主人公はこの彼で
どうやら主人公は、学校帰りのようだ。どこかの高校を着て、どこかの公園のそばを歩いている。彼のあの口調からして、おそらく関東方面出身の人間だろう。
紺のブレザー紺のズボン。ブレザーの左胸のポケットには校章らしき刺繍。ネクタイは紺の記事に細い黄色と深緑の斜めのストライプ。何処にでもあるような制服だ。
カッターシャツの第一ボタンを外し、ネクタイを緩めに締め、着崩している。ワタシも高校時代は全校集会以外ではそんなんだったな。
身長は…175、6センチってところか。結構細身だ。服の上から見る限り、筋肉隆々ではなさそうだ。そして顔だ顔! どれどれ…ちょっと美形かもな…。猫目で前髪染めてるけど…。…これで性格良くて運動神経も良くて頭も良ければモテモテってカンジだが…。まぁ、いいか。そんな事。
ワタシが上からそんな馬鹿な事ばかり考えている間に、主人公は公園の側を通り過ぎ、路地裏へと入っていた。そしてすぐ、何を思ったのか立ち止まる。
(――俺は一体いつ、行けるのだろう…一度は行ってみたいんだけどなぁ……)
あ。主人公、トリップした。
突然、主人公の周りの空間が、ぐにゃっと歪む。驚く間もなく、主人公は歪んだ空間に吸い寄せられ、取り込まれていく。
そしてその空間の中を、漂う。フワフワと。ワタシだったら間違いなく酔うな。吐いちゃうな。
(――――…まさか、俺…)
一瞬、何が起こったのか理解ってない様だったが、直ぐに自分の置かれた状況に主人公は気づいた。自分は、異世界へとトリップしているのだと。結構冷静だね。
あ、そーいやイイ事思いついた。主人公はもうちょっとこの空間漂ってそうだし、今の内に、謎の声やってみよう! ホラ、こういうトリップモノでよくあるヤツ。
さぁ、なんて語ろうか。―――ん? あらまぁ。
『―――――時は満ちた。
我の血を受け継ぐ者よ、帰る時が来たのだ。
我が生まれ、我が育ち生を終えた世界へ。
さあ、我の血を受け継ぐ者よ、己が生まれ育つ筈だった世界を、己の全てで感じるのだ。
己のその瞳に映して来るのだ。世界の動きを。
己のその耳で聴いてくるのだ。世界の音を。
そして今の世界へ戻るのだ。成長した己自身で。
我の血を受け継ぐ者よ、その心、成長させよ。
そして、己自身を、成長させよ』




