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第60話:領民ハンターの誕生と、自給自足の夜明け


 配信の翌日、アスベル公爵領の様子は一変していた。  かつて魔物を恐れて震えていた難民たちが、エリックから貸し出された「攻略セット」を手に、意気揚々と隊列を組んでいた。


「昨日、閣下とエリック様がやってた通りにやればいいんだろ?」 「盾を斜めに、隙を突く! 身体が軽いからいける気がするぜ!」


 領民たちの瞳には、もはや「守られるだけの弱者」の面影はない。自分たちの手で家を建て、自分たちの手で資材を勝ち取る――その自負が、彼らを突き動かしていた。


■ 鉱山の「生産革命」

 『凍てつく廃坑』は、数日のうちに巨大な「資源供給所」へと変貌を遂げた。  エリック率いる重装歩兵部隊が「先導役」として各所に配置され、領民たちがその後ろで安全に採掘と魔物討伐を行う。


 特に目覚ましかったのは、ナオが考案した「役割分担ワークフロー」だ。  力に自信のある者は魔物を牽制し、器用な者は石を切り出し、足の速い者がそれを運び出す。一斉強化レギオン・ブレスによって全領民が「超人」と化した結果、その生産性は通常の鉱山の十倍を超えていた。


「閣下、見てください! この石材の質を!」  建築官カイルが、運び込まれたばかりの魔導石を撫で回しながら歓喜の声を上げる。 「これほど上質な素材が、これほどの量……! これなら予定していた『アスベル大聖堂』も『巨大防壁』も、当初の倍の速度で完成させられます!」


■ 日本の掲示板:【異世界】領民たちがガチ勢すぎる件【モンハン状態】

280:名無しの軍師 昨日まで素人だったおじさんたちが、見事な連携でウルフを狩ってて草。 エリックの「丁寧な討伐講座」、効果ありすぎだろw


281:名無しの軍師 これ、もはや「領民」じゃなくて「領民ハンター」だな。 自分で素材を掘って、それをマルタさんの役所に買い取ってもらって、その金でエールを飲む。 経済が完全に「自給自足」で回り始めたぞ。


282:名無しの軍師 ナオちゃんが「効率的な採掘ルート」をモニターに表示してるのもデカい。 レナード、見てみろよ。 領民たちが素材を持って帰るたびに、モニターに『鉄鉱石+500!』とか『総資産増加!』って表示が出るから、みんなゲーム感覚で楽しんでるぞ。


283:名無しの軍師


282 シオンちゃんの「素材納品ソング」まで流れてるしな。 これ、世界一楽しい労働現場だろ。


■ 誇り高き領民たち

 夕暮れ時、酒場『黄金の麦亭』は再び熱気に包まれた。  だが、今の彼らが手にしているのは、配給された食事ではない。自分の手でダンジョンから持ち帰り、正当な対価として得た「アスベル紙幣」で買った最高のエールだ。


「おい、見たか? 俺が仕留めたあの魔石、マルタ様が『一級品です』って褒めてくれたんだぜ!」 「俺なんてカイル様に、『この石なら最高の壁が作れる』って握手されたわ!」


 彼らが語るのは、自分たちの「功績」だ。  レナードは、ナオと共にその光景を遠くから見つめていた。


「……ナオ。資材不足どころか、お釣りが来るくらいの勢いだな」 「ええ、レナード様。民は『守られる対象』から『共に国を造る仲間』へと変わりました。これこそが、最強の防壁ですわ」


 ナオは満足げに手帳を閉じ、次の「計画」をレナードに差し出した。  そこには、溢れる資源と圧倒的な労働力を背景にした、次なる一手――他領を驚愕させる「異世界万国博覧会」の文字があった。

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