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これは中編になる予定です
楽しんでいただけると嬉しいです
ここは剣と魔法の世界
剣と魔法が人々の生活に根づき、人々が魔物と共存する世界
人々は剣や魔法を駆使して、時に魔物と戦い、時にそれを生業として生活していた
そしてこれは
この世界に生まれたとある双子のお話…
剣と魔法の世界
その世界を構成する国々の1つ
『アルヴァマー王国』
その国のとある貴族の屋敷では…
「オヴのバカーーーーーッ!!」
屋敷全体を揺るがすような大声が屋敷の一室に響きわたった
きいぃぃぃん…と超音波のように響いた声に、その一室にいた青年が耳を塞いだ
「うるさいぞ、エフィー」
その青年――――オヴはその端整な顔をしかめて大声の主である少女――――エフィーを見た
オヴとエフィー。この2人は双子である
オヴは略称で正式な名前はオブシディアン。その名の通り黒曜石のように黒い漆黒の瞳に、瞳と同じ漆黒の髪。中性的な整った顔立ちが相まって見る者にどこか冷たい印象を与えがちな青年である
エフィーも略称で正式な名前はエフィーリア。双子らしくオヴとそっくりな漆黒の瞳に中性的な整った顔立ちだが、髪の色だけは彼と真逆で雪のように白かった。エフィーもオヴと同じく冷たい印象を与えがちな少女である
しかしオヴはともかくエフィーはその冷たい印象はどこへやら。今は白い肌を真っ赤に染めて怒鳴りちらしていた
ことの始まりは約1週間程前に遡る
オヴは王家直属の騎士団に所属しており、そこの1番隊の隊長を務めている
そして今度王家主催の舞踏会が開かれることになり、その際の国王陛下の警護がオヴに一任された。しかし他国に遠征した際にオヴは足を折ってしまい、警護がままならなくなってしまった。普通は代役を立てればいい話なのだが、現在の騎士団にオヴに匹敵する程の団員はおらず、何よりオヴは王家からの信頼も厚かった。今さら他の人にする訳にもいかず、困り果てた騎士団長に、オヴはとんでもないことを言ってのけた
『エフィーにやらせればいいのではないか』と
当たり前だが2人は双子なので、髪の色を除けば見事に瓜二つだ。身長もさほど変わらないし、エフィーは女子にしては声が低い。更にエフィーはオヴと共に稽古を受けていたため、オヴ相手に互角に戦えるくらいには強い
しかしエフィーは女である。しかしそこでオヴは更にとんでもないことを言ってのけた
『エフィーを男装させて俺ということにすればいい』と
困り果て、追いつめられていた騎士団長はそのオヴの案に首を縦に振ってしまった
オヴはそのことをエフィーに告げ、冒頭に戻る
「オヴ!!お前はバカなのですか!!私に男装しろと!?正直に陛下に話しなさい!!もしバレたらどうなると思っているのですか!!」
「打ち首だろうな」
「冷静に返すんじゃありませんッ!!分かっているのなら何故そんな無茶を言い出すのですか!!」
「お前胸ないから男装は問題ないだろ」
「余計なお世話ですッ!!それにそういう問題じゃありません!!」
先程からエフィーは烈火のごとく怒っているのだがオヴは全く堪えてないようである
ちなみにエフィーは相手が誰であろうと絶対に丁寧な口調を崩さない。それは双子の兄であるオヴに対しても崩れることはない
「そうだ、陛下から手紙が来ている」
そう言ってオヴはひらり、と1枚の封筒を取り出した
「…そこには何と?」
「あー…『警護がオブシディアンとは頼もしい限りである。当日は是非ともよろしく頼むぞ。警護の合間にわしの息子の話し相手にもなってやってほしい』…だそうだ」
「逃げられないじゃないですかッ!!」
「ようはバレなければいい話だろう?」
「万が一ということがあるでしょう!?そんな無鉄砲だからアナタはいつまでたっても昇格できないんですよッ!!」
「あーそれだがな」
「へ?」
「今回の警護を無事に完遂すれば俺は昇格だそうだ」
「はぁ!?」
「というわけだ。エフィー、頼んだぞ」
「オヴのバカーーーーーーーーーーッ!!」
かくして
舞踏会当日…
楽しんでいただけたでしょうか?
これはなるべく早めに更新します!!
次回も頑張りますのでよろしくお願いします!!




