ドワーフ少女にここが夢だと錯覚させてみた
「ギルド、ギルド、着物屋、乾物屋、道具屋、小物屋、薬屋、湯屋……ギルド無い系?」
いや、待て、薬屋で良いじゃないか、そうじゃないか。
通り過ぎた薬屋に戻って店内に入ります。
「いらっしゃいませー」
「ポーションの買取ってやってますか?」
「やってますよー」
「ではお願いします」
ストレージからハイポーションを取り出し、ドワーフ少女の店員さんに渡しました。
一応言っておきますが見た目が少女なら例え100歳をこえてても私は少女と呼称します。この少女が100歳こえているかどうかは分かりませんけどね。
「わー、ボックス持ちなんですね! 初めて見ましたよー!」
「えへへ」
「では、早速鑑定しますねー」
鑑定アイテムなどは使わず、手に取って見回し始めたのでこの店員さんは鑑定スキル持ちですね。
……という事は先程ボックス持ちだと判明した際に私を鑑定していた場合はもっと驚いていたはずなので、きっと礼儀正しい人なのでしょう。好感度鰻上りです。
「ハイポーションですねー……んー? ハイポーション? ……ハイポーション!?」
「ハイポーションです」
「えー! ハイポーションなんですかー!?」
「ハイポーションですね」
「でも、これ、レベルが表示されませんよー!?」
「完全なハイポーションです」
「ひょえー!? こんなすごい物、値段なんて付けられませんよー!」
「そうですか、では水で薄めてポーションにしますね」
「そんなのダメです!! 絶対にやめてください!!」
「あ、はい」
さっきまで間延びした口調だったのに急に真面目になるじゃん。真剣な表情で私の目を見て来るので惚れちゃいそうです。
ゆるふわ茶髪ボブカットのウサギ顔で黒眼のドワーフ少女は私のハイポーションを後ろ手に隠して少しでも私から遠ざけようと頑張っていますが、所有権は私にあるので、ちょっとイタズラしたくなっちゃいました。
「ではいくらで買い取ってくれますか?」
「それは……えーっと、えーっと……100万エンぐらい?」
「100万エン?」
「嘘です。ごめんなさい。200万エンでした!」
「200万エン?」
「え、っと、えーっと、300万エン?」
「300万エン?」
「うぅ、400万エン……は無理です……350万エンが限界です……」
「350万エン?」
「うっ、うっ、360万エン、これが本当の限界です……」
「360万エン?」
「あ、あぅ、365万エンで、ほんとの本当に限界です!」
「365万エン?」
「365万エンです!」
「365万エン……?」
「365万エンですよ! もうこれ以上は無理です!」
「365万エン……」
「う、うぅ、370万エン……これで許してください! お願いします!」
「370万エン?」
「370万エンです!」
「370万エン……?」
「370万エンです!」
「……370万エン」
「もう無理なんです! 370万エンだと本当は赤字なんです! これ以上にはなりません!」
「370万エン…………?」
「……うぅぅ、371万エンならヘソクリでなんとかなります……」
「ふーん、371万エンですか……そうですか、そうですか、なるほどね」
「なんなんですか!? もうこれ以上は無理なんですよ!? そんなに高く買い取って欲しいなら別の場所へ行って下さいよ!」
「じゃあ、返してもらえます?」
「え……?」
「そのハイポーション、返して?」
「あ、う、そんな、だって371万エンですよ!? そんな金額ここでしか出せませんよ!?」
「返して?」
「どうして、そんな、酷いです……371万エンじゃどうしてダメなんですか!?」
「返して? 私のハイポーション」
「いや、いやです……せっかくこんな貴重なポーションを手に入れられたのに、こんなの、あんまりです……」
「返して?」
「うぅぅ、嫌です嫌です! これは返しません! 371万エンで買取したんです! このハイポーションはもう私のなんです!!」
「そう……じゃあ371万エンで良いですけど、いつから1本だけだと勘違いしていましたか?」
「え……?」
ストレージから直接、木机の上にハイポーションをジャラジャラと100本ほど出してみました。
「あ、え、なに、これ……?」
「全部ハイポーションですよ? 371万エンで買取してくれるんですよね?」
「あは、あははは、あはははははは、あ?」
脳がキャパオーバーしたのか突然笑い出したと思ったら、ぐりんっと眼が回って白目をむき、気絶してしまいました。
反応がいちいち可愛くてちょっとやり過ぎちゃいましたね……反省。
木机に出したハイポーションと握り締められているハイポーションをストレージに仕舞い、店の入口まで戻ってインベントリから風呂桶を取り出し、その風呂桶にハイポーションを注ぎ、水魔法で水を注いで、ただのポーションまで鑑定スキルで確認しながら効能を薄めていきます。あとはストレージの肥やしになっていた空瓶に詰めたらポーションの完成です。
100本ほど詰められたので、10本だけ手元に残して残りはストレージに仕舞っておきます。
ではドワーフ少女の店員さんを気付け魔法で起こしてあげましょう。
「……はっ! ……夢?」
「すみません。ポーションの買取ってやってますか?」
「え、あれ? さっきまで……あれ!? ハイポーションは!? どこまでが夢だったの!?」
握っていたはずのハイポーションがどこにも見当たらずに困惑している姿も可愛いですね。
「あの、大丈夫ですか?」
「あなた! ハイポーションを売りに来たのよね!? そうよね!?」
「いえ、普通のポーションですけど……?」
手に持っていたポーションを木机の上に並べて置いていきます。
「あなたアイテムボックス持ちよね?」
「いいえ?」
「そんな……本当に夢だったの……?」
まるでタヌキにでも化かされたような表情を浮かべてウンウン唸っております。
あぁん、もう、可愛すぎてもっともっといぢめたくなっちゃうじゃないですか。グヘ、グヘヘ。
「いくらぐらいで買取出来ますかね?」
「えっと、ちょっと待ってね……ふむ、ふむふむ、すごい! どれも不純物無しのポーションなんて! これなら全部で1万エンで買取出来ますよ!」
「1万エン?」
「い、1万2000エンでどうですか……?」
「1万2000エン?」
「はぁ……はぁ……もしかして、ここも夢なの?」
「どうしましたか?」
ドワーフ少女が自分の頬っぺたをつねろうとしているので麻痺魔法を掛けて痛くないようにしてあげました。私はなんて優しいんでしょう。ムフフ。
「全然痛くない……これって夢なんだ……」
「夢ですか……それならなんでも出来ますね?」
「なんでも……?」
「私なら夢の中で夢だって気付けたら、急いで近場に居る人にエッチな事をしますね。夢の中で夢と気付いた時って大体目覚めるのも早いですし」
「エッチな事……裸になってって言ったら裸になれる?」
「はい」
着ている服をインベントリに仕舞って一瞬で全裸になります。これで更にここが夢だと認識してくれる事でしょう。ふひひひ。
「本当に夢なんだ……キヒ、キヒヒ、一度女の子を思いっきりめちゃくちゃにしてみたいと思ってたんだー。夢なんだからナニしてもイイよね?」
「どうぞ」
「アハ、アハハ! アハハハハ!」
「いやーん! ぐへッ!?」
あれぇ? エッチな事じゃなくて暴力的な意味でしたか……まぁ、可愛い子にボコボコにされるのもイイですよね。
「おらっ! おらぁっ! アハハハ! 気持ちイイ!!」
「もっと激しくしても夢だから大丈夫ですよ?」
「そうよね! 夢だからナニしてもイイのよね! おらっ! おらっ!」
「ぐっ、ぐぷっ、もっとです! もっともっと!」
「ハァハァ、このっ! おらっ! どうだっ!」
「ごふっ、げふっ、ぎゃっ」
殴る蹴るの暴行を続けて悦に入り、狂気の笑顔を見せてくれたドワーフ少女ちゃんは最高に可愛いですね。……この子、私のものにしていいかな?
「ハァハァ……サイコー!」
「ふふ、それは良かった。では、そろそろ夢から覚める頃合いです」
「ええー、もうちょっとー! 痛っ!?」
麻痺魔法を解除して、散々私を殴り倒して痛めた拳の痛みに気付いたようですね。涙目になって可愛い。
「え、あれ……夢なんだよね? これ、なんで……?」
「一体いつからここが夢だと錯覚していましたか?」
「え?」
インベントリから服を取り出して着直します。
インベントリに入れる時は一瞬で済みますが、着るとなると手作業になってしまうのであとで着衣魔法でも作りましょうか。
「ポーションの買取から? それともハイポーションの買取から? それともずっと現実だった?」
「あ、え、嘘……だってそんな……! 嘘よ! 全部夢の出来事で、だってあなた! あんなに殴ったのになんの怪我もしていないじゃない!!」
「私の体よりあなたの拳の方が弱かっただけです」
「う、え、違う、そんな、ありえない!」
「ところがどっこい現実です! 現実!」
「うぐ、現実、ここは現実? 痛い、痛いイタイ……あははは、現実……」
ストレージからハイポーションを取り出してドワーフ少女の傷付いた拳に振り掛けて治してあげます。
「あ……」
「自己紹介がまだでしたね。私はロトルルと言います」
「……私はオクヤ」
「オクヤさん。私は可愛い子を見るとついからかってしまう悪い癖があるんです。でもオクヤさんも女の子に暴力を振るうなんて醜い願望を抱いていたんですからお互い様ですよね?」
「……何が、言いたいの?」
「ハイポーション。100万エンで売ってあげるので私のお願い聞いてください」
「ひゃん!?」
オクヤさんのドワーフ特有と思われる尖った耳元でめちゃんこエロく囁いてみたら思ったよりも感じてしまったようでした。エロ可愛いですね。
「お、お願いって?」
「ちょっとしたマッサージですよ」
「マッサージ?」
「ええ、良いですよね?」
「……はい」
こうして100万エンとオクヤさんをマッサージする権利を手に入れたロトルルは、欲望の赴くまま存分に楽しむのでした。




