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セイクリッド・アース  作者: 暁月夜
第1章 旅立ち 出逢いの森~イクルド村
7/11

術と四大術

2013.10.21割り込み投稿

2013.10.22修正

 セイヤは思い出した。術の事を。


 『術』とは、いわゆる魔法の事であり、いわゆる剣技などの(わざ)の事でもある。

 技能や技術・魔法などの能力を一切(いっさい)合切(がっさい)まとめて『術』という。


 ・剣技が主な『剣術』

 ・体術が主な『武術』

 ・魔力を使い属性攻撃が出来る『魔術』

 ・法力を使い属性防御と治癒が出来る『法術』

 ・各種精霊の力を借りる『精霊術』

 ・占いが出来る『占術(せんじゅつ)

 ・鉱物を武器に鍛え、鉱石を装飾品に加工する『加工術』


 これは術の一部であり、代表的なものだけだ。

 他にも多種多様に上るが、技術も技能も能力も、全て纏めて『術』とされる。



そして、セイヤは更に思い出した。

賢者の事を。


 賢者とは、この世界にある『術』と呼ばれる力の中で『四大術』である(ほう)()(けん)()の4つ全てを極めた術者の事で、100年に1人か2人、下手をすると200年に1人くらいの存在である。『極める』といっても、それは魔法協会の判断による。魔法協会によって、極めたと判断されれば、そのランク付けにより『ランクS』の称号を貰う。

 ちなみにランクは『S』を除くと大きく5つあり、『ランクA』~『ランクE』までで、更にそれを細かく分類するとキリが無い。

 セレアはそんな中で、四大術全てにおいて『ランクS』の称号を魔法協会に貰い、賢者として公式に認められているのである。

「……そんな珍しい存在だもんなぁ…隠したくもなるか。

 名前は多分、公式に認められた時点で有名になってると思うけど、これで顔まで売れたら旅しにくいもんな。行く先々で騒がれる。その上、セレアはまだ11。余計に、だ」

 そう言ったセイヤに、セレアは嬉しそうな笑みを浮かべる。

「ご理解頂けて嬉しいです。

 そうです、僕は公式賢者です。セイヤさんの仰る通りなので、出来れば…僕の事は剣術士か法術士、で通して頂けますか?」

「勿論。」

 セイヤは即答である。はえぇなぁ……。

「「有難うございます!」」

 マリアとセレアが同時に頭を下げて、セイヤにお礼を言った。息ピッタリだなぁ。


 そして、

「なぁ、セレアっていつ、賢者の称号を貰ったんだ? (スゲ)ェよなぁその幼さで」

 なんとなく、ふと気になった事を聞く。

「9歳の時です。それまでずっと魔術で『ランクS』が取れなくて……やっと取れたんです」

「やっとって……あのさ、最初に『ランクS』取ったのっていつだ?

9歳で4つとも全部って、凄い事なんだと思うんだけど…1個目はそんな前なのか?」

「法術で5歳の時です。四大術の修業を始めたのは2歳だったので、3年で取得してます」

 なんてことないよ~とでも言うかの様なセレアの言い回し。そんな事は無い、セイヤの言う通り、凄い事なのだ。

「じゃあ、……マリアは? 魔術、やっぱり『ランクS』?」

 何故か恐る恐る聞くセイヤ。なんで怯えんのさ。

「わたしは…魔術が『ランクS』で、剣術が『ランクB』に武術と法術が『ランクC』です」

「なんか…魔術とそれ以外の術のランク差が激しいな…」

「あー、極端なんですよね、わたし……でもこういう人、結構いますよ」

 そりゃそうだ。世の中いろんな人がいるからね。人には得手不得手があるし、1つだけ出来て他が出来ない人なんて、山ほどいるさ。

「セイヤさんはどうなんですか?」

「セレアぁ……こっちの世界に来たばっかりの人間が、ランク付けされてると思うか?」

 思わず白い目でセレアを見る。

「あ」

 ……本当に、セレアって結構間抜けだな……。

「じゃ、じゃあ、大きい街に行ったら、テスト受けましょうよ!」

 あたふたとまるで弁解するかのように言う。そしてセイヤは。

「んな暇ねーよ…早くソルヴィシスに着かないと…」

「あっ、じゃあ、」

 右手で軽く拳を作り、左の掌をぽんっと軽く叩いてマリアが言う。

「ソルヴィシスに着いてからでいいじゃないですか。

 王都でしたら必ず魔法協会があるはずですから。昇格テストは2か月毎にありますし、腕はそれまでの旅で磨いておけばいいんです!

 どうですか?」

「んー…でも…もしも『ランクE』とか『ランク外』とかだったら恥ずかしーしな…」

 俯き加減で情けない顔である。おーい、君は主人公だぞー。もっとシャンとしろよな! あんた3人の中で一番年上でしょう……


 すぱぁん!!!!


「あうっ」

 突然、軽快な音。まるでコントのような……ってマリアがセイヤを殴ってるよ! しかもスリッパで!! ……スリッパ?

「セイヤさん男でしょう!? もっとシャンとして下さい!

 ソルヴィシスまでの道のりは長いんです。よっぽど術者に向いてない人じゃない限り、それだけの期間があればそこそこの実力はつきます。

 だーい丈夫です。この旅の間にわたしとセレアでミッチリしごきますから、最低でも『ランクC』にはいけますよ」

 うわっなんか嫌なニヤけ方! まるで悪だくみをしているかのような……。

 それよりも殴られたセイヤは、じ―――――っとスリッパを見ている。どうも気になるらしい。スリッパが。まぁ、ワタシもだけど。

「あなたの袋に入ってたんですよ」

 セイヤの視線に気付き、マリアは言った。

「俺の袋!?」

 そうなんだよね。マリアはセイヤの袋に手を突っ込み、パッと掴んだ物でセイヤを殴ったんだよね。それがたまたまスリッパだった。でも、スリッパかー…。

 そしてセイヤは自分の袋の中を見る。するとマリアの持ってるスリッパの相方が出てきた。

「な、なんでスリッパが……しかもコレ、ウチのトイレ用のじゃねーか!!

 誰だこんなふざけたもんを俺の袋に入れとく奴は! 親父か玲緒奈(れおな)か祖父さんか!!」

 思わず地面にスリッパを叩きつけた。ぜーはーと肩で息をしている。そんなムキにならなくても……軽い悪戯だろう、きっと。

「入れたのはセイヤさんでしょう? さっき赤い袋から中身をそれに移し替えたんですから」

「え? い、いや、そうじゃなくて……え? でも俺なんで移し替えた時にこれに気付かなかったんだ?」

 最初から入っていたとしたら、袋を出した時点で気付くはずである。スリッパの分、膨らんでいるハズだから。なのに気付かなかった。

 謎である。セイヤは益々混乱した。

「あぁぁぁぁぁぁ!!!! わかんねぇっ! もういい! 行く、行くぞ二人ともッ

 宿屋へレッツゴー!!」

「いいの? 姉様」

「いいんじゃない? 本人がよければそれで」

 開き直って大股で歩いていくセイヤの後ろを、呆れながら2人はついていく。

 まだ、旅は始まったばかりだ。

(あ――――っ、早く帰りてぇぇぇぇっ!!)

 なのに、彼はもうホームシック?



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