第1.5話:【検証】異世界配信スキルの仕様を徹底解剖してみた
スキルを得てリヴィアの父と揉めた後、家に帰って用事から帰ってきた母に報告した。
母は「無理しなくていいのよ」と心配するだけ。
俺がこのスキルは凄いと言っても、まるで伝わっている気がしなかった。
「高速事務」という地味なスキルの父は、領主としての書類裁きが優秀で評価されているだけ、
母上は「掃除」スキルという生活に便利なスキルがあるだけ。
そもそも、二人とも息子の俺にもスキルに期待していなかったのだ。
俺は一人、目の前に浮かぶ半透明のウィンドウ――「板(配信インターフェース)」と向き合っていた。
「……さて。泣いてても腹は減るし、現実は変わらない。まずはこの『最強の配信スキル』とやらが、どこまで通用するのか検証しておこう」
検証1:視聴者はどこにいる?
ウィンドウの隅にある「接続先」の項目を叩く。
「現在の接続先:C-09(日本・掲示板サイト「2ch」風掲示板)……か。
よくわからないけど、異世界に繋がっているみたいだ」
配信をしてみる。
『テスト。異世界に転生したんだけど、誰か見てる?』
一秒後、爆発的な速さでコメントが目の前に見えるウインドウに表示された。
1: 名無しの検証勢
『うわ、また異世界転生スレかよ。……って、この映像なんだ? CGにしてはリアルすぎるだろ』
「よし、双方向のやり取りは可能。時差もほぼ無い。日本という異世界のリスナーは、僕の視界を『一人称視点』で、僕の周囲を空撮のように見ることができるみたいだ」
検証2:ポイント(LP)とギフトの仕様
画面には「LP」という数値が表示されている。
LPの貯まり方: 視聴者数、コメント数、そして「高評価」に連動してリアルタイムで加算。
ギフト(投げ銭): 日本のリスナーが課金して送ってくれるアイテム。これはポイントとして集計される。
「試しに、誰か明かりをくれないかな。ここ、暗いんだ」
日本配信画面
コメント:お、なんかチュートリアル始まった。 コメント:投げ銭で魔法発動すんの? マジなら面白そう。
コメント:【ギフト:100円】送ってみたぞ。
ウインドウのポイントに100という数字が加算された。
「……なるほど、これでLPを稼げば、できることが増えそうだ」
他の接続先には、様々な場所が表示されており、座標を指定すれば任意で追加もできそうだ。
「接続先:A-01
(現世界オルテア・王都:魔法水晶)、
接続先:A-02
(現世界オルテア・領内:魔法水晶)、
接続先:A-03
(現世界オルテア・隣領:魔法水晶)...」
「……これ、使い道次第じゃ、もしかしたら強いかもしれないぞ。伝令なんて馬が一番早いとされているのに、任意の場所に一瞬で情報を届けられるんだ」
異世界の視聴者が僕の味方。
そして、この世界で「真実」を操作できるのは僕だけ。
「見てろよ、公爵。……役立たずのスキルが、どれだけ世界をめちゃくちゃにするか」
少年の瞳に、冷たくて野心的な、最強の「配信者」の光が宿った。




