表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/15

九話

 パーティが終わり、私とアリアス様は部屋でくつろいでいた。



「さっきは、私の妹がご迷惑をおかけしました」



 どうやらここは、パラディ辺境伯の別邸であるらしい。

 王都以外を治めている貴族は、王都に滞在するときのために別邸を用意しているのだと、彼が教えてくれた。

私の謝罪を前にして、アリアス様は特に気にした様子もなく。



「君が謝ることではない。妙な真似をしてきたのは向こうの方だしね。むしろ、私の方こそすまなかった」

「え?」



 意味がわからない。

 何を謝っているのだろう。

 この人に、何の非もないのに。



「いいや、君を傷つけてしまった。君は、家族と仲が悪いんだろう?もっと言えば、かなり冷遇されていたんじゃないのか?」

「……はい」



 どうやら見抜かれていたらしい。



「でも、気になさらないでください。もう、関係ないことですし」

「そうなのか?」

「はい、それに、そのおかげで私は貴方の婚約者になれましたので」

「……そうか」



 アリアス様が何を考えているのかはわかりません。

 でも、どこか納得したようにうんうんとうなずいて、顔をほころばせているから気を悪くしたわけでもないのだろう。

 


「これからも、よろしく頼むよ。婚約者として、そしてできれば、妻として」

「…………はいっ!ふつつかものですが、よろしくお願いします」



 私も、頭を下げて、彼の手を握る。

 彼の手は、やはり大きくて、太陽のように温かった。



「まったく、何をやっているのだろうな、私達は」

「ええ、本当に」



 照れくさくて、思わず二人して笑ってしまった。



「そういえば、王都の結界とパラディ領の結界、少々違いませんか?」

「ああ、王都の結界は私以外にも携わっている人がいてな。『大賢者』ヴィジャード殿に協力してもらっているのさ」

「まあ、そうだったんですね!」

「隠しているわけじゃないが、わざわざ表に公開する情報じゃないからな。知らないのも無理はないさ」

「それでそれで、具体的にはどんなふうに違うんですか?」

「防御面は私の結界魔法と大差ないんだが、攻撃面が違うな。私の感知結界に引っかかったターゲットにヴィジャード殿の攻撃魔法術式が作用して迎撃できるように――」



 その後は、いつものようにひたすら魔法について話した。

 私は、恵まれすぎていると、十分幸せなんだと、改めて感じたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ