パーティーを追い出されます
前々から打診はあった。
自分もそうなることを覚悟していた。
でも、
でも実際に起きると辛いものがある。
僕はAランクパーティに所属する回復魔法使いだった。
今度このパーティーがSランクに昇格する。
この王国においてSランクパーティーというのは特別な意味がある。
この国は冒険者によって建国され、貴族はその忠義を冒険者としての格を持って証明する慣わしがある。
そのため貴族であっても冒険者になることは一般的であり、その最上位のSランク冒険者になるということは貴族として王国に認められるということである。
もちろん冒険者として手柄を立てたわけではない文官の貴族がいないわけではないが少数でありそういった人物であっても武術は幼い頃より仕込まれている。
そういった事情からどんなに腕が立つパーティーであっても、よほどのことがない限り貴族の子息子女でなければSランクパーティーになれない。
僕は腕を見込まれて誘われたが、その時が来たらパーティーから抜けてもらう旨を話されていたし、僕もその話を前提にパーティーに参加していた。
僕が抜ける分のパーティーの穴を埋められる人材を探したり、その人材の育成も終わりついに明日から彼らは晴れてSランクパーティーとなる。
今日は僕のお別れ会と彼らの昇格祝いを含めた会を催した。
リーダーの乾杯の音頭で会が始まった。
冒険者は体が資本である為よく食べてよく飲む。
僕も例外ではなく目の前に積まれているご馳走にありつく。
ご馳走を平らげて、酔いつぶれているメンバーが出始めたころリーダーが話しかけてきた。
「やっぱり冒険者をやめっちまうのか?お前なら、お前の腕ならほかのパーティーでもやっていけると思うんだけどなぁ…」
「その話はもう何回もしたでしょ。僕が所属するのはこのパーティーだけで、それを変えるつもりはない。このパーティー以外に新しく入るにしろ作るにしろ、これまで以上に熱を持って冒険に出れるとは思えない。そんな奴が回復魔法使いとしてパーティーにいても邪魔なだけだ。」
「俺にはSランクにならないという道も…」
「やめてくれ、それ以上言うのは。」
しばらく無言の時間が訪れる。
「これからどうするつもりだ?」
リーダーの方から話を切り出してきた。
「そうだなぁ…冒険で得たお金もたっぷりあるし、病院でも開こうかな。」
「…じゃあ家の名義で出資させてくれ。お金があるとはいえ、病院としては無名からのスタートになる。ここのパーティーに所属していたことと、俺の家が後ろ盾になっているとなればそれなりに客も寄り付くだろう。なに、お礼は贔屓にしてくれればいいさ!」
「「「なにを二人だけで面白そうな話を!」」」
いつの間にか起きてきたほかのメンバーも合流する。
その後は、病院の場所の話や人員の話などの実務的な話がとんとん拍子に進んでいく。
流石貴族の子息子女といったところだ。
良い時間になったので会はお開きとなった。
僕のこれからの人生、彼らのこれからの人生、もう交わらないと思っていた。
今までもこれからも彼らに頼りっぱなしだ。
せめて彼らが訪ねてきたときは助けになってやりたい。
僕の人生、彼らの人生に幸あれ。
好評なら続きを書きます
感想、誤字脱字の報告ブックマークへの登録待ってます。




