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ドワーフ少女の店員さんに勘違いされた

 オクヤさんと薬屋で別れたロトルルは、ガナサキ島をぐるりと一周して、その観光資源のあまりの少なさにガッカリし、ヒズル国本土へ渡る方法をゲート広場にある通行証売場のドワーフ少女の店員さんに聞いていました。


「ごめんなさいね。今は外国人の受け入れは制限されているの」

「制限、ですか?」

「西と東でちょっとね……ごめんなさい。外国の人にはこれ以上言えないのよ」


 うーん……内戦でしょうか? 関ヶ原の戦い的な? 天下分け目の大合戦? ちょっと見てみたい気もします。


「どうしても行きたいといった場合はどうすれば良いでしょうか?」

「うーん、本土では無いけど本土に一番近いシクニ島から船を漕いでセイアンキョウに入るのが……ってダメよ! いい? 今のは聞きなかった事にしてちょうだい」

「分かりました。ではシクニ島行きの通行証をください」

「もう、全然分かってないじゃない!」


 シクニ島行きの通行証を購入しようとしましたがドワーフ少女の店員さんに「絶対に売りません」と断られてしまったので、地面に転がっていた石ころを拾って錬金スキルで金に……オリハルコンに一発変化出来たのでこれでドワーフ少女の頬っぺたを叩いてやりましょう。


「オリハルコンをプレゼントするのでシクニ島行きの通行証を売ってください」

「ダメです。そもそもオリハルコンなんて希少な物をあなたが持っているはずがありません」

「鑑定スキルで調べてもらって構いませんけど?」

「ダメです。例え本物だったとしてもあなたをシクニ島に行かせる訳にはいきません」


 もう、頑固な店員さんですね。


 しょうがないので正規ルートは諦めて、雑貨屋などでヒズル国の地図を購入してシクニ島には転移で行く事にします。

 それとせっかく作ったオリハルコンを無駄にストレージの肥やしにすることも無いですし、鍛冶が大好きそうなドワーフに因んで打ち出の小槌を作ってプレゼントしました。


「こ、これ!? どこで!? なんであなたが!?」

「はい?」


 あ、ロトルル分かっちゃったかも……。

 私、また何かやっちゃいましたか案件でしょ?

 安易に日本文化的な物を作ってしまったのは悪手でしたね……ぴえん。


「……もしかして、アマツマ様、なのですか?」

「違います。私はロトルルと言います」


 アマツマ様が何者かは知りませんが、打ち出の小槌と言えば七福神の大黒天様でしょう。ヒズル国に七福神伝承があるかは分かりませんが下手な事を言って藪蛇はしたくないので「それを言うなら大黒天様では?」なんて事を言ったりは絶対にしません。


「ロトルル様……」


 いや、もう、神様を見るような尊敬の眼差しで私を見ないでくださいよ……。


「その小槌がどんな意味合いを持つかは知りませんけど、私はあなたが考えているような存在ではありませんから、勘違いしないでくださいね?」

「はい、ロトルル様……」


 やめて! その眼差しは私に効くから! 具体的に言うと精神に1000ダメージぐらい効くから! やめて!


「では、そろそろ行きますね」

「あぁ! お待ちくださいロトルル様! ロトルルさまあああああ!!」


 後ろから叫び声が聞こえますが振り返らずに加速魔法を掛けてダッシュで逃げます。


「変な噂が広まるの確定だね……」


 ま、シクニ島にさっさと移動しちゃえば問題無いでしょ。


 とりあえずヒズル国の地図を買いに、売っているお店を探しましょう。



「ここがガナサキ島だから……シクニ島は、四国辺りか……あぁシクニってそういう……」


 道具屋でヒズル国周辺までがなんとなく描かれた地図を手に入れる事が出来ましたので確認していますが、ガナサキ島は長崎ではなく沖縄に近い場所にあり、シクニ島は四国辺りに描かれていました。まあ、前世の日本列島と比べた所であまり意味はありませんが似通った部分を探すのは中々に面白いです。


「セイアンキョウは、やっぱり京都辺りなんだね」


 地図で見る限り、ガナサキ島からセイアンキョウに向かうには距離があるので一旦カゴノ島へ行き、そこからクマボン、オオワケ、シクニ島、そしてセイアンキョウという順でヒズル国の中心地へと向かう事に決めました。


「よし、出発」


 道具屋店内に置いてあった座り心地の良い椅子から立ち上がり、地図をインベントリに仕舞って先ずはカゴノ島へと向かいます。


 店を出て、空に浮かぶ猫耳の形をした雲を目印に転移し、スキルレベル上げも兼ねて飛行スキルでカゴノ島へ向かうとしましょう。


「スピードの限界に挑戦してみますか」


 エアロアダマンタイト製の体なのでどんなに無茶な飛行をしても大丈夫だと思うので、今の飛行スキルレベルで出せる限界のスピードで飛んでみたいと思います。


「よーい、ドンッ!!」


 漫画ならドンッ!! という文字が背景にでかく描かれて、アニメだとドンッ!! という効果音が鳴る事でしょう。


 冗談はさておき、風音がうるさ過ぎてずっとこの調子だと辛いので両耳に風避け魔法をかけました。


「これでよしっ」


 あとはカゴノ島まで限界スピードを維持しながら飛び続けます。

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