エピローグは終わらない
「終わらない」とは言っていますが、これにて完結です。
修造・遼子・逸志・千代子・司令官は、同じ病院の中にいた。
健康診断のためだ。全員に異常はなかった。
司令官、スター・ゴールドはPCを持っている。
病院の中なので、インターネットにはつながっていないが……。
遼子と戦った男――「明月変 調」はいまだ集中治療室の中にいた。
大した異常はない、しかし目覚めない。
それだけなら、一般病棟に戻れるはずであった。
しかし「ディメトロン」長期服用、その影響を検証されていたのだ。
「シャバに帰っても実験ですか、やってられませんね。調さんは」
修造が呟く。
「そういうことを言っても仕方が無い、こちらもこちらで検証するだけだ。
明月変 調が持っていたこれ、にどういう意味があるのか」
司令官スター・ゴールドは言う。
彼の手には、シルバーアクセサリーがある。
なぜかUSB端子が付いている。
「これをPCにつないだところ、『内部データをゴーグルにコピーしてください、そうすれば再生可能です』のようなメッセージが出たのだ」
「面倒くさいねー」と、逸志は言う。
「でも、見てみたいです」と千代子は言う。
PCに、アクセサリーとゴーグルをつなげる。
アクセサリー内のデータをゴーグルにコピー、そして映し出されたのは。
遼子の見た、男の来歴だった。
「に、二回も見ていられない……」遼子は目をそらす。
それが終わった後、再生は続く。
「こ、これは表か? 」静冷院が身を乗り出す。
それは、『ディメトロン中毒者』と『アルカミレス覚醒者』の人数であった。
「『全てを見ていた』というのは、こういうことだったのね……」
遼子が呟く。
そして、最後に何者か、からの言葉があった。
「全ては終わり、システムは眠りにつく。
しかし、世界は『遥か』に続く。遼子の『遼』に託したように。
私が失敗することは分かっていた、強く生きろ。
――研究者、あるいは母親より」
スター・ゴールドは言う。
「全て仕組まれたことだったのか……。
あの開発者は、すべて理解してそれで死んだ。」
修造は、スター・ゴールドに語る。
「それにしても、出来すぎています。
また、こんな状況は普通ではありえません。
これをみると、開発者は絶望して死んだはずです。
だとしたら、このメッセージは何故残されたのでしょう」
遼子は言う。
「『デウス・エクス・マキナ』か? 『機械仕掛けの神』がこのメッセージを残した……? お兄ちゃんではなく、本当の神が」
スター・ゴールドは首を振る。
「なんにせよ、事件は解決した。
この現象については、明月変 調の復活を待つしかないな。
調の実験は、「静冷院 冬樹」が行っている。
あいつは調を、これ以上壊しはしないだろう。
だとしたら、待つ価値はある」
「疲れたー、ジュース買って帰りたいよ」
逸志がぼやく。
静冷院 修造は、親戚である「静冷院 冬樹」のもとに帰る。
そして、遼子・千代子・逸志・調はスター・ゴールドの養子になった。
「それじゃあ、帰ろう」
逸志と千代子は、病院を出た途端走り出す。
そのようすを、遼子と修造、司令官は見つめていた。
ここまでお付き合いしてくださり、
本当にありがとうございました!!