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いつか死ぬ心優しい勇者と幼馴染の文通  作者: 紫 凡愚
第2章 初めての魔人討伐
5/50

レイナ to ケイト 〜新しい出会い〜

紫 凡愚と申します! この小説は半分が手紙で構成されているという少々特別な文体となっていますが、逆に普通の小説よりも読みやすいので、気軽に読んでください。

 ケイトへ


 久しぶりね、ケイト! もう面倒臭いから、高尚な手紙の書き出しなんてやめるわ!

 さてと、何について書こうかしら。


 ……やっぱり手紙を書くのは苦手ね。何書いていいのか分からないから、前の文章書いてから一日経っちゃったわ。


 まずは、近況報告からすることにしようかしら。これは別にケイトを参考にしたんじゃなくて、あなたが知りたいかなと思って親切心で教えてあげてるんだからね!


 私は元気でやってるわ!


 それに新しい友達もできたの! オスカーとエリザベスとアルフレッドっていうんだけどね、全員頼もしい仲間よ。


 四人で一緒に魔獣討伐に出かけた時なんて、グロモンスベアをたくさん討伐したのよ。全員が一人で倒せるくらいの実力があるから、協力すれば簡単だったわ。私が知らないだけで、世界にはまだまだたくさんの強者がいるのね。


 私ももっと強くならないと。今はまだ、彼らに守られているけど、いつかは彼らを守れるようになりたい。


 いつかケイトにも合わせたいから、ちょっとだけ三人のことを書かせて。


 オスカーとエリザベスとアルフレッドは年の差はあるけど冒険者としてパーティーを組んでて、すごく仲がいいのよ! まるで私たちみたい。


 オスカーは小柄な男の子なんだ。私より一歳年下で頼りなさそうにも見えるけど、魔法の腕前は誰よりも凄いの。杖を一振りしただけで、何十体ものモンスターを倒しちゃうんだから。


 それに普通は苦手な魔法とかあるじゃない? って、よく考えたらケイトは魔法の教育を受けていないから分からないのか。あ、でも本をよく読んでいるし、知っているわよね。普通は得意不得意が魔法の属性によって分かれているんだけど、オスカーは全てを高水準で使うことができる。


 そんな天才なのに可愛いところもあって、ちょっと子供扱いしたら、


「僕は子供じゃない!」


 って反抗するの。その様子が余計子供みたいでね、ついまたからかっちゃうんだ。もしオスカーに会ったら、いじってみて。


 エリー(エリザベスとは特別仲が良くて愛称で呼んでるの)は女の子で私と同い年なの。貴族なんだけど、父親と相性が合わなくて家を飛び出したんだって。


 元貴族とは思えないくらい言葉遣いは悪いけど、いい子なんだ。


 彼女は回復の魔法が得意で、私たちが怪我したら、すぐに治してくれるの。普通なら治らないような怪我や病気まで治るのよ。私も回復の魔法を練習しているんだけど、エリーみたいにはできない。本当にすごいわ。


 魔法をかけられると、怪我する前より体調良くなるんだから。


 ……あとこれは秘密なんだけど、ケイトはカイク村にいるから話すわ。


 実はエリー、オスカーのことが好きみたいなの。そのことを本人に聞いてみたら、すぐに顔を真っ赤にして、


「そっ、そんなわけねぇだろっ。あんなガキ誰が相手にすっか!」


 みたいに誤魔化すのよ。


 でも目も泳いでるし、そもそもオスカーと話している時の姿を見れば、すぐにわかるわ。目がとろけちゃって、ずっと笑顔だし。


 実際に会っても、私が言ったってことは内緒にしててよ! 二度と回復してもらえなくなっちゃう。


 それからアルフレッドね。彼は私の一個上の先輩なの。戦闘には盾を使うんだけど、なんて言うか、変な戦い方なのよね。


 普通盾って自分を守ったり、味方を守ったりするものじゃない?


 でもアルフレッドは、もちろん守備もうまいんだけど、盾で攻撃するのよ。盾を投げたり、突撃したり。しかも、かなり破壊力あるのよね。


 小さい時の私がグロモンスベアに吹き飛ばされたように、グロモンスベアを吹き飛ばすほどのパワーなのよ。一体どうなっているのかしら。


 彼は年上というだけあって、中々頼れるわ。いつもは仏頂面で堅苦しい人なんだけど、たまに笑顔を見せるの。オスカーを子供扱いしてからかっている時は特にね。


 二人は昔から仲がいいみたい。


 作戦を立てるのも上手いし、どこかケイトに似ているわ。普段は笑顔を見せないところとかね。だからこそたまに見せる笑顔がなかなか男前……って、これはあなたが男前って褒めてるわけじゃないわよっ。まあ、良い顔をしてるのは認めるけどさ……。


 とにかく私は元気でやってるってことを伝えたいのよ! 仲間もできたし寂しくもないわ。


 むしろケイトの方が私に会いたくておかしくなっちゃうんじゃない?


 ……今、からかわれてイラッとしたでしょ。ふふん、私だってあなたのことよく分かっているんだからね。


 もちろん魔人討伐は怖いわ。両親のことを思い出すし、もちろんケイトの両親のことも……。でも彼らがいれば、どうにかなりそう。もちろん、その「彼ら」の中にあなたも入っているわ。遠くで応援してくれているあなたもね。


 私には頼れる仲間がいて、一流の魔法と剣の師匠もいて、目標もある。でも何か足りない。その「何か」はたぶんケイトだと思う。小さい時からずっと一緒なんだもん。しょうがないわ。


 多分、ケイトも同じこと思っているでしょ。


 きっとこの手紙が届く頃には、私は魔人が出没しているフレイン地区に行っているはずよ。もしかしたら討伐まで完了しているかもしれない。任務が終わったら新聞に載るはずだから、朗報を楽しみにしてて!


 あ、それから、今回の魔人討伐の遠征でアルフレッドと共謀して、オスカーとエリーを付き合わせる作戦を立ててるんだ! エリーが気持ちを伝えたら、きっとオスカーびっくりするわね。いつもクールなオスカーの顔が崩れるのを早く見たいわ!


 その結果は手紙で報告するわね!


 毎度のことながら、あなたの健康は祈らなくていいわね。その代わりフリンの健康を願うことにするわ。レイナより


作者の紫 凡愚と申します!

この作品が面白い、気になると思った方は是非、ブックマーク、コメント、評価お待ちしています。途轍もないやる気になります!

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