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夏の金木犀

作者: MuMay


 ――使わなかったらもったいないから使ってるだけ。



 それが最近の言い訳。


 二年前の修学旅行で行った京都のお店でもらった、金木犀(キンモクセイ)の練り香水を使うときの言い訳。甘くて、うっすらと香って、どこか上品で、私なんかにはもったいない香水だった。


 外面をあまり気にしない私は練り香水を使うことなんてなくて、机の片隅で置物になっていた。一年前に、父のお土産でもらった桜の練り香水はまだ袋のなかにいる。


 その横で毎朝ちょこっとだけ、他人にバレることがないように手首に香水をつける。桜が袋から出てくるのは当分先だねってくらいに、ちょっとだけ。だから、手首のほんのり甘い香りは、一限が始まる頃にはもういない。


 でも、いいやって思うの。


 私にはスイッチがいくつかある。勉強するときには髪の毛を全部まとめて、ヘッドホンからはピコリーモ。それでもダメなら、だて眼鏡の出番。


 そんなスイッチの一つとして、“明るい私”になるための新しい儀式。甘い香りをまとっていることに意味があるんじゃなくて、香りをまとわせるその行為自体に意味がある。



 病んだ私を明るい私に無理矢理塗り替えるのは、彼のためなんだと思う。


 面倒くさいからって、無造作に伸ばしている髪の毛も、伸びすぎた前髪も、塗り替えるための行動なんだと思うの。


 想いが届かなくて、つらくて、苦しくて、悩んでたあの頃を捨て去りたいだけだと思うの。


 ふとした度に私の存在価値を考えてしまって、私ってなんなんだろうって黒い何かで埋まってしまう私を救い出したいだけなんだ、きっと。だって、私は私が一番大事だから。自分が一番大事なのは誰でも一緒だし、わかるよね?


 私は、私が誰かを傷付けてしまったことに対して、私が傷付くことが嫌だから誰も傷付けないようにしているぐらいのエゴイスト。仕方ないよね。そんな私を好きになってくれる人なんていないよね。


 せめてでも明るく、話しかけやすい雰囲気に。それぐらいしないと、誰も関わってくれないから。


 今は距離があっても、関わってくれる人がいる。


 でも、何でかな? 彼は関わってくれる人たちのさらに遠くにいる。


 届かないのかな? それとも、無視してるだけなの? わからないよ……。


 でも、仕方ないよね。だって私は皆にとって、“女子”じゃなくて“変人”なんだもんね。


 教えてよ。私はあなたにとって、何なの? “いないもの”だって答えられても、受けとめる覚悟はできてるから。ねぇ、教えてよ。あなたの本当の音(ほんね)を。


 教えてくれないから、あきらめることも追いかけ続けることもできないじゃない。


 救ってよ、私を。ねぇ、救ってってば。この中途半端な私をさ、救って。


 お願いだから、教えてよ。


 じゃないと、金木犀がムダになっちゃうでしょ。無駄無駄なんて、もったいないだけになっちゃうんだから。


 助けてよ。私じゃなくてもいいから、金木犀の香りを救ってよ。ムダにならないように。



 秋までまだまだなのに、七月なのに待てない金木犀を救って。


皆様、初めまして。ムーメイと読む、MuMayと言う者です。自主制作映画のような雰囲気の小説を書きたく…… え、D-Dream? 誰ですか、そのディムとか言う人は?? 関係ない人を持ち出さないでくださいよ。怒りますよ、まったく。私はあんな暗い人と無関係ですからね?

えー、そんなことより、私のこんなつたない小説を読んでいただきありがとうございますっ♪ また会える、その日まで。

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