第42話:神の眼、魔弾の雨――ミラ、戦場を支配する狙撃
エリックが前線を粉砕し、セラが敵の指揮系統を麻痺させた。 ボナパルト伯爵軍は完全に総崩れとなり、兵士たちは我先にと逃げ惑い始めた。だが、アスベル領主軍の攻撃は、これで終わりではなかった。
遥か後方の高台。そこに立つ**ミラ(射撃部隊)**の瞳は、空に映し出される巨大な空撮映像と完全に同期していた。彼女の魔導ライフルには、日本からのギフトで強化された「長距離精密照準魔法」が搭載されている。
「レナード様、敵の残存兵力、潰走ルート、全て把握。……どこから狙撃しますか?」 『ミラ。狙いは簡単だ。武器を捨てない者、逃走を指揮しようとする者、そして……この戦意喪失の中、無辜の民に危害を加えようとする者を、排除しろ』
レナードの声が、戦場に響く「空のモニター」からも流れる。それは、王都の民、そして帝国領の民にも、アスベル軍の「正義」を明確に伝える言葉だった。
視界の果て、魔弾の雨
ミラは空の映像を拡大し、逃走する帝国兵たちの中から、未だ武器を握りしめ、味方を蹴散らして逃げようとする指揮官の姿を捉えた。
「――的、確認。排除」
狙撃は一瞬。魔弾が風を切り裂き、狙われた指揮官の足を正確に撃ち抜いた。彼はバランスを崩して倒れ込み、後続の兵士たちに踏み潰される。 次いで、空の映像に、混乱に乗じて村の民家へ押し入ろうとする兵士の姿が映し出される。
「……愚か者」
ミラの第二射。魔弾は兵士の肩をかすめ、持っていたナイフを叩き落とした。彼は痛みと恐怖に顔を歪ませ、両手を上げて降伏した。
空の映像は、ミラの狙撃の精密さと、アスベル軍の「秩序」を克明に映し出す。 それは、ただの破壊ではなく、逃げる帝国兵たちに「どこまでも監視されている」という心理的な圧力を与える、完璧な戦術だった。
20万人が見守る「死の裁き」
王都の民衆は、ミラの超長距離からの狙撃の正確さに息を呑んだ。
「あ、あれが、アスベル領の魔導射撃部隊か……! まるで空の神が見ているようだ」 「逃げる敵をいたずらに殺さず、的確に『制裁』を加えている。……これが、レナード卿のいう『情報の正義』なのか」
日本の配信画面では、ミラの狙撃による「ゲームオーバー演出」が、視聴者の間で流行し始めていた。
日本配信画面(コメント欄) コメント:ミラちゃん、逃げる敵をまるでFPSの練習みたいに撃ち抜いてるw コメント:空撮映像を照準にするの、チートすぎて草。 コメント:敵の兵士、どこまでもミラちゃんにロックオンされてる気分だろうな。 コメント:【ギフト:¥200,000】ミラの魔導ライフル、連射性能を上げてやってくれ!
ミラの魔弾は、逃げ惑う帝国兵たちの士気を完全に砕き、多くの兵士が自ら武器を捨てて降伏を選んだ。彼らは皆、空に映し出される「神の眼」から逃れることはできないと悟ったのだ。
「レナード様。これ以上の排除は不要かと。……ほとんどの敵が、戦意を完全に喪失しました」
ミラが淡々と報告を終える頃には、広大な戦場に、武装して抵抗する帝国兵の姿はほぼ消え失せていた。 次は、この圧倒的な攻勢を支え続けた、最強の防壁の出番だ。
(第42話・了)




