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221X年


時空時計の7時を示す文字盤に時の花びらが現れたのを、ミサキは時空制御室越しに認めた。隣にはオカ司令官もちょこんと立っている。

ミサキのコンピューター操作により、江姫に宿っていた時の花びらは滞りなく保護バリアーに包まれた。

「回収完了」

ミサキが宣言した。オカ司令官はパチパチと手をたたいた。

「おお、これで六枚目の時の花びらも無事、回収されたわけじゃっ。よかった、よかった」

「先ほどサノから通信連絡がありました。メビウスはすでに退散、そして、新たにスカイフェアリーズに加わった若田舞子、彼女はタイムアテンダントではなく、タイムエンジニアなる整備士に相当するクルーに変身したそうです。エンジニアジュエルの力を借り、損傷したスピカの修復をやり遂げたと」

ミサキが警護手帳片手に報告する。開かれた手帳の文面には、直立した舞子のミニサイズの立体映像が浮かび上がっていた。

「おう何と!それは心強いことじゃな。君もそう思わんかの?」

そう言ってオカ司令官がのんびり振り返った先にいたのは、オオツジだった。いつからそこにいたのか、腕を組み、部屋の隅の壁にもたれるようにしてこちらを見ていた。かつて睡眠時間を搾取された憎っくきかたきを前に、ミサキは両肩から黒い陽炎のごとき怨念を立ち上らせていたが、オオツジはまるで動じなかった。

「お話し中のようでしたので」

「構わんよ。して、例の豊臣秀吉誘拐事件の方は?」

オカ司令官が尋ねた。

「秀吉は無傷で救出しました。何が起こったか、本人はわからずじまいでしょう。戦国時代および、歴史全体の流れにも被害は確認されていません」

よどみない口調でオオツジは報告を述べた。腕を組んだまま、さらに続ける。

「実行犯はすべて捕縛しましたが、それらはすべて人間になりすましたナルシス兵だったため、あまり意味はなかったかと」

「さすが、オオツジ隊長率いる特別部隊じゃな。よくやってくれた。この部隊には気が休まる時がまるでないからのう。休める時にはちゃーんと休んで自分を労わるようにな」

ねぎらいの言葉をかけられてもオオツジは表情一つ変えず、例の、人を食ったような悠然とした顔でいた。

「ところで」

長い指でオオツジは自身の顎を撫でた。かすかだが、その顔に奇妙な笑みが浮かんだ気がした。

「どうやら時の花びらの回収は今回もまた、アテンダント、パイロット、エンジニアの三役によってなされることになりそうですね」

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