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ぼっちだった

 碁盤の目のように綺麗に区画整理されたセイアンキョウを上空から眺めていると、少し離れた場所を進軍するドワーフの武装集団を発見したので、そのまま偵察する事にしたロトルルは現在、武力介入するかどうかを悩んでいました。


「紛争は全て根絶する。私がロトルルだ」


 という冗談はさておき、あの武装ドワーフ集団がどこに進軍しているのかは純粋に気になるので気付かれないように上空から見守ってついて行く事にします。



 しばらく後をついて行きましたが、日が暮れだした所で武装ドワーフ集団は野営の準備を始めてしまったので、その日は木の上に簡易的なツリーハウスを作って眠りました。


 翌日。


 孤児院時代の習慣で寝過ごす事もなく武装ドワーフ集団よりも早く目覚めた私は朝食を軽く摂って武装ドワーフ集団の進軍再開をヒヒイロカネバグの確認ついでに鉱石変化をしながら待ちました。


 バグはしっかりと直っていたので一応神様に労いの祈りを捧げておきます。(ギターはまだかの?)


 ……幻聴かな? ふぅ、今日も一日頑張るぞい!


 神の声を聞けるほど私は信心深くは無いはずなので一旦幻聴を無視し、武装ドワーフ集団が進軍を再開したので昨日と同じく上空から見守りつつ、後をついて行きます。


 しばらくついて行くと遠くの方にエルフの森的な集落が見えて来たので、この武装ドワーフ集団はそこに向かって進軍しているという事が分かりました。


「この世界でもエルフとドワーフは仲が悪いのでしょうか?」


 さすがに私も覚悟を決めないといけない気がしてきましたが、まだ何かが起こった訳でもないので様子を見ましょう。何かが起こってしまった時は、その時はその時です。


 エルフの集落にとうとう辿り着いてしまった武装ドワーフ集団が、武器を天高く掲げるとエルフの集団がそれに呼応して弓や槍などを同じく掲げて、楽しそうな宴会が始まってしまいました。


「わ、私は何を見せられているのだ……!?」


 とりあえず血みどろの戦争が始まる事は無かったのでそれは良かったのですが、宴会にしては妙に雰囲気がピリピリしている感じがします。

 上空から見守っているので会話内容はよく分かりませんが、死亡フラグが立つようなセリフが所々で聞き取れました。


「まるでレイドバトル前……あっ」


 前世でプレイしていたVRMMOでレイドボスバトル前に前夜祭と言ってギルド同士で交流するプレイヤーイベントを思い出しましたが、私はコミュ障ぼっちだったのでソロで参加して気不味い思いをしてから一度も参加しなくなりました……。悲しいね……前世の私……。


 その時にもプレイヤー同士、冗談で死亡フラグセリフを言い合っているのを傍から聞いていたので、今の状況と被りますね。


 今はぼっちじゃありませんよ? いえ、確かに今は一人で居るのでぼっちではありますけど、そういう揚げ足を取るような事は言わないでくださいね。私、ぼっちじゃないので。


「ボスモンスター的なものでも居るのでしょうかね?」


 例えば鬼とか蛇とか狐とか、あと蜘蛛もか……前世の日本ってボスモンスター的な存在が結構居ますよね。本当に居たかは分かりませんけど。言い伝えで残っているので似たような存在は居た可能性は高いはずです。


「そういえば魔王も居ましたね……前世の日本ヤバイ!」


 本人は一度も魔王と名乗ってはいないと後の歴史学で証明されましたが、アニメやゲームの印象が強すぎて世間一般では魔王認識なのでやっぱり魔王ですね。

 自称魔王より他者から魔王と呼ばれた方が位が高い気がします。


 とりあえずエルフ対ドワーフで大合戦なんて血生臭い事では無くて良かったです。


 その日は夜まで宴会が続いて、その様子を一人寂しく見守るロトルルちゃんなのでした。前世の記憶が蘇ってつらいです……。

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