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第33話:白銀の防壁、超常の試験


 アスベル領の大演習場。集まった数千人の武官志願者を前に、レナードは高らかに宣言した。 「これよりアスベル領武官採用試験を開始する。……選考基準はただ一つ。僕たちが掲げる『情報の正義』と『民の安寧』を守り抜ける強さがあるかだ!」


一次試験:極限の「個」の証明

 一次試験の試験官は、アスベル家騎士団長ミゲル。課されたのは、ただの体力測定ではない。  **「重力倍化の魔法陣」**が敷かれた演習場での、20キロのフル装備による10キロ走、および百本連続の素振りだ。


「おい、足が止まっているぞ! 領主様が求めているのは、平和な時の飾り物ではない。民が逃げ惑う泥濘ぬかるみの中で、一人踏みとどまれる『柱』だ!」


 ミゲルの怒号が飛ぶ中、脱落者が続出する。だが、伝説の武人エリックは、倍の重力がかかる中で呼吸一つ乱さず、まるで羽毛のように軽く大剣を振り抜いていた。


二次試験:情報の共有と「集団戦術」

 続く二次試験は、五人一組での**「模擬防衛戦」**。ただし、各メンバーには特殊な「視覚封鎖」の魔道具が装着され、自分以外の状況が見えなくなる。  唯一の頼りは、レナードが支給した簡易的な「念話デバイス(インカム)」。


「この試験で試すのは、個人の武勇ではない。『情報の共有』だ。仲間がどこで苦しみ、どこに敵がいるか。言葉だけで状況を構築し、連携せよ!」


 多くのチームが混乱し、各個撃破される中、エリックのチームだけは異彩を放った。 「右30度、槍兵二。俺が受ける、後ろの二人は左の弓兵を叩け!」  エリックの的確なナビゲートにより、見えないはずの仲間たちが一糸乱れぬ動きで仮想敵を圧倒していく。


日本配信画面(実況中継:視聴者15万人)  コメント:15万人見てるぞ! 注目度たけー!  コメント:二次試験、これ現代の特殊部隊の訓練に近いな。  コメント:エリック、指揮官としても有能すぎ。


三次試験:聖騎士リヴィアと「概念の壁」

 生き残ったわずか三十名の前に、一人の女性が歩み出た。  白銀の軽装鎧を纏ったリヴィアだ。その可憐な姿に、一部の志願者から侮るような失笑が漏れる。


「……次の相手は、お嬢さんか?」 「俺たちを試すには、少し荷が重いんじゃないのかい」


 リヴィアは静かに微笑み、レナードを見た。 「レナード様。……準備はよろしいですか?」


「ああ。……リヴィア、君の本当の強さを、世界に見せつけてやれ」


 レナードが「板」を操作し、LPライブ・ポイントを流し込む。 【システムメッセージ:視聴者15万人の期待値を変換。対象:リヴィア・フォン・アスベル。スキル『聖光の加護』を『極光の概念装甲オーロラ・コート』へ一時強化します】


 その瞬間、リヴィアの身体から、視界を焼き尽くすような純白の光が溢れ出した。


「な……なんだ、この魔力は!? 空間が……震えていやがる!」  先ほどまで余裕を見せていたエリックが、初めて冷や汗を流し、大剣を正しく構えた。


「三次試験のルールは簡単です。……一分間、私に一撃でも触れることができたなら、合格といたします。……さあ、参りなさい」


 志願者たちが一斉に飛びかかる。だが、リヴィアは一歩も動かない。  放たれた矢、魔法、大剣の斬撃――そのすべてが、彼女の周囲に展開された「光の粒子」に触れた瞬間、運動エネルギーを奪われ、カランと虚しく地面に落ちた。


「無駄です。今の私には、15万人もの方々の『守れ』という意志が宿っています。あなたの刃では、その想いは断てません」


 リヴィアが軽く一歩踏み出し、手にした細剣レイピアの柄で、最前線の男の胸を突く。  ドンッ!  衝撃波と共に、大男が数十メートル後方まで吹き飛んだ。


日本配信画面(狂喜乱舞)  コメント:リヴィアちゃん、マジ女神降臨!!  コメント:15万人のバフ(強化)がえげつなすぎるww  コメント:これ「触れるだけで合格」じゃなくて「生き残れば合格」の間違いだろ!  コメント:【ギフト:¥5,000】リヴィア様の神々しさに乾杯!


 圧倒的な力の差。だが、その絶望的な光景を前に、エリックだけは不敵に笑った。 「……情報の力だか何だか知らねえが、面白い。その『鉄壁』、俺の生涯を賭けて守るに値する!」


 彼が再び地を蹴る。  リヴィアは、レナードの隣で戦ってきた自負と、彼への信頼を剣に込め、最強の志願者たちを迎え撃つ。


 それは試験を超えた、新しき王国の「武」が完成する瞬間だった。

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