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降りた途端、額にゴチッと衝撃が走る。

目の前に本日、二度目の火花が弾けた。

「あいったあー」

「っつう」

額を押さえて痛がる英麻のすぐ前には同じ格好でうめくハザマがいた。この二人、またも正面衝突したらしい。みるみる双方の頭に大きなたんこぶができていく。

「いってえ…ったく、どこ見てんだよ、足立!」

ずけずけ文句を言いながら、ハザマが真正面から英麻を見た。その空色の瞳にもうそれまでの刺々しさはなかった。

「盛大によそ見しやがって、気をつけろよなっ」

「何よ、そっちがいきなりスピカのそば横切るからじゃない。ああっ、そうだ」

唐突に英麻は思い出した。

「あんた、私が江姫に馬跳びされた後、笑ってたでしょ!?」

「ふんっ。何だ、そんなことか。あー笑いましたとも!当然だろ、目の前であんな無様な姿見せられたらな」

「はあ!?」

「俺はおまえみたいな奴、タイムアテンダントとして全っ然、認めてないからな。そもそも、回収任務引き受ける動機が不純すぎるんだよ。ひじきぐみだか何だか知らんが、浮かれやがって」

「ひじきじゃない、聖組ッ。よくも言ったわね、江姫の馬に乗る時、びびってたくせに!」

「言うなっ、それを」

「ほらほら、もうそれくらいにしないと」

互いの鼻がくっつきそうな近さでいがみ合う二人をサノが引き離そうとする。

「だって、サノ先輩ー。ハザマったらひどいんですよお」

英麻はわざとらしく目を潤ませ、サノの腕にしがみついた。

「おい!いつ、おまえの先輩になったんだ、馴れ馴れしくすんなっ」

怒鳴りながらハザマも対抗して反対側の腕を引っ張った。

「あーもう、二人ともいい加減にしなさいっ。まずはそのたんこぶの手当てが先!君らさっきの戦いでは無傷だったのに、何でこーゆうことでケガするかなー」

サノの説教中も英麻とハザマの口ゲンカが収まる気配はなかった。それでも、スピカから降りたみなみは安心したようにほっと息をついた。

「なんだかんだで仲直りしたみたいだな」

舞子がみなみの方を見る。

「あの二人、前に何かあったの?」

少し考えてから、みなみは笑ってこう答えた。

「いいや、なーんにも」


五月のある日の深夜。ほんのわずかな時間、十二枚の時の花びらを見たことでそれらに触れる力を得た少女三人。

タイムエンジニア、若田舞子。

タイムパイロット、服部みなみ。

そしてタイムアテンダント、足立英麻。

この三人がスカイフェアリーズとして、残り半分となった時の花びらの回収任務を担っていくこととなる。


                                                                     (おわり)

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