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怒り狂わせた

 結局砂漠越えは1時間足らずで終えて、火山地帯に入りました。


「凄いわね」

「大スペクタクルですなぁ」


 至る所からマグマが噴き出して、空は噴煙で覆われ、大小様々な火山岩が降って来ています。


「馬車で通るとか無理ゲー」

「整備されている馬車道があるらしいけど、どこにあるのかは知らないわ」

「ほえー」


 どこにでも開拓者は居るものですな。純粋に尊敬します。


 あまり高く飛ぶのは火山灰や有毒ガス的に危なそうなので、程々の高さで飛ぶ事にしました。


「なんか泳いでる……」

「火魚ね。初めて見た」


 マグマを泳ぐ魚群が飛び跳ねて居ました。

 マグマに焼かれずに生きているなんてどんな身体構造をしているのか不思議ですが、それよりもどうやって煮付けなどに調理したら良いか考えてしまい、もっと他に考える事があるだろうと自分にツッコミを入れたくなりました。


 マグマなどの素材をストレージに集めながら順調に進んでいると、マグマが大量に流れ落ちる滝を見つけたので、きっと裏側にはお宝があったりするんだとゲーム脳を発揮し、アルリナに「ちょっと様子を見て来ます」と伝え、裏側に回ってみると一軒家ぐらいはある超巨大な水晶の塊を発見しました。


「おぉ、すっご……ってこれ水晶じゃなくて宝石!?」


 正確には水晶も混ざっている宝石の集合体のようです。


「ダイヤモンド、アクアマリン、アレキサンドライト、エメラルド、ルビー、サファイア、ガーネット……やっば……なんでも揃ってる……」


 鑑定スキルでざっと見てみましたが、他にもデーツア、ミンギー、ラスカダスカなどなど前世でも聞いた事の無い宝石の名称が表示されたので異世界宝石でしょうか?


「ストレージ……の前にアルリナに見せましょう」


 手持ち無沙汰で待っていたアルリナの手を引っ張り、マグマ滝の裏側へ連れて来ると顎が外れるぐらいの大きな叫び声を上げました。


「ええええええ!? ろ、ロトルル!! 凄いよ! こんな! こんな大きな宝石! お金持ち! わたし達お金持ちだよ! ロトルル!!」


 両腕を大きく振って喜びはしゃぐアルリナの驚き様に満足して、私は感情を無くした低い声色で口を開きました。


「……アルリナ、いつからこの宝石が共有財産だと錯覚していましたか?」


「え……?」


「この宝石を見つけたのは私で、持ち帰れるのも私で、アルリナはただ見ている事しか出来ないじゃないですか……」


「なにを、何を言っているの……? ロトルル……?」


「アルリナ、貴方がこの宝石の所有権を主張して私と争うと言うのなら、たとえ姉妹だからといって手加減出来るほど、私の心は広くありませんよ……」


「うそ……ウソ嘘、嘘よ! ロトルルはそんな意地悪な事言わないもん! 半分なんて贅沢な事は言わない! 私が手に持てるぐらいで良いの! それぐらいは良いよね!? だって……こんなに沢山あるじゃない!!」


「アルリナ」


「違う、違う違う!! ロトルルは、あの優しかったロトルルはそんな、そんな怖い顔しないわ!! 今のロトルルは目の前の宝石でおかしくなっているのよ! だから正気に戻って! いつもの優しいロトルルに戻ってよ!!」


「……私は、優しくなんてありませんよ」


 無慈悲に、残酷に、容赦無く、巨大宝石の塊を余す事なくストレージに仕舞い込みました。


「ロトルルぅぅうぅぅううううううぅううぅぅ!」


 白目を剥きだす勢いでブチ切れたアルリナが、突進して掴み掛かって来ました。


「ズルイズルイズルイいいいいいい!! ロトルルばっかりズルイいいいいいいいいい!!」


 掴んだ私を地面に何度も何度も叩き付けて暴れ回るアルリナは、控えめに言って最高です。思わずオホ声をあげて少しイキかけました。


「ロトルルロトルルロトルルロトルルロトルルぅぅぅぅうぅううううぅう!!」


 私が上げたオホ声にも気付かずに、尚も暴れ続けるアルリナは最早獣です。可愛いですねぇ。

 そろそろ可哀想なのでネタバラシしてあげましょう。


「ギイイイイイイイイイイイイイイ!!」


 怒り狂ったアルリナが私のヘルメットを無理矢理外すと物凄い力で首を絞めてきました。


「ちょっ、首絞めはやめっ、うぐっ……おっ、おっ、おぐっ」


「アアアアアアアアアアアアアアア!!」


「違うん、です、アルリナ、おおっ、おごっ、おごごっ、話を、聞いて、ぐぅ、いぐっ、イッちゃうから……」


「ロトルルウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!」


 イ、イッグウウウウウッ!?


 頭がチカチカして来たと思ったら突然光がスパークして、何かが大量に噴き出す快感が全身に襲い掛かって来ました。


「おっ、おごっ……」


 私の体がビクンッビクンッと無意識に跳ね上がった所でアルリナが正気に戻ったのか首に掛かっていた手の力を緩めてくれました。


「あ、ああっ……!? ちが、ちがうの、こんな、こんな事するつもりなんて……!」

「ゲホッ! ゲホッ! はぁ、はぁぁ……すみません、アルリナ。茶番が過ぎましたね」

「え……?」

「ちょっとだけからかうつもりだったのですが、アルリナが余りにも感情を剥き出しにしてくれるから嬉しくなっちゃって、やめ時を誤りました。すみませんでした」

「何を、言ってるの……?」

「私にとっては、どんな宝石よりもアルリナが私に向けてくれる強い感情の方が価値があると言う話です」

「……最初から宝石を独り占めする気なんて無かったって事?」

「宝石が欲しいなら好きなだけあげますよ」

「う、うえええええんロトルルのばかああああ!!」


 泣き叫びながら、ぽかぽかと殴ってくるアルリナを抱いて背中を撫で撫でして落ち着かせます。さすがにやり過ぎましたね。反省。


「はぁぁ……ロトルルはロクな死に方しないと思うよ」

「勘違いしたアルリナに殺され掛けましたからね」

「ロトルルのせいだもん……ロトルルのせいでわたし……」


 突発的とはいえアルリナは私に対して殺意を抱いてしまいましたから、罪悪感に苛まれないよう茶化しておきましょう。


「アルリナの首絞めは凄く気持ち良かったので、また今度お願いしますね」

「へ、へんたいヘンタイ変態! ロトルルのド変態!」

「ありがとうございます! ありがとうございます! ありがとうございます!」

「うぅぅ、ロトルルのばかぁ」

「えへへ」


 首絞めという新しい性癖に目覚めてしまいましたが、無事に仲直り出来たので全てヨシッ! です。


 ぐっしょりと濡れてしまったスーツを清掃魔法でスッキリさせてからヘルメットを装着し直し、改めて火山観光再開です。


「宝石他にもないかな?」

「そんなに宝石が好きなんですか?」

「好きというか、あるならいっぱい持っておきたいじゃない? お金はいくらあっても困らないし」

「強欲な姉」

「むっ」

「色欲の妹」


 ぷりぷりした姉の桃尻をさわさわ。


「ロトルル!!」

「えへへ」


 姉にお尻を引っ叩かれました。セクハラはやめましょう。


 その後もマグマの湖や、燃え続ける木々や、尻尾だけが燃えている二足歩行するつるつるとした見た目のトカゲなどを見つけたりして旅は順調に進んでいきました。

 トカゲはゲットしても育て方が分からないので頭を撫でたりお腹を撫でたりして別れました。野生のくせに警戒心がまるで無かったです。こんな無警戒でこの先生きのこれるのでしょうか?


 トカゲモンと別れてしばらく飛んでいるとドラゴンの縄張りみたいな場所に出てしまい、ドラゴン達がこちらを見た瞬間にはアルリナを抱えて目視転移で慌てて逃げ出して火山観光は強制終了しました。火山にはドラゴンが付き物です。これ異世界常識。


「死ぬかと思った……」

「怖い……怖くて震えが止まらないよ……」


 私にしがみ付いてぶるぶると震え続けているアルリナの背中を優しく撫でて落ち着かせます。

 ぶっちゃけ私も心臓がバクバクしっぱなしで息が上がってヤバイです。心拍数200ぐらいは行ってますね。


「ドラゴンステーキって美味しいらしいですよ」

「……ん」


 自分も落ち着こうと冗談を言ってみましたが、アルリナは頭を横に振るだけで何か言う余裕も無さそうです。


 すでに峡谷に入っているので川の近くの開けた場所へ行き、そこに小屋を建てて一旦落ち着く事にしました。

 一応ドラゴンが襲って来ても大丈夫なようにエアロアダマンタイト製のシェルター小屋です。


 パイロットスーツを脱いで普段着に着替えましたが、アルリナが一向に脱ごうとしないので強制脱衣させると、スーツの中に水溜りが出来ていました。

 漏らしてしまったようですが、私は黙って清楚魔法で綺麗に掃除してからストレージに仕舞いました。


「お風呂に入りましょうか」

「……うん」


 外は怖いと言うので室内に浴槽を作り、水魔法で水を溜めてファイアボールで丁度良い温度に温め、ストレージからリンゴを取り出して調合スキルで入浴剤にしてお湯に混ぜました。


「ふぃぃ……」

「……」


 何かに縋り付かないと恐怖心が蘇って震え出してしまうようで、アルリナが私に抱き着いて離してくれません。私も嬉しいのでこのままにしておきます。


「今日は同じベッドで寝ましょうか?」

「うん」


 邪な気持ちもありますが、実は私も結構トラウマになっているのでアルリナに抱き着いて眠れるなら安心出来ます。


 ドラゴン達のあの視線は思い出すだけでも震え上がります。正に生物としての上位種という感じでした。怖い怖い。


 お風呂から上がり、食事をして、少し早いですが就寝する事にしました。


「スーハー、スーハー」

「鼻息が煩い」

「すみません。興奮しました」


 二人抱き合って同じベッドで寝ているので鼻息が荒くなってしまいました。


「お尻もあまり強く揉まないで」

「気持ち良かったので、つい力が入りました」


 ツッコミを入れられるぐらいには精神が回復して来たみたいなので、大人しく寝る事にします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 非常識で色欲な妹に振り回される、常識人だけど強欲な姉が最高だなぁと思いました!
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