爽やかイケメンの年下助手が私をからかってくるんですが、どう対処すればいいんでしょうか?
看護師の仕事は忙しい。患者さんの身の回りのお世話やメンタルケア、診察補助に夜間勤務……それはもう恋愛なんて出来る暇もないほどにだ。
だけどそんな私にも少し気になる異性がいた。
「佐藤さん。もうすぐ終電の時間ですけど、帰らないんですか?」
デスクで事務作業をしている私に声をかけてきたのは、この職場で唯一の男性の看護助手。名前は杉山爽汰。彼は24歳と私より5歳年下で、身長180㎝越えの爽やかイケメンである。
そのため他の看護師から非常にモテている。
だけど彼は普段他の看護師たちには目もくれず、なぜか私にだけはこうして自ら話しかけに来てくれる。こうした特別扱いを受け、自分でもちょろいとは思うが、私はそんな彼のことをいとおしく感じていた。
「うん。まだ仕事が残ってるし」
「そっすか。そんじゃ佐藤さんの仕事が終わるまで俺ここで待ってます」
「えっ!?」
今までこんなことはなかったので少々驚いた。
「い、いいよそんな……わざわざ私なんかを待ってる理由なんてないでしょ?」
「理由ならありますよ。えっーと……あっ、そうだ! だって今日は大晦日じゃないですか! だから残るんですよ!」
なにを言い出すかと思えば……
「大晦日は残る理由にはならないでしょ。……ホントの理由は?」
「それは……だって俺、佐藤さんと一緒に年越したいですし」
「えっ!?」
勘違いしちゃいそうなストレートな告白をされ、思わず動揺してしまう。
「……なぁにそんな赤くなってんすか?」
ニヤニヤといやらしい笑顔浮かべながら、私を見つめてくる。
「べ、別に!? 赤くなんてなってませんけど!?」
「フッ、そうっすか……それより佐藤さん。仕事やらなくていいんですか? このままじゃ徹夜でやることになっちゃいますよ」
「なっ!?」
誰のせいで仕事が遅れてると……
彼との会話を打ち切り、再び事務作業に向き合おうとした時だった。
「終わったら一緒に初詣に行きましょうね」
彼から初詣の誘い。
私は手を止め、少しだけコクンと首を縦に振ってこたえる。
「あっ、佐藤さん。今スマホで調べたんですけど……近くの神社、恋愛成就で有名なとこらしいですよ。……よかったすね」
その発言を聞き、瞬時に彼の方を振り向くと、さっきと同じニヤニヤした顔を浮かべていた。
「う、うるさい!!!」