並行世界β 4
数日後、昼休み
「翔太ー!メシ食おーぜ」
「おう」
駆が購買で買ったパンを持って菜々と一緒に俺のところに来たので俺達はいつも通り屋上に向かった。そしていつも通りの昼食......ではなかった。
理由は今この場にいるはずの紗矢香がいないのだ。今日は学校も休んで俺達になんの連絡もない。いつもだったら俺達に休む理由をLINEで伝えてくるはずなのに
俺は心配になったので放課後、紗矢香の家に行ってみた。そして俺は呼び鈴を押して出てきた母親に招き入れられた。ってか母親帰ってきてたんだな
「今日は紗矢香さんはどうしたんですか?」
「なんか熱っぽいから休みたいっていったきり部屋から出てこないのよ」
俺はそんなことを聞きながらやけに殺風景なリビングが気になった。しかしそのことは聞かずに俺は紗矢香の部屋の前まで来た
「紗矢香、俺だ。入っていいか?」
そう聞き、しばらくするとガチャっと鍵が開いた音がしたので俺は部屋に入った。しかしそこも殺風景だった。まるで引越しをするみたいに。
部屋にあったのは折りたたみの机とベット、それに服が少しだけしかなかった
「……どうしてきたの?」
「お前が心配だからだよ。どうして今日休んだんだ?」
紗矢香は一瞬ためらいを見せたが少しずつ話し出した
「私、今度ね......引越しするの。アメリカに」
「アメ…リカ......?」
「お父さんの仕事の都合でね」
「でも、紗矢香だけ残れば......」
「無理だよ。私は料理もできないし......だからついていくことに決めたの」
「でも......」
俺には投げかける言葉が見つからなかった。いや、投げかける言葉が無かったんだ。紗矢香の言ってることは正論だ。だから何も言えなかった。そんな俺を見て紗矢香は俺に
「会った時から変わらないね。翔太君は」
そう言って俺にキスをした。その後俺は紗矢香から悪いけどみんなには内緒にしてねと言われ俺は部屋から出された。それからしばらくしてだ。紗矢香がアメリカに行ったのは
数日後......
「ほらほら翔太!みんなも!早く!」
俺達はショッピングに来ている。
「わかったよ!」
俺はアクセサリーショップで紗矢香に似合いそうなアクセサリーを見つけた
「紗矢香、これお前に......あっそうかいないのか」
「まだ忘れられないのか」
「駆……うん。多分一生忘れられないと思う」
そして数十年後、人間の記憶とは残酷で俺は紗矢香のことを忘れた