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いったん死んでみた

「ぐえっ!?」

「あだっ!?」

「ぶへっ!?」


 慌てて転移したせいで運悪くどなたかを下敷きにしてしまいましたが、そんな事よりも今は体調がすこぶる悪いです……血の気がどんどん引いて行く感覚でフラフラして来ました。あぁ、これ、ガチでヤバイ奴です……意識が朦朧と……。


「あぁぁ、ダメだこりゃ……ばたんきゅー……」

「ロトルル!」

「ロトルルちゃん!?」


 意識を失う瞬間、懐かしい響きと匂いがしましたが、走馬灯の亜種か何かでしょうか?



「おお、ロトルルよ。死んでしまうとは残念じゃ」

「あれ? 神様? え、私、死んだんですか!?」

「無茶な転移をすれば死にもするじゃろ。さて、死んだからには天国か地獄、あるいは転生、もしくは異世界転生、どれを選ぶ? ああ、母親は無しじゃよ?」

「ええ……ちょっと待って」

「よし、今回も異世界転生じゃな。次も良き人生が送れるように祈ってやろう。では達者でな」


 ちょ、まっ、あぁぁ、意識が……。

 出来れば今度も同じ様な世界でお願いします……ます……ます…………。


「ま、死んでおらんのじゃけどね! いつでも見守っておるからしっかりと生を謳歌するのじゃよー。それとお前さんのギターを盗んだのは我じゃ! すまんな! 」


 意識が途切れる寸前に言われても何も言い返せないじゃないですか、やだー。

 そんな事をしてるからいつまで経っても幼女のままなんじゃないんですかね?


「この際ですからメスガキ神と改名した方がよろしくてよ?」

「あ、起きた!」

「ロトルルちゃん!」

「ふえっ!? レフィー!? 何故あなたがここに!?」


 目覚めたら突然目の前に孤児院時代の心のオアシス、3歳年下の美少女、レフィーが抱き着いていました。まだ夢の中だったりします?


「うぅ、生きてて良かったぁ……」

「船から転移したら急に倒れるんだもの。死んだんじゃないかと思うぐらい顔色が青白くなってすごく驚いたんだから!」

「アルリナも居る……夢ならナニしても良いかな?」

「現実だからナニもしないで。と言うかこんな小さな子にナニかしようとするんじゃないわよ!」


 アルリナにポカッと頭を殴られましたがあまり痛みを感じません。

 ならば現実か、いや、現実では無い。ならばナニをしても許されるはず、だが現実の可能性も捨て切れない。やはり現実か、そういえば肉体改造をしていたのだった。

 危ない。ナニかしていたらレフィーの私への好感度爆下がり案件であった。


「すみません。寝ぼけていたようです。それでここはどこでしょうか?」

「孤児院だよ?」

「なるほど、通りで見覚えのある部屋だと……孤児院……だと?」

「そうだよ。突然ロトルルちゃんたちが落っこちて来てレフィーは押し潰されちゃったんだから!」

「あー、そうでしたか……それはすみませんでしたね……」


 ここに戻る事は無いだろうと思っていましたが、結局私はここが一番安全だと思っていると言う事ですか……。

 いや、レフィーを基点に転移したと思えば納得……出来るかなぁ。


「ロトルル、まだ体調悪いの?」

「精神的な問題なのでお気になさらず。さてと、窮地は脱したのでリコルス国に戻りましょうかね」

「ええ!? ロトルルちゃんもう行っちゃうの!? もうちょっと一緒に居ようよ!」

「レフィー……だが断る! 先生たちに見つかると死ぬほど面倒臭いので私はさっさと逃げねばならないのです!」

「見つかると言うか、ロトルルが気絶している間に大人達に知らせて介抱して貰ったから今更じゃない? 今は医者を連れて来て貰っている最中だから、突然消えたら困ると思うよ?」

「なぬ!? なら、尚更早く逃げねば!」


 こうしちゃ居られません! アルリナを連れてリコルス国のプライベートビーチ辺りにでも転移してさっさと逃げねば!


「どこに逃げるだって? どこにも逃がしゃしないよ? えぇロトルル?」


 いつの間にかドアを開けて入って来ていた、ヤンキーガールをそのまま大人にしたような、金髪ロングヘアーのどこか特攻服を彷彿とさせる職員服を着た、客観的に何の先入観も持たずに見たら美人の鬼畜外道、もとい先生が居ました。


「せ、せんせい……あわわわ、そんなそんな、逃げるだなんて何かの聞き間違いでしょう! あはは、嫌だなぁ、ちょっと見ない間に耳が遠くなりましたか先生?」

「あ、何だって?」

「ひぃっ。いえ、何でもないです……」

「ま、どうでもいいけど、あんたはもう一人前の大人になったんだ。医者を呼んでやった金ぐらいは払ってくれよ?」

「も、もちろんでございます! どうぞお納めくださいませ!」


 お腹ポケットから取り出したように見せ掛けて、ストレージから10万エルを取り出し鬼ゴリラ、ではなく先生に渡します。

 これで少しでも機嫌を取れれば御の字です。


「ほほぉ、ロトルルよぉ、随分と良い子に育ってくれたじゃないの? 先生感動しちゃったわ。つーことで寄付金はいつでも受付中だから、そこんとこもよろしく頼むわ?」

「どうぞどうぞ!」


 追加で10万エルを取り出して先生に渡します。これで勘弁してくれぇ、頼むぅ。


「へへ、ロトルルちゃんは良い子でちゅねぇ。良い子にはご褒美にチュッチュッしてあげるね。ムチュゥゥゥウゥ!」

「ぎょええええ!? ほっぺが死ぬうううう!」


 体はエアロアダマンタイトで強化されているはずなのに貫通ダメージだと!?

 これだから筋肉ゴリラは! 自然に帰ってくれ! 頼むから!


「そろそろ健診いいかね?」


孤児院時代に健康診断をしてくれていた町医者のおじさんが呆れ返った顔でこちらを見ていました。

ほっぺが腐り落ちる前にツッコんでくれて助かりましたよ。


「おっと、そうだったそうだった。へへ、つい嬉しくなっちまってね。すみませんね先生。おら、ロトルル。さっさと服を脱ぐんだよ! こんなオシャレな服着ちゃって! このおませさんめ!」

「自分で脱げますからぁ! ひぃぃん!」


 その後、町医者のおじさんに体の隅々まで健診され、何の異常も無いどころか本当に人か疑われる始末でロトルルちゃんの精神的ライフはもうゼロよ。

 こっそりと鑑定スキルで町医者のおじさんを鑑定すると「医術スキルレベル70」とだけ表示されたので医術スキルすごいなと思いました。

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