壊れた心
彼女に出会ったのは高校1年の時、新しい環境に不安でいっぱいだった俺に、優しく声をかけてくれた。
「私、七海って名前なの!よろしくね!」七海はクシャッとした笑顔で俺の隣の席に座った。ショートカットがよく似合う元気な明るい女の子だ。一目で好きになってしまった。
「俺、、、一輝」俺は彼女を避けるようにボソッと呟いた。女子と仲良くすると茶化される、思春期特有のアレが嫌だったからだ。この時、もっと素直になっていれば、あんなことにはならなかったかもしれない。
数ヶ月が過ぎ、新しいクラスにも慣れてきた頃、俺はいつも通り学校に行き席に着いた。机の上には、四つ折りにされた小さなメモ用紙が置かれている。紙を開くと七海からのラブレターだった、驚きと嬉しさでニヤケを抑えることが出来なかった。内容はとてもシンプルに、「私と付き合って YES or NO」と書かれていた。あまり話した事は無かったが、俺はすぐにYESにマルをつけ七海の机に置いた。
付き合い始めてからは、少しづつ互いの距離を縮めて行った。家では毎日LINEをして、放課後には一緒に帰った。だが、学校の中では今まで通りあまり話をしない。周りに茶化されたく無かったからだ。そんな生活がとても楽しく充実していた。あの日までは、、
高校1年生の終わりに、突然その日がやってきた
「実はさ、一輝に告白したのドッキリだったんだよ、、」その一言で俺の頭は真っ白になった。「え、ドッキリ?なにそれ」今までの楽しい思い出が、粉々に砕け散る音がした。
「一輝って女子に慣れてなさそうだから、からかってみたかったの、でも一緒にいたら楽しくて、嘘ついてるの辛くなっちゃって、、」悲しそうな声で七海は言った。悲しいのは俺の方なのに。
「じゃあ俺たち付き合ってなかったんだ、そっか」俺は怒りと悲しみを押し殺しボソッと呟いた。
その日から彼女への復讐だけが俺の生き甲斐になった。