物語の始まり
〜リリー6歳〜
「まぁリリーお嬢様!! なんて可愛いのでしょう!! もうまるで天使のようでございますよ。 」
麗しい少女の、白く柔らかな雪のようなウェーブする髪を 、複雑に編み込みハーフアップに飾りをつけたところでメイドのベリーは感嘆な声を漏らした
「お嬢様の髪は、光が当たるとまるで宝石のようにキラキラ輝くのであえてハーフアップにして見ました。今日は王妃様のお茶会ですからね!沢山の色の花を髪に飾りましたよ」
今日は王妃様が主催するお茶会
春一番に行われるこのお茶会は王国の花や宝石達が集まる一大イベントである
本物の花や宝石はもちろん、ここでは貴族が花や宝石と呼ばれている
帝国、王国含め侯爵以上は宝石の家名
それ伯爵家以下は花の名前を。
これは元々は帝国のしきたりだったのですが、敗戦した何百年も前に王国にも取り入れられた伝統である。
男性は宝石
女性は花と呼ばれる
そしてこのお茶会では、社交界デビューしていない子供は生花を飾りとしてつけるのがマナー。
大人は花の形の飾りをつける事がマナーなのだ。
令嬢は花を髪に 令息は胸ポケットにつけることが一般的である。
大抵は、6歳位で貴族のマナーが身についてきた頃からお茶会デビューをする。
幼い時から人脈を作り、マナーも身につけることで将来への足ががりになるからである。
「お嬢様!!ドレスはこちらはいかがでしょう?」
ベリーが持ってきたドレスはつい先日、仕立てたばかりの白地に紫やピンクや黄緑などの花の刺繍とレースが着いた可愛らしいものだった
「春のお茶会にぴったりねっ!! 私これを着たいわ」
いつものおっとりとした口調ではあるが瞳はキラキラ輝いている。
どうやら気に入ったようだ
「では、こちらでお支度をしましょう...宝石はどのようにいたしますか?」
これまた貴族のルールがあり、王族が開くパーティやお茶会では
・必ず自分の家紋の宝石 をつけ、プラスで婚約者や後見人の家紋の宝石 をつける事もある
・伯爵家以下であれば家紋の花を型どった金もしくはダイアモンドを1番目立つようにつけなければならない。
・ダイアモンドであれば誰でも付けることが許されているが、そのほかの宝石はNGだ。
これも帝国のしきたりに準じたものである。
帝国は貴族の数も多く、代替わりなどもあり顔と家紋が一致せず苦労した皇帝がいたそうな..そこで苦肉の策であったと。
ダイアモンドは皇族の宝石だが、全てのは民は皇帝の子供という考えらしく誰でも使用可能である。
男性であればコサージュ もしくはボタン、
女性は身につけるものが多くどこに何をつけるかが腕の見せどころなのだ。
侯爵以上は、大体自分の領地で取れる宝石の名前を頂いており、自分の領地で取れた上等なものをつけることで収益にも繋がっているのだとか。
オパール家はオパールとパールどちらも家紋の宝石とし承諾を受けているため組み合わせが難しい。
「お嬢様の瞳はオパールの色合いですので、よりお目元が目立つようネックレスをオパール ピアスをパールにするのはおかがでしょう?」
「ベリーはいつも可愛くしてくれるからおまかせしちゃう。私ったら髪も白いし、瞳だって不思議な色合いでしょ。だからあまり容姿に自信は無いけれどベリー色々おしゃれしてくれると、魔法にかかったみたいに自分のこと可愛いと思えるの ! いつもありがとう!!」
なんて謙虚なお嬢様なのだろうっとベリーは思うもう一度目の前のリリーを凝視する。
白くて雪のよう光に当たると輝く髪
真っ白でもちもちな思わず触りたくなる頬
瞳に影を落とす羽ばたけそうなほど長い髪と同じ色のまつ毛
オパールのような色味は光に当たるとキラキラと輝き、伏し目では薄い紫にも見える魅惑のタレ目な瞳
口角がきゅっと上がったぽってりとした、赤みの強いピンク色の唇
どことっても絶世の美女。 いや天使
もう可愛いとか綺麗のレベルじゃない。光に包まれて消えてしまいそうなほど儚く、思わず手を合わせたくなるほど尊い。
うん。今日もうちのお嬢様世界一。そう心の中で呟き...
「うちのお嬢様世界一。最高」
....心のつぶやきがつい口からポロリと
「うううんん。そういえば 本日は王子様の婚約者候補や側近などを決めるお茶会だそうですよ。公爵家のお嬢様も有力な候補であるとか....」
軽く咳払いで誤魔化しつつ、リリーへ話しかける
ベリーは少し暗い顔をした
それもそのはず...もし候補に選ばれてしまえば、王宮で王太子妃の教育がはじまる
平日朝から夕方までみっちりと
リリーになかなか会えなくなるだけでなく
選ばれなければ、努力が水の泡なのだから
可愛い子にはなるべく苦労をさせたくないという老婆心のようなものを感ているのだろう
「まぁ そうだったのね! 王子様には初めてお会いするけれど、どんな方かしら。それに私はぜったい選ばれないわ ! 素敵なご令嬢がたくさんいらっしゃるし、家柄だけしか取り柄が無いもの。侯爵家にも1人伯爵家にも2人も殿下と同じ歳のご令嬢がいらっしゃるし、私殿下より2つも年下なのよ。」
いやいや。もう選ばれる要素しかないですよ。無自覚美少女なんだから。
少し項垂れるベリーだったが、だから楽しんでくるわねっとにっこり笑うリリーを見て、心配ではあるがベリーもつられて笑顔に変わった
....
...
..
.
「あぁ やっぱりうちのお嬢様は天使だわ 」
ニヤニヤもせず真顔で支度の終わったリリーを見てベリーが一言
それが面白くて
「全部ベリーのおかげね」
くすくす
そこに支度が終わったお父様 お母様 シトリンお兄様が迎えにきた
...控えめに言って眼福です
特にお母さはま帝国でも社交界の妖精と謳われていたと聞いていたけれど、今日は女神のようだ。
綺麗すぎる
母最高
お兄様とお父様もいつもにましてかっこいい!!
「「「だめだわ」」」
私を見るなり3人の声が揃った
私はすごく可愛くしてもらったと 褒めて貰えると思っていたのだけれど真逆の反応で俯く
「可愛すぎるわ」
「こんなに可愛かったら誘拐とかされるんじゃ」
「少し可愛さを抑えることはできないのか」
等次々に褒め?てくださって少し気持ちが軽くなりました
「さぁ 皆様 馬車へお急ぎください。時間に遅れますよ」
執事のセバスチャンが声をかける
「おお そんな時間だったか。ではいこう」
お父様はお母様をエスコートし
お兄様は私をエスコートして馬車へ乗り込む




