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小田からの贈り物

孤独と刺

作者: 小田虹里

 寒かった。

 ずっと、孤独だった。


 目の前にいるものは敵にしか見えない。

 自分の味方は、自分の中にすらいない。


 俺はきっと、怖かった。

 ひとと群れで、ひとりハグレ者になることを恐れた。



 そんな生活をしていたからか。

 俺はずっと、荒んでいた。


 独りきりだった。



「居場所になってあげる」


 そういって、手を伸ばしてくれたキミ。


 眩しすぎるほどのキミの笑顔を前にしたら、

 余計に自分はけがれている気がして辛くなる。


 俺はその手を取るのをためらいだ。


 あまりにも独りで、笑い方も忘れてしまった。


 どんな顔をして、キミのところに居たらいいんだ。

 どんな顔をして、言葉を発すればいいんだ。


「大丈夫」「希望を持て」「ひとは変われる」


 そう思うのなら、方法を教えてほしかったんだ。


 これ上ひとりでは生きられない。

 そのことは、誰よりも分かっていた。


 だからこそ俺は、その手を取ったんだ。


 誰かに明確な道を作ってもらえないと、歩けない。

 そんなことは、情けないと思う。



 刺々しさのあった俺の刺を怖がらず。

 むしろ、すべての刺を抜いてしまうかのように。


 キミの笑顔は暖かかった。


 雪が溶けて春が近づくかのような。

 そんな、ほっこりとりした気持ちが胸の奥底まで染み渡った。



 ひとのこころを解くものは、ひとの中にあるのかもしれない。

 ひとの温もりほど、暖かいものはないと思えた。


 同じ「人間」という生命だから。

 喧嘩もするが、わかり合うこともできるんだ。



 ひとに生まれてよかったと、思いたい。

 ひとに生まれたことを、誇りに思いたい。



 いつの日か、俺と同じように悩んでいるひとが居たら、

 孤独なひとが居たら、俺は手を差し伸べよう。



 キミが俺を救ってくれたように。

 暖かい連鎖を生み出す為に。



 人として生まれたことを、喜びと信じたい。


 おはようございます、はじめまして。小田虹里と申します。

 久々に短編「詩」……と、呼べるかは分かりませんが、書いてみることに至りました。


 主人公「俺」は、私の中のもうひとつの「顔」になっています。


 ちょうど昨日、この症状が強く出ていたのです。起きたらそうでもなかったんですけど、せっかくだから、書き起こしておこうかな……という、経緯です。


 ひとは、あ本当になかなか誰かの手を取ることって、出来ないと思うのですよ。警戒心が強いひととなれば、それはなおさらのこと。でも、そこで怖がって手を伸ばさないままでいたら、何も変われないと思っています。


 自分が変わる為にも、相手を信じる為にも。


 一歩、踏み出すことが大切なのかな……と、思いました次第です。


 ただ、小田は怖がりです。簡単には、手を差し伸べてもらっても掴めませんし、手を差し伸べることは出来ても、自分自身がしっかりとしていないので、共倒れしてしまうかもしれません。


 しかし、そんなことはまた……自分の中で、許せないんです。


 私は、出来る限りのことはしたい。出来る限りの仲間を助けていきたい。そのため、この主人公「俺」も、「キミ」の手を取ることにしました。それだけでとどまらず、主人公は自らも手を差し伸べていこうとこころに決めます。


 はじめの一歩を踏み出すことは、難しいのかもしれません。見知らぬ世界に足を踏み入れることは、勇気が要ることです。でも、そこで諦めて引き返すのと、思い切って飛び込んでみることでは、得られるものが大きく変わってくると思うのです。

 もちろん、手を取らずに歩いていく。後ろを振り向くことも、いけないことだとは思いません。そうして出来る「道」も、確かにあると思うからです。


 今回は、前を向きたいと思った小田の心情を書いた為、このようにはなりましたが、正解な「道」は、見つけるのが大変そうです。

 ここまでお付き合いくださりありがとうございました。またの作品でも、お会いできますと幸いです。ありがとうございました。


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