第4話 魔剣の瞳
俺は首のない死体を見つめる。
死体はやがて紫の炎に包まれ俺の前から消えてしまう。
「俺も負ければこうなるのか……」
「負けなきゃいい話でしょ」
「今回の相手は油断していただけだ。次からはこう上手くはいかないだろう」
「そのためにも、総司にはもう少し魔剣の使い方を覚えて欲しいな」
「分かっている。それより、大丈夫なのか? 瓦礫とかガラスが道路まで散乱しているが……」
「それはもうすぐ元に戻るよ」
少女がそう言うと、時間が戻ったかのように家がもと通りになる。
俺の肩の傷はやはり元には戻らなかったが。
「魔剣大戦はあくまでも一般人には内緒なんだよ。だから、魔剣は世界にその事実を隠して戦闘をなかったことにする。それと他人の魔剣は奪えないし、壊すことはできないよ」
俺が死んだ男の魔剣を確かめるとそう忠告される。
やはりそんなに上手い話はないか。
「これはなんだ?」
俺は近くに置いてあった宝石のような物を拾う。
「良くもまあ、こんなにため込んだね。これは魔剣の瞳。魔剣所有者である魔剣使いを倒すと1つ手に入る。どうやらこの男は12人も魔剣使いを倒したようだな……」
素人狩り。12人も殺したのか……
魔剣の瞳は素人狩りの男を倒したことで13個に増えた。
「この瞳には価値があるのか? 宝石というには軽すぎるが……」
「だいたい1つ100万円くらいかな。普通の銀行じゃなくてゴブリンの銀行で換金するんだ」
「合計すれば、1300万……」
「半分くらい現金化して、もっとセキュリティの良い家に引っ越そうか」
「全部換金しないのか?」
「瞳はお金以外にも使い道があるからね」
少女は俺の手を引き、銀行へと向かおうとする。
そんな少女の細い腕を俺は引っ張る。
「おい、お前は俺に大事な事を言ってないぞ」
「大事な事? 魔剣大戦の概要は粗方話したが?」
「お前は何者だ?」
「人間だよ」
「嘘をつくな。人間が夢に出てくるわけがないだろ」
「うーーん。もともと人間だった。今の肩書は『悪魔』って所かな」
「悪魔……。俺はお前をなんて呼べばいい?」
「そうだな……昔は『ミア』そう呼ばれていた」
「そっちの方が良い名前だ」
「なんか照れるな……」
悪魔は少し頬を赤らめた。
◇◆◇◆◇
「ここがゴブリンの銀行か?」
「そうだよ。このエレベーターを降りればもう着く」
俺は地下にある銀行の中に入る。
そこには実際にゴブリンたちがスーツを着て、接客や勘定をしたりしている。
俺たちは換金と書かれた受付で現金を受け取る。
「ちょっといいかな?」
「他に何か御用が?」
頭の毛が薄いゴブリンはミアの要求を尋ねる。
「ここら辺にセキュリティの良いマンションとかある? できれば家具付きで」
「お客様の希望金額ならこの辺でしょうかね」
俺は新居の事はミアに任せ銀行内をうろつく。
ここにいるのは全員ライバルってことだよな……
いずれは殺し合わなければいけないのか。
見るからに強そうなやつもいるが。女子高校生に、人を殺せるような年齢ではない小さな子供までいる。
「総司……」
俺は思いもよらない人物と出くわす。
「色葉、海斗……」
なぜ、なんで2人がここにいるのか? 同じクラスで幼馴染の2人。小さい時から仲が良かった。
嘘だ……。
信じたくなかった。




