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62話:【神回】24時間監視カメラは見た! 領民たちのうっかり24時


アスベル公爵領の治安を支える300台以上の『聖なるライブカメラ』。


 本来はスパイ摘発や犯罪抑止のために設置されたものだが、最近、日本の視聴者たちの楽しみ方は別の方向へ向かっていた。


「……ナオ。これ、本当に僕が見る必要があるのか?」


 公爵邸の管制室で、レナードは頭を抱えていた。

 目の前のモニターには、ナオが視聴者のコメントを元に編集した「今週の領内の怪しい行動集」が映し出されている。


「もちろんです、以前謀反を防いだこともありますから、コメントがあった箇所は見て頂く必要があります」


 ナオは無表情のまま、再生ボタンを押した。


■ コメントNo.1:器物破損ではないか?

 画面に映ったのは、一斉強化レギオン・ブレスを受けたばかりの木こりのおじさんだ。

 彼は自宅の前で、少し鼻がムズムズしたのか、盛大に**「くしゃみ」**をした。


『ハックシュンッ!!』


 その瞬間、おじさんの全身から溢れた魔力が衝撃波となり、自宅の玄関ドアが枠ごと吹き飛んで向かいの家の壁に突き刺さった。呆然と立ち尽くすおじさんの姿に、日本のコメント欄が爆速で流れる。


【日本配信画面】

コメント:物理エンジン壊れてて草

コメント:くしゃみ一つで自宅を半壊させる男

コメント:これぞアスベルクオリティwww


■ コメントNo.2:深夜の広場の不審者


 続いて、深夜2時の噴水広場。誰もいないはずの場所に、一人の人影があった。


 鎧をガチャつかせ、周囲をキョロキョロと見渡しているのは、ユリウス直属の厳格な衛兵隊長だ。


 彼は誰もいないことを確認すると、突然、シオンのヒット曲に合わせて完璧なダンスを踊り始めた。


「(小声で)♪ウィンクひとつで~パン三つ~♪」


 キレッキレのステップ。指先まで意識されたアイドルポーズ。


しかし、彼は気づいていない。背後の高い塔に設置された高感度カメラが、その勇姿をバッチリ捉え、日本に生中継されていることに。


【日本配信画面】

コメント:ちょwww隊長www

コメント:ダンスのキレが実戦レベルなんだが

コメント:【悲報】衛兵隊長、シオンガチ勢だった

コメント:ギフト「サイリウム(10,000円)」が贈られました!


■ コメントNo.3:脱税ではないか?

 最後は、酒場『黄金の麦亭』の厨房裏。

 店主がニヤニヤしながら、隠しておいた最高級の干し肉を切り分けている。

「ヘヘヘ、こいつは閣下への納税分からちょいと……。誰にもバレやしねえ。カメラだって、この角度なら死角だ……」


 そう言って、彼はカメラに向かって**「あっかんべー」をしてみせた。


 だが、その直後。画面の端から、音もなく財務官マルタ**がスーッとフレームインしてきた。

「店主。死角というのは、過去のデータに基づいた計算上の話であって、私の『現物合わせ』には通用しません」

『ギャアアアアア!!?』

 店主の悲鳴と共に映像が暗転する。


■ 平和すぎる結末

「……これ、最後のはホラーだろ。どれも冤罪じゃないか」


 レナードが引き攣った顔で呟くと、視聴者からは「神編集」「ナオちゃん分かってる」と多額の投げギフトが次々と投げ込まれた。


「レナード様、ご覧ください。この『珍プレー集』の反響で、税収が増えました」


 ナオは淡々と、投げ銭の総額を帳簿に書き込んでいく。


「それに……」


 ナオがモニターの一角を指差した。


 そこには、おじさんの壊したドアを、近所の領民たちが「しょうがねえなあ!」と笑いながら、凄まじいスピードで修理している光景が映っていた。


 力が強くなりすぎた弊害すらも、笑いと協力で乗り越えていく。 


 アスベル領の「平和」は、監視カメラ越しに見ても、本物の輝きを放っていた。

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