モーニングコールは大騒ぎ
「起きないな」
司令官、スター・ゴールド。
彼は子供たち、佐藤 逸志と日立 千代子に言う。
彼らの前には、完全栄養食と、マグカップ。
中にはコーヒーが入っている、子供たちの物はカフェオレにして。
「疲れているのでしょうか……? 」
控えめに意見する千代子。
「僕、起こしてきます! 」
元気に宣言する逸志。
「それなら、宜しく頼む。千代子、逸志は任せた」
スター・ゴールドは逸志と千代子に、カードキーを渡す。
「やった! 」「あ、はい」子供たちはそれぞれ、声を上げた。
「やった、頼まれた! とは言っても、僕さあ、遼子さんと修造さんのどっちが早起きなのか分からないんだよね」
楽しそうな逸志。
「修造さんの方が、しっかりしてそうだけど……? 」
千代子は不安そうだ。
「それじゃあ、そっちから行ってみよう! 修造さんの部屋なら、一緒にゲームをしたしね」
歩き出す逸志。
「逸志、四隅に板を置かせてもらったのにそれでも負けてたよね」
笑う千代子。ゲームは、オセロだったらしい。
「だって、頭がいいんだもん。僕も勉強しなきゃ……」
そう言いつつ、修造の部屋にカードを入れる。
しかし、そこにはだれもいない。
「う、うわあああ!? いない? 失踪してる? 」
パニックになる逸志。
「こ、怖いね……。とりあえず、遼子さんの部屋にも行こう! 」
逸志の手を取り、カードキーを戻す千代子。
戻した瞬間、さっと周りを見渡して、隣に遼子の部屋があるのを見つける。
「あ、開けてみよう! 」
千代子は急いで遼子の部屋を開けた。
とくに悲惨な様子はない。遼子と修造が背中合わせで眠っているだけだ。もちろん、服も着ている。
それでも、千代子と逸志には刺激が強すぎたようだ。
声も出せずにぷるぷると震えている二人。
「……ん? なんだ。逸志と千代子か、今遼子を起こして行く」
修造は、わりと意識がはっきりしているようだ。
「お、おはようございます」
叫ぶのも忘れて、堅苦しくあいさつをする二人。
修造は、そっと遼子の耳元に顔を近づけ――。
「だ、ダメだ、何か!」
逸志が叫ぶ、そして遼子は目を開ける。
「う、うーん。誰……? 」
遼子は完全にぼーっとしている。
そんな遼子の腕をつかみ引っ張り起こす修造。
「メシだ、行くぞ」
そのころ、スター・ゴールドはメールを見ていた。
他愛のない、ブロックしきれないスパムメールに紛れて、二通のメール。
一通は――「DD社」から。
その内容は、こう。
「二番目に古き、空を貫く電波塔。汝は世界を戻せるか。想いの限界を超えよ」
静冷院からは、「自分の所にも、メールが来た」というだけ。
スターはコーヒーを飲みほし、修造と遼子を待つ。
最終決戦が、はじまる。