第2話 戦いの始まり
「魔剣大戦のルールはシンプルだよ。勝てばいい」
「そんなことは分かっている。それで?」
「つれないな……」
少女はそう言って俺にルールを説明してくれる。
「魔剣大戦。500年に1度しかない歴史ある戦い。魔剣大戦への参加資格は魔剣を保有していることだけ。だいたい決着には10年近く掛かることもあるかな。負けた敗者に待つのは強制リタイア」
「強制リタイアってなんだよ……」
「死ぬ。魔剣に生命力を抜き取られてね」
「マジかよ……」
「もちろん必ず死ぬわけではないよ。降参すれば相手の傘下に入る代わりに死ななくてすむ。もちろん相手がそれに合意した場合だけど」
「チームプレイも認められているのか?」
「個人で勝ち残る人はまずいないよ。それにこの大戦はゲームじゃないの。ルールらしいルールも定められてない。だから、魔剣所有者以外にも協力者としてサポートできる」
「つまり、お金持ちの息子ならSPとか雇っていいのか?」
「まあ、魔剣の力は圧倒的だから戦闘面ではあまり役に立たないけど、金銭面とか情報面ではかなり期待できるかな」
魔剣大戦。ただ敵を倒すというだけではないようだ。
それはそうか。500年に一度。それも、勝者の願いはなんでも叶う。
だからこそ多くの人と金が動く。
「俺たちが勝てる確率は?」
「今の状況じゃ限りなく0に近いかな」
「なら、どうするんだ?」
「仲間を増やすんだよ。協力者を作るのが一番早い」
「でも、願いは一つしか叶えられないんじゃないのか?」
「そう。そこが問題なの。だから、同じ目標を持つ人でクランとかギルドを作る人が多いかな。これは時代が変わった今でも同じかな」
前回の魔剣大戦から500年近く経っているのなら、環境はだいぶ違うだろう。
今の時代は自動車もあるし、スマホもある。
ネットで募集なんて方法も取れなくはない。
「まあ、習うより慣れろじゃない?」
「どういう意味だ?」
「伏せて」
少女は俺の座る椅子の足を蹴ったことで俺は地面に倒れこむ。
次の瞬間家の壁に無数の穴が開き、銃弾が家中の家具を破壊する。
「おやおや。素人だけではないんですね」
壁を蹴り、サラリーマンの格好をした男がマシンガンを片手に入ってくる。
「人の家の壁を壊すな……それに何平気で人の家に土足で入って来てんだ!」
「ああ、いい発言です。やはり素人。この私が狩って差し上げます」
男は俺にマシンガンの照準を定める。
訳が分からない。いきなり人の家の壁を壊すし、日本という国でマシンガンを持っているし。
いや、これが魔剣大戦。
戦いは既に始まっているのだ。




