ど真ん中をバックスクリーンに!
はずかしい~
でもその眼差しが、すごくやわらかで、やさしい…
そして、
『俺、全然気づかなかったよ。
聖雪が俺のこと好きで居てくれるなんて…。
まじで~?』
見つめる視線に小さく頷く。
今日の私なんかすごい素直。
話しを続ける彼。
『小さいときには、ただ無邪気に遊んでたけど、
いつからかな~。
聖雪がどんどん、その、かわいくなっていって、
その、美人になっていって、
なにか俺の手の届かないアイドルみたいな感じになっていって。』
「アイドル?」
『そう。 なんか自分とは別世界の人になってしまった感じかな。
それから、気軽に声をかけれなくなってしまった。』
そうなんだ…
ゴホっ
彼が小さい咳払いをして。
いきなり『あ~~~っ』 大きな気合声。
びっくり~
そして…
『えっと、花岡聖雪さん。
小さい頃、そうっ、ずっと小さい頃から好きでした。
もし良かったら付き合ってくださいっ』
力強い言葉が来た。
うれしい、うれしい、うれしい~
すぐに返事できない。
人って、こんな早く号泣できるんだ…
気づいたら、もう私の顔はクシャクシャだ。
「もうっ~、私が告白したのよ~。
もし良かったらって?…
イイに決まってるでしょうっ~」
うれしさと涙が止まらない恥ずかしさで、
思わず隆の胸に顔を埋める…
ちょっとビックリしたみたいな隆の表情だったけど、
すぐに抱きしめてくれて…
そのまま、その…
ピンポンパンポン~♪
急に校内放送が流れる。
“3年の佐久隆蔵っ、至急校長室まで来なさい”
いきなり、名前が呼ばれてはじけるように身体を離した。
『あ~っビックリしたな~』
隆がそう呟く。
ホンと、何だろう?
私も今のことを見られていたのかと思うくらいのタイミング
だったため、心臓がとまりそうだった。
涙を拭いて隆を見つめると、ニコッて笑ってくれた。
『なにかわからないけど、ちょっと行って来るよ。 』
うん。
「待ってて…いい?」
自然と聞けた。
『 ああっ。すぐ戻るから自転車置き場で待ってて。 』
微笑みながら隆が返してくれる。
うん。待ってる…
校長室に向かう彼の背中を泣き笑いで見送った。