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第3話:僕を消すか、僕に投資(スポンサード)するか(日本側のみ配信)

配信の翌朝。アスベル領の主館の門前には、砂埃を上げて到着した数台の豪華な馬車が並んでいた。

 

降りてきたのは、王都の商業ギルド『黄金の天秤』の幹部、ガストンとその護衛たちだ。


彼らは挨拶もそこそこに、会議室のテーブルを叩きつけた。


「レナード・フォン・アスベル殿! 昨日の不届きな『中継』は何だ! 勝手に水晶を使い、得体の知れぬ石鹸を売るなど、ギルドの商法に著しく抵触する!」


父・バルトロが気圧される中、レナードは優雅に茶を啜りながら、ガストンを真っ直ぐに見据えた。リヴィアは背後で剣の柄に手をかけ、鋭い視線を送っている。


「抵触、ですか。法に触れた覚えはありませんが、皆さんの『利益』に触れた自覚はありますよ」


「……ふん、わかっているではないか。あの石鹸の製法と、水晶を操る魔導具をすべて引き渡せ。さもなくば、アスベル領への全流通を差し止める。原料の一粒も、塩の一舐めも入らぬようにしてやるぞ」


ガストンの脅しは、この世界の「古い現実」においては完璧な死刑宣告だった。  


しかし、レナードの視界には、すでに二つの世界の反応が流れ始めていた。


日本配信画面  

コメント:おっ、さっそく悪徳商人が詰め寄ってきたぞw  

コメント:カメラ角度最高。ガストンの鼻毛まで見えるな。  

コメント:お兄さん、ここで引くなよ!


でも俺は昨日視聴者に1つのアドバイスをもらっていた。

それは、「元外交官」とかいう職業の配信者に教えてもらった「交渉術」だ。


「ガストンさん。僕を消すのは簡単だ。でも、そうなれば皆さんは『黄金の卵を産むコカトリス』を殺すことになりますよ」


「……何だと?」


「皆さんは流通のプロだ。なら、僕の配信を『広告コマーシャル』として利用しませんか?」


 レナードは、現代日本のビジネス用語を異世界の言語に変換しながら語り出した。


「僕の中継は、数万人の目に直接届く。これに皆さんの商品を映し出し、

『ギルド公認の逸品』として紹介する。

その代わり、売上の数%を僕に、そして皆さんは僕の『スポンサー(後援者)』として、物流を全力で守る。

……僕を敵にして石鹸一つ奪うより、僕を利用して大陸中の富を動かす方が、

遥かに儲かると思いませんか?」


「CM……スポンサー……?」  

ガストンの目が、商人の本能で激しく計算を始めた。


「さらに、皆さんの商会の名前を番組の冒頭で大々的に宣伝しましょう。

『この放送は、黄金の天秤の提供でお送りします』と。


王都中の貴族が、皆さんの商会を『最先端の流行を作る者』として認識するはずです」


日本配信画面  

コメント:異世界初の提供クレジット爆誕www  

コメント:広告代理店レナード、やりおる。  

コメント:これにはガストンさんもニッコリ。


王都配信画面(魔力水晶)  

コメント:ギルド公認……? なら安心して買えるな。  

コメント:『提供』って響き、なんか高貴な感じがするわ。  

コメント:ギルドも捨てたもんじゃないじゃない。


ガストンの額から汗が流れる。  

目の前の少年は、自分たちを「古い」と否定したのではない。

自分たちを「パーツ」として巨大な仕組みに組み込もうとしているのだ。


「……ふむ。アスベル殿。その『提供』とやら、詳しく聞かせてもらおうか」


 一触即発だった空気は、一瞬にして商談の場へと変わった。  


レナードはリヴィアに目配せをする。


彼女は驚きを隠せない様子だったが、どこか誇らしげに頷いた。


「ポイントショップ……『契約書自動生成(偽造防止付)』を購入」


 レナードはテーブルの上に、現代の契約法を組み込んだ魔法の書面を出現させた。  


これが、異世界における「メディア王」への第一歩。  


武力でも魔法でもなく、情報の「価値」で敵を味方に変えた瞬間だった。


「元外交官とかいう職業の配信者に教えてもらった交渉術」が気になった方は、

作品「【元外交官】99歳で大往生したら若返ったので、VTuberになってみた 」も見てね

https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n8389lm/

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