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魔剣大戦  作者: 笠原祐樹
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第6話 取り戻せない過去

 



「海斗、少しいいか?」

 俺が朝いちに教室に入ると既に海斗は俺を待っていたかのようにこちらに体を向ける。

 五代海斗ごだいかいと。俺の幼馴染で昔から優秀で正義感の強い男だった。


「総司、久しぶり……。今まで学校休んでたのにどうして急に来たんだ?」

「とぼけるな海斗……。2人とも魔剣大戦に参加したのか?」

「僕は色葉の家の都合で一緒に参加したんだ。君こそなんで大戦に?」

「俺は言えない……」

「もう、僕にかかわらないでくれ裏切者。君の隠し事にはうんざりなんだ」

「…………」


 海斗は俺という男に見切りをつけ教室を出て行ってしまう。

 こうなったのは全て俺のせいだ……

 俺は2人を裏切った。でも……



「誰だ!」

 教室の片隅から物音がする。だが海斗が戻ってきたとは思えない。



「惨めねあなた……」

式条加奈しきじょうかな……。盗み聞きなんて趣味が悪いな」

「たまたま聞こえてきたの。1年間も高校に来てなかったのに何しに来たの?」

「お前には関係ないだろう」

「関係なくはないかな……」

「どういう意味だ?」

「さあね。私はあなたに興味ないの」


 相変わらず嫌味な女だ。俺は彼女のことが1年生の時から苦手だった。

 そして、この学校も。

 去年の今ぐらいから1年近く不登校を極めている。

 理由は言いたくないし、言えない……



「帰ろう……」

 時刻はまもなく7時30分。クラスにも人が出入りする時間だ。

 鉢合わせするのもあまり好ましくない。



◇◆◇◆◇




「おかえり総司。学校、ずいぶんと早いんだね」

 俺が新居に帰るとミアはステーキを食べながら俺の帰りの早さを疑問に思う。

「…………」

「魔剣は失った過去を取り戻せるよ。過去を変えたいなら落ち込んでいる暇はないんと思うけど」

「分かってるよ……分かってるんだ」

 本当にこの悪魔は何でもお見通しのようだ。


「じゃあ、第一回作戦会議といきますか」

 ミアは口に付いたソースを拭き、どこから用意したのか分からないがホワイトボードを用意する。



「勝つためにも、こっちから動かないと基本的には戦いは起こりづらいんだよ」

「やっぱり素人狩りの襲撃は魔剣の能力なんだな」

「恐らくね。それでこれを見て欲しいんだ」

 ミアがタブレットの画面を見せてくる。

 そこには、人の名前と順位が書かれていた。


「ゲームのランキングみたいだな」

「ひと昔前は裏新聞とか魔法が使われている時代もあったんだけど、今回はダークウェブがその役割を担ってるの。これは魔剣の瞳の所有数」


「日本1位、鏑木紅蓮かぶらぎぐれん、保有数2700。2位、笹島影渡ささじまえいと、保有数2450。3位、八飼一児はちかいいちじ、保有数2300。化け物かよ……」


「そこまで来るとランカーって言われて、大きなギルドを持ってるかな」

「勝てるのか、こんな怪物相手に?」

「私たちはだいぶ出遅れてるの。5年くらい」

「5年で少なくとも2700人狩ってるんだろ1位は……」

「そんな所だね。そして100位以内に入ると現在地が分かるの。だからこそ単独でランカーなんかしたら他のギルドに狩られるだけ」

「ギルドか……」

 人付き合いの苦手な俺にはかなり厳しい難易度だ。

 それに、これはあくまで日本での話。世界にはこれを超す化け物がわんさかいるのだろう。

 人を集めるにも力を示さなければいけない。

 そのためにも魔剣の瞳はより多く獲得する必要があるのだろう。





 俺は説明に疲れぐったりしているミアのタブレットを見てみる。

 ダークウェブ。普通に生きていればアクセスなどしない闇のサイト……

 画面には多くのサイトが公開されており、俺は情報屋と書かれている所をクリックする。

 情報屋なら何かギルドに関する良い情報を持っているかもしれないと思ったからだ。


『もしもし情報屋です』

 画面を押しただけで誰かと通話が繋がってしまう。変声機を使っているがその声は女性のようだ。


「ギルドのメンバーを探しているのですが……募集している人とかいますか?」

『あなたね……ここは情報屋ですよ。ギルドのメンバー募集の掲示板を見てください』

 通話の主は呆れながら電話を切ってしまう。

 カスタマーサービスではないんだな……



「サポーター募集に技術者募集……俺は何してんだ」

 不登校の時に見た就活サイトに似ており見ているだけで嫌悪感を覚えてしまう。

 ようやくギルド志願者のページにたどり着くことはできたが……


「やっぱり条件に合う人はなかなかいないな……」

 他人に願い事を譲りたい人などそうそうおらず、条件もかなり厳しい。

 検索数は徐々に増え、スクロールする速度も速くなる。

 ボーっとしていた俺は間違えて募集のボタンを押してしまった。


「しまった……取り消せないのか?」

 俺の試行錯誤もむなしく相手からメッセージが届いてしまう。


【募集ありがとうございます。今日の午後5時、カフェ〇×で会いませんか?】


 どうすんだこれ……

 俺はタブレットの電源をそっと落とした。












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