第43話:不動の巨壁、咆哮する雷火――ブルカン、重装魔法部隊の威容
ミラによる精密狙撃が敵の心を折り、戦場に奇妙な静寂が訪れようとしていた。
だが、未だ諦めを知らぬ一部の帝国精鋭騎士団と、狂乱に陥った大型の魔獣騎兵たちが、最後の一撃を加えんとアスベル領主軍の陣地へと殺到する。
それは、死兵と化した者たちによる、絶望的な突撃だった。
『ブルカン。時が来た。アスベルの盾が、いかに強固であるかを世界に示せ』
レナードの静かな、だが力強い命令が、重厚な鎧の奥に響く。 「応! 全員、陣を組め! 一歩も退くな、この後ろにはレナード様と領民たちがいるぞ!」
**ブルカン(重装魔法部隊)**率いる一団が、地響きを立てて前進した。
彼らが装備しているのは、日本からのギフト「高強度カーボン合金」で補強された超大型のタワーシールドと、重魔導アーマー。
それは、もはや人間が持ち運べる装備の域を超えていた。
鋼鉄の壁、魔法の障壁
帝国軍の残党が放つ火球や矢が、雨あられとブルカンたちに降り注ぐ。
しかし、彼らが盾を並べて「方陣」を組んだ瞬間、盾の表面から青白い幾何学模様の魔法障壁が展開された。
「ぬんッ!」
ブルカンが咆哮と共に盾を地面に叩きつけると、衝撃波が走り、向かってくる騎兵たちの足を止める。
魔法攻撃は障壁に接触した瞬間に霧散し、物理的な突撃も、鋼鉄の巨躯を揺らすことすらできなかった。
空のモニターには、荒れ狂う嵐の中にそびえ立つ断崖絶壁のごとき、ブルカンたちの姿が映し出される。
その圧倒的な「不動」の姿に、王都の民は歓喜し、帝国軍は絶望に沈んだ。
重破砕魔導砲の咆哮
だが、ブルカンたちの真骨頂は防御だけではない。
「耐えるだけじゃあ、アスベルの名が廃る。……野郎ども、『お返し』の時間だ!」
ブルカンの合図で、重装歩兵たちが盾の隙間から、極太の銃身を持つ「重破砕魔導砲」を突き出した。
これは大量の金貨を投入して開発された新兵器。
大気中の魔力を限界まで圧縮して放つ、拠点防衛用の決戦兵器だ。
「撃てぇ!!」 轟音と共に、極太の光条が戦場を横断した。
それはミラの「点」の攻撃とは対照的な、圧倒的な「面」の破壊。
突撃してきた魔獣騎兵たちは、その余波だけで吹き飛ばされ、帝国軍が急造した防壁もろとも、一瞬で塵へと帰した。
20万人が熱狂する「タンク」の真髄
日本の配信画面は、ブルカンの無双ぶりにこれまでにない盛り上がりを見せていた。
その堅実かつ豪快な戦いぶりは、ゲーマーたちの心を掴んで離さない。
日本配信画面(コメント欄)
コメント:ブルカンニキ、マジで歩く要塞じゃんww
コメント:盾で防いでからの極太レーザーはロマンの塊。
コメント:【ギフト:¥500,000】これで盾の装甲をもっと厚くしてやって!
コメント:これぞタンクの理想形。安心感が半端ないわ。
コメント:レナード様、配置が完璧すぎる。エリックで崩して、ミラで刈って、ブルカンで蓋をする。
ブルカンの猛攻により、帝国軍の最後の抵抗は完全に粉砕された。
もはや戦場に動く敵影はなく、ただアスベル領主軍の掲げる旗だけが風にたなびいている。
「レナード様、敵勢力の完全な制圧を確認。……俺たちの盾、一枚も欠けちゃいませんぜ」
ブルカンが不敵に笑い、兜を脱いで汗を拭う。
勝利は決した。しかし、レナードの目はすでに「戦後」を見据えていた。
この圧倒的な武力を示した後、いかにして平和を構築するか。
レナードは、次なる一手として、戦場を迅速に駆け、情報の最後の一片を拾い集める「風」を呼んだ。
『――アル。遊撃伝令隊、出番だ。残存兵の降伏勧告と、各地の被害状況を報告せよ』




