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お待たせしました


今回ちょっと短いです


楽しんでいただけると嬉しいです




「ううう……なんでこんなことに…」




舞踏会当日

舞踏会が行われるお城の大きなホールで、涙目で呟いたのはオヴ……ではなくオヴに変装したエフィー

エフィーはオヴがいつも着ている黒の革製のプレストアーマーに同じく黒の細身のパンツとブーツ。プラス、真っ白な鞘に収めたエフィーがいつも愛用している細身のロングソード。綺麗な白い髪は黒髪のカツラで隠してオヴそっくりになっていた




「あら、オブシディアン。ごきげんよう」

突然後ろから聞こえた声に振り向くと、そこには美しく着飾った女性が1人立っていた

(げっ…)

エフィーは内心顔をしかめた。目の前に立つこの女性はエフィーとオヴの級友で、名前をカレンと言った

「うふふ、こんなとこでオブシディアンに会えるなんて嬉しいわ。今日は誰かの警護かしら?」

カレンはそう言ってエフィーの左腕に自身の腕を甘えるように絡めた

(ぎゃーー!!)

エフィーは内心悲鳴を上げると、やんわりカレンの腕を振り払った

そう。カレンはオヴに想いを寄せており、こうして会う度にアピールをしてくるのだが…

「もう…冷たいのね。まあ、そこも素敵よ。…ところで今日はエフィーリアはいないのね?」

カレンはオヴの双子であるエフィーを毛嫌いしているのである。したがってエフィーもカレンが大の苦手である。できればあまり関わりたくはない

実際オヴもカレンは苦手で大して相手にはしていないのだが

「まあいいわ。オブシディアン、後で一緒に踊ってね」

カレンはそう甘えた声で言うと、ウィンクを残して去っていった




カレンから逃れたエフィーがぐったりと脱力していると、またも後ろから声がかかった

「おお、オブシディアン。待たせたな」

「!国王陛下」

後ろに立っていたのは恰幅のいい40代くらいとおぼしき男性――――この国の国王陛下と、精悍な顔つきのエフィーより少し年上であろう青年だった

エフィーは片膝をつくと、王に向き直った

「本日護衛を務めさせていただきます、オブシディアンです。陛下の警護につけるなど身に余る光栄でございます。本日は精一杯務めさせていただきます」

形式通りの言葉を告げると、王は満足そうに頷き、エフィーに立つよう命じた

お言葉に甘えてエフィーが立ち上がると、王は後ろに立っていた青年を示した

「紹介しよう。わしの息子のクラウディウスじゃ」

つまりは…王子

緊張気味に彼を見ると、彼はオヴを見つめながら口を開いた

「クラウディウスだ。今日はよろしく頼む」

見た目に合った低めの落ち着きのある声だった

エフィーは深々と頭を下げると、2人について歩き出した




舞踏会は何事もなく進んでいた

王はホールを見渡せる玉座の椅子に座り、その隣に王子が座り、その反対側の隣にエフィーが立っていた

しばらくすると

「父上、少し外の空気を吸ってきます。席を外しても?」

クラウディウス王子が王にそう訊ねた

王子は王の許可を得ると、バルコニーに向かって歩いていった

「オブシディアン、ついて行ってやってくれ」

「はい」

エフィーは軽く頷くと彼のあとを追った




エフィーがバルコニーに出ると、王子は手すりに凭れて外を見ていた

エフィーはバルコニーの出入口付近に立った

そのまま立っていると、王子が振り向き、エフィーに声をかけた

「なあ」

「はい?」

「ちょっといいか?」

「はい」

エフィーが隣に歩み寄ると、王子はエフィーを見ずに口を開いた

「お前は…」

「はい」

「なぜそんな格好をしているんだ?」

「…は。仰る意味が分かりませんが」

エフィーが彼を見ると、彼は変わらず景色を見ながら続けた

「お前は女だろう」

「!?」

エフィーは突然の言葉に小さく息を呑んだ

「まさか。なぜそうお思いに?」

「勘だ」

「は…」

「だが自信はある」

彼はゆっくりと顔を向けると、問うた

「お前はなぜそんな格好をしている?命令だ、正直に答えろ」

「…」

エフィーがどう答えたものか、と悩んでいた

その時

頭上から声がした




「久しいな、坊主」

腹に響く地鳴りのような声に上を向くと、そこにいたものにエフィーの身体が強張った

それはエフィーが初めて見るいきものだった

てらてらと光る黒い鱗に大きな口。その口の中にはこれまた大きな鋭い牙がずらりと並んでいた。巨大な体に生えた大きな羽はゆっくりと羽ばたいていて、その瞳は美しい、と思うほど鮮やかな真紅をしていた

「…ドラゴン…」

隣に立つ王子の口からぼそり、と声が漏れた

呆気にとられる2人などお構い無しに、突然目の前に現れた大きなドラゴンはじっとエフィーを見つめた




悠々と羽ばたきながらドラゴンは再び口を開いた

「久しいな。今日こそ貴様を殺してやろうと思って来たが…」

そう言ってドラゴンは王子に目を向けた。王子が身を固くして息を呑んだのが分かった

「誰だそいつは?」

2人が答えずにいると、ドラゴンは真紅の瞳を細めてエフィーに向き直った

「まあ、よい。わしが用があるのは貴様だけじゃ」




エフィーは混乱していた

エフィーはドラゴンに会ったことはないのに、このドラゴンは久しいと言った。自分は今オヴの格好をしている。つまりこのドラゴンは自分とオヴを間違えていて、オヴはこのドラゴンと面識がある、ということである

エフィーが混乱している間に、ドラゴンの口ががぱり、と大きく開き、その口内に炎が渦巻き始めた

「ッ…!!」

…まずい…

…このままじゃ…

ドラゴンの口から大きな大きな炎の球が飛び出した

エフィーは王子を庇うように王子の前に立ち、キツく目を瞑った




楽しんでいただけたでしょうか?



次も頑張りますのでよろしくお願いします!!

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