けた。アルベルト王の執政は容赦無く、厳しすぎる罰を与えて民を不当に苦しめている。ディアナはそれを見て嘆き、宰相からも王へ懇願する様に泣き縋られた。昔はもっと優しい王だったのに、とディアナはアルベルトの変わり様に嘆き悲しみ、そして民が苦しんでいる姿に涙した。

しかしそれもすぐに終わる。そう、ディアナはアルベルトを捕らえ王位から降ろして幽閉する事にした。代わりにディアナが女王として君臨し、民の事を慮る治世を送るのだ。それには宰相も賛同し協力を約束してくれた。


そしてクーデターは起きた。将軍と宰相が結託して王と近衛を捕らえて牢に放り込んだのだ。王を捕らえるのは実に簡単で、王に伝える情報をディアナがあえて教えなかった。兵の配置も近衛の警備に隙を作らせ内部に手引きしたので制圧にも困らなかった。兵に取り押さえられる最後まで王はディアナを守ろうとしたが取り押さえられた後に宰相に傅かれる姿を見てアルベルトはようやくその時にディアナの裏切りを知った。

ディアナを信用していたアルベルトはなぜこうも簡単に兵士が王の間に侵入出来たのかをようやく悟る。分からない筈だ。共に王国を守るはずの存在が王を裏切り国を裏切ったのだ。兵に取り押さえられ地面に這いつくばるアルベルトは宰相に傅かれるディアナを見上げて問い詰める。


「なぜ裏切った。何を考えている。」


そのアルベルトの言葉にディアナは答える。


「アルベルト。あなたは昔の聡明さを失い圧政を敷いたわ。これ以上民を苦しめる分けにはいかない。あなたには牢で余生を過ごしてもらいます。」


ディアナの言葉を聞き、アルベルトは一瞬呆然とした後にきっぱりと言い放つ。


「後悔するぞ。」


もっと我儘な言葉が飛び出すかと思っていたが予想しなかったアルベルトの言葉にディアナは少し戸惑いながらも、話す事もないとばかりに一言で片づける。


「連れて行きなさい。」


そうしてアルベルトは地下牢に幽閉され、ディアナが女王となり時が過ぎた。大臣から報告される内容は依然のアルベルトが王をしている時よりも良くなり、民が苦しめられていない様でディアナは安堵した。民が平和に過ごし王国が繁栄し維持されていく。これこそがディアナの、そして王家の求めるものだと確信出来た。


しかし、ある時。


いつもの様に宰相が引き止める声を聞かずにディアナは街の視察に出向いた時に事件は起こった。ディアナを守る衛士の隙間を抜けて民がディアナの前に飛び出してきて嘆願したのだ。


「女王!ディアナ女王!どうして王様を裏切ったのか!王様が悪人を抑え付けてくれていたから国はどうにか維持出来ていたのだ。今や国は悪人がのさばる無法地帯だ!なぜ王様を裏切ったんだ!」


取り押さえられながらもそう言い切った領民はディアナを強く問いただす様に見つめ、その態度に衛士が不満を抱き殴りつけ、そのままどこかへ連れて行った。

突然告げられた発言に愕然としたディアナは世界が変わる感じがした。国が良い状況になっていると報告に来る宰相と大臣はいつも決まって同じ人物で、そして良く考えればかつて居た一部の重臣も王宮内で見た事がなかった。


そうしてディアナは一番信用出来たかつての乳母を通して情報を集めると、自身の思いもよらぬ状況に青ざめた。王が捕らえられた後、王の血縁である公爵家の当主などは混乱に乗じて不意打ちの形で捕らえられ処刑され、それを逃れた者達は領地へと引きこもり王都と縁を切っていた。残ったのは宰相とその派閥で、敵対勢力を見事に排除した宰相派はその権力を使って栄華を誇り、私利私欲の限りを尽くしていた。女王ディアナを戴いて誰も逆らえる者が居ないのだ。そしてディアナはアルベルトや宰相程に政治を知らない。体の良いお飾り人形として扱われている事にディアナはようやく気づいた。しかし更なる情報を得ようとしてもディアナにその情報を伝えた乳母は行方不明になっていた。


気づいたがディアナにはどうする事も出来ない。王を貶め、王を守る近衛を処刑し、王を支えた諸侯を敵に回した。自ら手足を切り捨てたのと同じで、新たに手に入れた手足は頭であるディアナの言う通りに動かず勝手に欲望のままに動く。ディアナが動こうとしても動けず、迂闊に動けばディアナもまた幽閉されるだろう。

しかしディアナの仕出かした事は取返しのつかない事で何もせずには居られなかった。民を苦しめる王を排除したと思ったら、実は民を苦しめる悪人であり民でもある者達を排除していた王を排除して、悪人であり民でもある者達を監視出来ない状況を作り出しのさばらせより多くの民を苦しめる事態を招いてしまった。その罪の重さにディアナはその身が押しつぶされそうだった。


今すぐにでも状況を変えなければと思い、ディアナは王都に残り中立派を主張していた為に被害が少なく状況を静観していた貴族の中でも有力なディナード伯爵を茶会に招いて交渉する事にした。何気ない挨拶から日々の出来事を語った後、人払いした後にディアナはこう言った。


「私が間違っていました。」


その言葉を聞いたディナード伯爵は眉を顰めて、どの様な意図があるのかを確かめる為にディアナの発言を黙って待つ。


「王を排除した事を今では後悔しています。どうか王を助け出す為に力を貸してもらえませんか。」


ディアナの言葉に目を見開いたディナードはじっとディアナを見つめた後、覚悟を決めて発言した。


「分かりました。今のままでは国が危うい。すでに崩壊の直前です。私が諸侯と連絡を取りましょう。」


ディナードがそう答えた時、雪崩れ込む様に兵士が茶会に押し入った。ディアナの行動は逐一宰相に監視され、裏切った侍従が宰相に報告していたのだ。


兵士が雪崩れ込む様子を見たディナードは兵士を見た後にディアナを振り返り睨み付けた。その目には『嵌めたのか』と色濃く出ており、ディアナは慌てて言う。


「違う!私は知りません!」


しかし現に兵士は現れディナードは捕まり縄を掛けられる。そして王妃は捕まらない。状況証拠がそう言っていた。ディナードは憎々しげにディアナを睨み、ディアナは弁解しようとする。


「違うのです!兵士よ!ディナード伯爵を放しなさい!」


そうディアナは命令するが兵士は従わず、そこに宰相が現れた。


「これはいけませんな。女王ともあろう方が国を乱す策略を計画するとは。しばらく謹慎して頂きましょう。とりあえずそこの反逆者を連れていけ。」


ディナードは連れていかれる前にディアナに向けてこう言った。


「あなたが政治に疎い事は良くわかりました。まさかこれ程不容易に動くとは。王が不憫でなりません。では。出来れば天国でお会いしたいものですね。」


そう皮肉を言い残したディナードは逆らう事なく大人しく連れていかれ、ディアナは己の不注意さがまた1人、国にとって大事な人物を殺すのだと愕然とする。どうする事も出来ずにディナードを見送るディアナに宰相は話す。


「ディアナ女王。そんなに女王陛下御自身が裏切った王が大事なら会わせて差し上げますよ。後の事はどうぞ我々にお任せを。」


そしてディアナはアルベルトの向かいの牢に入れられた。どちらも貴族牢で衣食住に不自由する事だけはない。ディアナが連れられてきた時、アルベルトはじっとディアナを見つめていたがその後は興味も抱かずにディアナの方を見る事もない。そのアルベルトを見ながらディアナは己の仕出かした出来事の結末に涙した。



その国は神から権利を与えられた王族が支配していた。王は神から与えられた知識を元に民を導き、民は恩恵をもたらす王へと忠誠を誓う。はずだった。

いつからか民は与えられる恩恵が当然のものと受け止め傲慢になり、戒律に従わずに監視の目を盗んで悪事を行う様になった。捕らえては処刑し、しかしまた新たに現れ、その繰り返しに王は疲弊し、かつての恩恵を喜び真面目に働く民はどこに行ったのかと嘆く。

そんなある日、王は宰相の報告を聞いていたのだが『とうとうここまで来たか』と覚悟を決めた。宰相までも虚偽の報告をして王を騙そうとしたのだ。末端の民から始まり徐々に浸透してきた不誠実な芽はすくすくと成長し既に大きな木となり容易く取り除く事は出来ないと判断した王はかつての神との約束を果たす事にした。

かつて神と約束した時、王は国が悪徳に満ちた時には神から与えられた兵器を用いて国を亡ぼすと神と取り交わした。その約束により神は王へと知識を与え、その恩恵を民は受けた。しかし既に神の望む国の在り方は失われ、約束は果たせなくなった。だから王は手に持つ錫杖を掲げて破滅の宣言をしようと試みた。この錫杖は神から授けられた物で鍵の様なものであり、これを使って兵器を動かし国の大部分を焼き尽くす筈だった。

しかし王が滅びを宣言しても静かなままで何も起こらなかった。おかしい、こんな筈ではと王が疑問を抱くと宰相がニヤリと笑い言った。


「こんな事もあろうかと偽物とすり替えておきました。いやあ、危ない危ない。やはり王よ、あなたは危険人物だ。国を破壊し、民を虐殺しようとしたのですから。」


王はその言葉に耳を疑う。しかし錫杖は常に王が持ち歩き誰の手にも渡していないのだ。唯一寝室を共にする王妃以外には触れるはずもない。そこで王はハッと目を見開き、王妃を見る。すると王妃は王が目を自身に向けた事で話し始める。


「やはり正解でした。宰相はしきりにあなたが自身の判断の為には国を平気で破壊し民ですら虐殺する冷酷な王だと口にしていたのでその錫杖の存在を知ったときに相談したのです。すると宰相はその精巧な偽物を用意してくれたのであなたが寝入った時にすり替えておきました。」


悪びれる事なく告げる王妃に王は『何と言う事か』と頭を抱える。これで国は形だけは保てても悪人を排除出来なくなった。悪人がはびこる国を一度壊し、自分達の手で作らせて自分達がどれ程不誠実にしてきたかを実感させ、そして国に悪人がはびこる事で搾取される民を解放して生き残る機会を与えようとする目論見が全てこの愚かな王妃の所為で消え失せた。国はしばらくは保てるだろう。悪人が利益を貪り潰している間は。やがて潰されて保てなくなった国は争いを激化して滅ぶだろう。そうならない為の対処を王妃は思いつけなかったのだ。


王は連行され投獄された。そして国はもっと悪くなった。神から与えられた兵器を一部でも使える事を知った宰相は、自身の欲望を満たす為に行動し、逆らう者を殺していった。宰相の執政に不満を抱く者は皆、宰相に殺されるか奴隷に落とされ、誰もが宰相のやる事に口を出さなくなった。そして王妃は知る。いつでも王はこう出来たのだと。それをしなかった王は厳しくも慈悲深く民が延々と裏切りどうしようもなくなるまで懸命に民を導こうとしたのだとようやく気付いた。しかし既に遅く、王は処刑され宰相を止める事の出来る者は居ない。王妃は王妃らしく今まで通りに振る舞うしかなく、思わず既に居ない王へと言葉を漏らした。


「私が間違っていました。」



「というような事は起きるのじゃろうか?」


「なるほど。男性と女性では物事の視点が違う為に、男性の見ている世界を知らずに女性の世界の視点で物事を判断して善悪を見誤るという事ですね。」


「概ねそう。」


「同じ役割を担っていてもそれまでに経験してきた結果で得られる情報が変わり、物事を判断する時に見る要素が変わります。同じ物事を観察しても違う分野の専門家では違う部分に注意を向けるのと同じです。そうした役割の中で、社会の中にある職業的な役割とは別に男性と女性という種族的な役割の違いがその職業的な考えの基盤となり同じ職業をしていてもその職業共有の視点にその性別の視点が加えられて違いを生み出します。男性としての役割は秩序を維持し、秩序を乱す者を排除する事、つまりは殺しや強制などの減らす方法で膨れ上がるものを抑えてコントロールするイメージになります。女性の役割はそれに対して子を育て増やす事です。環境が与える制限に対して対抗する為の勢力を維持するイメージになります。ですので個々の状況に対して見る視点が変わり職業共通の認識は共有してもそこに肯定的にも否定的にも別の判断要素が足されます。そしてその違いが細分化して発展に繋がる可能性もあり、多角的な視点で物事を取り扱う様になっていきます。しかし女性的つまりは受動的とされる考え方には保身の要素が色濃く表れやすく、減らされない為に枠組みを崩そうとする方法を選択する場合があります。それ自体は現状を乗り切って状態が改善されるのであれば、乗り切る為に余分な資源の消費をしたとしてもいずれ失った資源は貯蓄し直せるでしょう。ですがその選択が時に、より大きな枠組みを壊しながら小さな枠組みの延命を試みている場合には現状を乗り切っても状態は改善されずに悪化し、更に良くない状況に直面する事になります。

この時、問題となる状況を正しく認識出来ていない為に、正しく判断が出来ず誤った選択をします。見ている状況を表す情報が足りない、若しくはそもそも認識出来ていないのであれば自身の持っている情報をどれだけ正確に分析して判断しても間違う可能性が無くなりません。そしてその事実を知らないなら自身が間違った判断をしている事すら気づけません。そして後になり予想しなかった結果を得て間違った判断をしたと気づきます。

例えば女性をレイプしよとした男が捕まり、涙ながらに自身の罪を悔いたとします。その姿を見てもう一度改心して生活するチャンスを与えようとした結果、もう一度レイプしようとして成功して事件になったとします。実際にはレイプした事実が隠されて犯罪者が罪に問われない状況という最悪の事態が考えられますがここでは考えないとします。この時、その男が本当に悔いていたのかどうかの判断を誤っていると言えます。男性的な考えではそういった後の事を考えて制御出来ない為に先にリスクを排除し罰して対処をします。しかし女性的にはどの様なものも行ってしまえば元に戻らないからどうにか現状を悪くしないで問題を解決する方法を考えます。この時、女性的な方法を試みる時に、その方法を行った時のリスク管理が出来ておらず、しかし大抵はそのリスク管理が出来ないから女性的な方法を選択します。

例えば、社会が不況に陥りその状態から抜け出せなくなったとします。そうなるとそれまでに行ってきた経済活動が間違いだったという結論が出たことになります。するとそれまでの経済活動で得られた財産というのは間違った方法で取得されたものであるから全て没収して再分配するのが正しくなります。以前にも言いましたがそれを嫌うのであれば、そうならない様に社会を作り、そうならない様にルールを守るべきだったのを、怠慢と欲望を満たす為にそうしなかった結果が、結果論的に生じているからです。自分達の出した結果に不満があるならそうしなければ良かっただけの事です。しかしそれでは財産を失い、楽して快楽を得る事が出来ません。するとどう主張するかと言えば、他者の保身に付け込むのです。仮に社会が行き詰まり財閥解体や財産没収が確定するという状況は、先行きの見通しが立たない状況であり、保身を考えるなら少しでも財産を持っていた方が自身の生き残りには有利になります。そうするとこういった主張が行われます。『なぜ明確に罪をしたと断定されない行為で得られた財産を不当に取り上げられなければならないのか』と。するとそれを聞く者達は自身の保身を考えると財産は手元にあった方が安全で、それだけ死ぬ可能性が少なくなる為にそれに賛同しようとします。結果としてその主張を受け入れると、社会を潰してでも荒稼ぎしたとしても罪の証拠を握られなければ社会を潰し荒稼ぎして問題無い状況を容認してしまい、自らの手で自らを弱者として追い詰める結果を得ます。この様に女性的な態度による行為行動は判断能力が足りなければより状況を悪化させます。


そして管理の本質的に問題になる所は、相手が悪人かも知れないから判断基準を公開出来ないという事です。公開した基準は静物として扱われ、その形としての定義に表されない部分に瑕疵を作る事が出来れば最悪は形骸化出来るのです。

例えば監視カメラがあったとします。監視カメラは抑止力の目的で誰にでも目のつく場所に設置される事もありますが、重要な場所ではその配置が隠されます。なぜならカメラの位置がバレたらそのカメラに映らない様に行動する計画を立てる事が出来るからです。勿論カメラの設置に死角を設けなければ良い、と考えるかもしれません。しかしそれはいつまで可能でしょうか。カメラを運用する体制を常に同じにし続ける運用を続けるとどこかに瑕疵を生じさせます。カメラのメンテナンスの時にカメラに細工をされる、カメラの取り換えを口実に侵入される、監視員の隙をついて行動する、監視員を賄賂で買収してカメラを無効化する、などが考えられ、その対処が求められます。そしてカメラの配置がバレているというのであれば、どのカメラを無効化すれば目的を果たす事が出来るかを把握され、最も効率の良い方法を計画される事になります。ですのでカメラの配置箇所は特定されない様にするなども対策として必要とされ、そもそも不正行為をする為に必要な情報を得させない、つまり不正行為を抑止する為の手段を悟らせないというのが管理方法を維持する為に必要になります。行っている管理方法の様式とそれと対になる対策を合わせて問題無い時に正当性が保たれるのです。

例えば一斉に人を集めて筆記試験をしたとします。その際にカンニングは不正行為とされますが、それに対しての対策が出来ないのであれば試験そのものの正当性が失われます。そもそもが口述試験もしくは1人に1人の監視をつける試験の効率の悪さから費用が出せずに集団試験を行うのですからその方法に問題ない事を証明しなければなりません。そして口述試験や1人に1人の監視をつける場合と違い、集団筆記試験は後から答案用紙を採点するからその時間差と監視が不充分な理由でカンニングが行われる瑕疵を作るのですからそれに対処出来なければ有効だとは言えません。


この様に現実に行われる様式はそれと対となす対策を含めて正当性を判断されます。しかし判断基準は隠されるか抽象概念として適宜対応を余儀なくされ、そして明文化されない部分までを判断材料としている場合には言語化されない為に互いの意思疎通を行えない場合があります。そうなると知性が低い側が知性の高い側を判断する時に、自らの知らない判断基準で動いている事に気づかずに自らの持つ判断基準で判断をしてしまいます。そうするとその人物の行動や態度の要因を錯覚する可能性が出ます。

そうして今回の話の様に、善悪の判断を誤ってしまいます。善悪は相対的な判断になります。勿論絶対悪や絶対善と言えるものもありますが、状況に対してどの様に対処するかによって判断がされます。明確に悪だ善だと誰の目から見てもそう判断出来る事自体が非常に少なく、悪人がはびこる場所では同じ罪でも罰は重めにして抑止力として行使しなければ罪の重さが分からず、善人は自身で既に罪の重さを体感出来ているなら軽い罰でも抑止力になります。善人ばかりであった頃なら罰も軽いもので済んだにも関わらず性質が悪化して悪質な人間ばかりになった時に、その状態を判断出来ないとそこに錯覚する可能性が生じます。

かつて過去における罪に対する罰の与え方を前例にして現在における罪に対する罰の与え方が違うという結果を見て、同じでない事に批判をする結果に繋がります。もし現状が悪質な人間が増えその者達の不正行為を抑えるために罰を重くしている事に気づかず、過去に行われた罰の与え方よりも重いからその罰を与える者は厳しい対処をする人物だと判断すると誤った選択をする可能性が生じます。そしてそのキビシイ対処をする人物を批判し黙らせたり若しくは更迭して抑止力を排除してしまえば、抑えるものがなくなった為に制限が掛からずに制限が無くなって自由度を得て、不正行為がその判断をした者の気づかない所で平然と行われる様になります。」


エールトヘンは締めくくる。


「そういった状況を望む悪人は、管理する者の中でも才能のない者をさも有能だと思わせて実際に才能がある者を排除しようとします。未来にある状況そのものをより高い基準から低い基準へと落とすのです。しかし管理そのもの自体はされており、しかしその質が低下しているが、それに気づけない才能の者ばかりが管理しているなら、悪事は平然と気づかれない様に行われ続けます。その際には民衆の保身を煽り、快感原則を利用して、より楽な状態になる様に、罪が軽くなる様に唆します。例えば何の根拠もなく無条件に性善説でも社会は維持できるのだと主張して誘惑をします。しかしその対となる対策はまともに主張されません。なぜならそこに瑕疵があるからこそその主張を飲み込ませたいからです。お嬢様は貴族です。まだ自らを管理出来ない知性の低い者達が、快感原則に誘惑されて快楽を得るためにより多くの権利を主張する事がある事実を知っておく必要があります。子供がお菓子欲しさに出来ない事を『出来る出来る』と言っている状況と同じになっていないかを管理する側は判断する必要があります。充分に知性を高めて自身にもそれが可能だと判断した者とそうでない者の違いを識別出来なければ、ただ単に快楽を満たしたいからさも立派な言葉を重ねているだけの者を、ある程度の知性を以て理路整然と自身に出来る根拠があると判断した者と錯覚して、まともに扱えずに社会を混乱させ周囲を巻き込み道連れにする者に権利を与えてしまう事になります。そうならない為にもまずお嬢様自身が現状の方法とそれはどの様な不正行為が行われる可能性がありどの様な対策が施されるから正当性があるのかを知る必要があります。ですので、さあ、今日も頑張りましょう。」


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