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第36話:アスベル領主軍、始動――新体制の鼓動

公開採用試験から数日。


アスベル領は、かつてない活気に満ちていた。


レナードは、採用したばかりの幹部たちを執務室に集め、新たな組織図を「板」の投影機能で示した。


「今日から、アスベル領は生まれ変わる。旧来の『騎士団』という枠組みを捨て、各分野の専門家が連携する、情報の即応体制を構築する」


武の再構成:新生「アスベル領主軍」

軍事面では、ミゲルとエリックを中心に軍が再編された。  


これまでの「血筋と騎士道」を重んじる騎士団ではなく、実力と戦術を重視する**『領主軍』**への転換だ。


「いいか! 俺たちの主はレナード様だ。だが、その視線は常に15万人の観客、そして何よりこの領地の民に向けられていると心得ろ!」  


エリックの野太い声が演習場に響く。


エリック(団長代行): 重装歩兵と騎兵を統合し、圧倒的な突破力を誇る主力部隊を編成。


セラ(隠密・情報部隊): キャンプ内外の治安維持と、敵対領主の動向を探る諜報網を構築。


ブルカン(重装魔法部隊): 防御魔法と土木技術を組み合わせ、陣地構築のスペシャリスト集団へ。


ミラ(遠距離射撃部隊): レナードの偵察映像と連携し、視界外からの精密射撃を訓練。


アル(遊撃伝令隊): 街中に張り巡らされた魔導配信網を駆使し、情報のラストワンマイルを繋ぐ。


聖なる遊撃:リヴィアの立ち位置

 一方で、ヒロインのリヴィアは、あえてこの軍の組織図からは外されていた。


「リヴィア。君は軍に縛られず、僕の直属の『切り札』として動いてほしい」 「レナード様の仰る通りに。私は、皆様の希望を背負う、レナード様の盾として……そして、時には慈悲を届ける聖女として、この光を捧げます」


 リヴィアは、レナードの配信において「最も象徴的な存在」だ。


彼女が軍の一部として汚れ仕事に染まるのではなく、窮地に現れる「奇跡」として君臨することで、領民の士気と配信の熱量を最大化する――それがレナードの戦略だった。


文部の連携:キャンプを「街」へ

 事務方(文部)も、採用された五人が即座に実務を開始した。


「ユリウス、新法の草案は?」


「はい。移民の労働権利と土地所有の特例について、領民が納得できる落とし所をまとめました」


「マルタ、予算の配分は?」


「ギフトで頂いた物資を換金し、学校の建設費用に充てています。一銅貨の無駄もありませんわ」


カイルは仮設住居を恒久的な石造りのアパートへと建て替え始め、シオンは日々の「領報」を音楽と共に配信し、難民たちの不安を拭っていく。


日本配信画面(コメント欄)  

コメント:組織図がホワイト企業のそれw  

コメント:軍を「領主軍」にして、リヴィアを聖女枠でフリーにするの賢いわ。  

コメント:配信とミラの狙撃連携、チートすぎて草。  

コメント:ナオがコメ欄の意見を要約してレナードに伝えてるな。有能秘書すぎる。


 レナードは、執務室の窓から着々と出来上がっていく新しい街並みを見下ろした。  


これまでは彼一人の「配信スキル」に頼っていた。


だが今は、15万人の知恵を形にするための「組織」がある。


「……さあ、準備は整った。ボナパルト伯爵……君が仕掛けてくる『経済封鎖』、僕たちの新体制のデバッグ(試運転)にちょうど良さそうだ」


 レナードの手には、既に日本から取り寄せた「異世界の物流を根底から変える新兵器」の設計図が握られていた。

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