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第11話:炎と涙、再起の槌音



 配信が終わり、静まり返った工房。そこには、赤々と燃える炉の光に照らされたバラムの姿があった。  彼はレナードから手渡された袋――ずっしりと重い金貨の詰まった革袋――を、ゴツゴツとした大きな手で何度も何度も撫でていた。


「……夢じゃねえんだな。俺の剣が、あんなに売れたなんて」


 バラムの声は低く、かすかに震えていた。  


かつて「偏屈」と呼ばれ、誰にも顧みられず、錆びた鉄屑ばかりが積み上がっていたこの場所。借金取りの足音に怯え、娘のカレンにひもじい思いをさせてきた歳月が、バラムの脳裏をよぎる。


「バラムさん、これで新しい設備も、最高級の鋼も、思う存分買い付けてください」  


レナードが微笑むと、バラムは顔を上げ、目に涙を溜めて笑った。


「ああ……! まずはあのボロい炉を直す。それから、カレンに新しい服を買ってやらなきゃな。……レナード殿、あんたはとんでもねえ男だ。俺の腕を、ただの武器じゃなく『魂』だって言ってくれた。あんな風に紹介されたら、職人冥利に尽きるってなもんだ」


日本配信画面  

コメント:じいさん泣くなよ、こっちまでくるわ。  

コメント:自分の技術が正当に評価されるって、一番の報酬だよな。  

コメント:【ギフト:お祝いのシャンパン ¥3,000】工房の立て直し、応援してるぜ!  

コメント:カレンちゃんが横で嬉しそうに笑ってるのが最高にエモい。


「お父ちゃん、よかったね……! 私、明日から材料の仕入れ先を回ってくるよ。バラム工房の復活だって、街中に触れ回ってやるんだから!」  カレンが弾むような声で言うと、バラムは照れ隠しのように鼻を鳴らし、再び金槌を握った。


「……ふん、忙しくなるぞカレン! 注文を待たせるわけにゃいかねえ。レナード殿、あんたの期待に応える最高の『業物』、これからバンバン打ってやるからな!」


 キン、キン、と夜の王都に響き渡る槌音。それは、絶望に沈んでいた職人が再び希望を叩き出す、力強い再起のメロディだった。


「……いい音だ。さて、リヴィア。僕たちも次の仕事に取り掛かろうか」 「


はい、レナード。……次は、どのような『魔法』を見せてくださるのですか?」


 レナードは夜空を見上げた。その視界には、日本のリスナーたちが提案する「次なる事業計画」が、無数の流星のように流れていた。

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