第24話:至高の晩酌! 隠れ根の「琥珀干し」ライブショッピング
隠れ根島での調査から数日。
レナードは早速、領地全土への「通販配信」をセッティングした。
今回のターゲットは、日々の労働に勤しむ一般の民衆、そして旨いものに目がない冒険者たちだ。
「さあ、今夜も始まりました。アスベル・ライブショッピング。……今夜お届けするのは、僕が命を懸けて見つけてきた、海の宝石です」
日本配信画面(待機勢続々)
コメント:お、久々の通販回!
コメント:例の干物か。深夜に見るのは目に毒なんだが。
コメント:レナード、今日はなんか「本気」の装備だなw
レナードの傍らには、七輪でパチパチと音を立てる黄金色の干物。
そして、キリリと冷えた領地特産の麦酒が置かれている。
「見てください、この滴り落ちる脂。この島の職人ギルさんが、潮風と独自の燻製技術で、一週間かけて作り上げた『琥珀干し』です。……普通の干物だと思ったら大間違いですよ」
レナードは、箸(異世界では珍しいが彼が普及させた)で、身をほぐす。皮はパリッと、中はふっくら。立ち昇る香ばしい煙が、画面越しにでも匂ってきそうだ。
「では、失礼して……。……っ!! 旨い。凝縮された海の旨味が、噛むたびに脳を突き抜けます。そして、この独特の香りが……冷えたエールと、完璧に合うんです」
ゴクゴク、と音を立ててエールを飲み干し、プハァと息を吐くレナード。
王都・領内配信画面(魔力水晶前)
コメント:う、美味そうだ……。今すぐ食べたい!
コメント:あのエールの飲み方、反則だろ! 喉が鳴る!
日本配信画面
コメント:レナード、完全に「孤独のグルメ」入ってるw
コメント:飲みっぷりが良すぎて、こっちもコンビニ走りたくなった。
コメント:【ギフト:¥5,000】飯テロ料。これ、日本への配送ルートまだ?
「でも、皆さん。この干物は船でしか行けない島でしか作れません。流通が難しい。……だから、今回は僕が用意した特別な『魔力保存バッグ』に詰めて、鮮度そのままにお届けします。……さらに!」
レナードはいたずらっぽく微笑み、小さな壺を取り出した。
「ギルさん秘伝の『肝味噌』もセットにします。これを身に付けて食べれば……あなたはもう、一生この味から逃れられません」
限定1,000セット。
価格は少し高めだが、レナードの説明を聞いた民衆にとっては「一生に一度の贅沢」として十分に手の届く範囲だ。
「注文は、お近くの魔力水晶の受付窓口まで! ……職人さんの魂を、ぜひあなたの食卓で受け取ってください」
放送終了と同時に、予約の光が板を埋め尽くした。
かつて「不便で価値がない」と捨て置かれていた島に、莫大な富が流れ込む音が、レナードには聞こえていた。
配信を終えたレナードの元へ、リヴィアが報告に来る。
「レナード、完売です。やりましたね!」と嬉しそうだ。これだけで頑張った苦労が報われる気がする




