際どかった
「おはようアルリナ」
「おはようロトルル」
今日はいよいよ砂漠を越えて火山地帯に突入します。
「流石に熱くて暑いと思うので耐火耐熱装備を作りたいと思います」
「ロトルルは装備も作れるんだね。それなら火山灰で肺をやられるって聞いた事があるからマスクも必要かな?」
「なるほど、ではそれも作りましょう」
となると、宇宙服みたいな感じにすれば良いのかな?
ずんぐりむっくりだと動きづらいので巨大メカに乗って戦うような人達が着ているパイロットスーツみたいな感じで作りましょう。
ストレージからエアロアダマンタイトを取り出し、錬金スキルで薄く生地の様に伸ばして全身タイツっぽい物を作ります。
これだけだとただの変態なので装飾や謎の線などを盛ってオサレ感を醸し出します。
「うーん。駄作……」
一応着てみましたが、少しダボダボしててもう少しピッチリとしている方が動き易そうです。それとデザインですがお遊戯会のコスプレ衣装と大差無いですね。
デザイン力アップスキルなどがあれば欲しいです。切実に。
「わたしはカッコイイと思うよ?」
「そうですか?」
アルリナがカッコイイと言うのなら演劇部の文化祭ぐらいにはランクアップするはずです。
ですが私は拘りは強い方なのでもう少し頑張ってみたいと思います。
「良いかも」
宇宙世紀的な物や、超長距離移民船団的な物や、人類銀河同盟軍的な物などなど、いくつか試作してみて、納得の行く物がやっと完成しました。
シン世紀に出て来た白を基調としたゲーミングカラーの線が入った虹色に輝くパイロットスーツです。
今まで試作して来たデザインも取り入れているのでパクリでは無いです。オマージュです。
完成したパイロットスーツはエアロアダマンタイト製なので、そのままでも耐火耐熱性に優れていますが念の為に全耐性アップスキルも合成しておきます。
もちろんスキルレベルは1ではなく完成された物を合成します。
「良し、完成!」
「マスクは?」
「すっかり忘れてました」
マスク、というかヘルメットですか。
金魚鉢みたいな感じで良いでしょうかね?
ガラスは……砂から作れた様な気がします。
せっかくの砂漠ですからガラスを大量生産して食器や家具などを作って売れば儲けられそうですね。
小屋から出てその辺にある大量の砂をストレージに吸い込んでガラスの材料を掻き集めます。
「……砂ってポーションに出来るのかな?」
ふと、そんな事を思い付いてしまったので砂に手を当ててポーション作成スキルを発動させると砂ポーションを作成する事に成功しました。
「砂から液体って……考えるだけ無駄か」
鑑定スキルで見るとシリコーン液と表示されました。砂ポーションとは……?
シリコーンって確か電子レンジに入れても溶けなかった記憶があるのでヘルメットの材料に使えそうですね。
「砂ポーション、シリコーン液も大量生産しておきましょう」
気が済むまで砂からポーションを作成してストレージに押し込んで行くと、ストレージスキルがレベル3にアップし、アイテムを300種類と同種アイテムを300個ストック出来る様になりました。
レベルが上がりストレージについての理解力も上がって分かった事ですが、自分が死んだらストレージ内の物は全てその場にぶち撒けられるみたいなので、私が死んだ現場に居合わせた人達はご愁傷様ですね。
ピコーンっと今思いつきましたが、私がその気になれば目視出来る範囲の砂漠を1ストックとし、それを種類枠全てを使ってストレージを埋め尽くせば国一つ滅ぼせる量の砂を確保出来ますね。やりませんけど。
そもそも1tもあればガラスを作るのに困らない量ですし、巨大水槽でも作らない限りはそんな大量の砂は必要無いです。
「そうだ、水族館作ろう」
思考が脱線し始めましたが水族館はいつか作ってみたいですね。イルカとかこの世界にイルノカな?
……自分ではちょっと上手く言えた気がしてます。
とりあえず素材は集め終わったので小屋に戻りましょう。
「あ……」
「え……」
アルリナが私の作った試作パイロットスーツの中でも際どい、電脳世界の保安員が現実世界の身体で活動していた時の物に似せたスーツに袖を通していました。
「これは、その……」
「アルリナが気に入ったのなら私もそれを着ますよ」
「私は理解していますみたいな頷き方はやめて」
アルリナが着ている際どいパイロットスーツは一見すると露出度高めに見えていますが露出部分は調合スキルで脱色して透明にしてあるだけでマグマが飛び跳ねて来ても問題はありません。あるとすれば人に見られると恥ずかしいぐらいですね。
「好きな物を、好きな時に、好きな様に着れば良いのです」
「悟りを開いた様な顔で言っても外では着ないからね」
「着て」
「嫌」
「恩を返すチャンスだよ!」
「ぐっ……卑怯よ!」
「プライドなーんてゴミ箱に捨てちゃえ♪」
「ぐぬぬぬ」
結局、私のゴリ押しに負けて際どいパイロットスーツを着る事になりました。
嫌がっている様で嫌がっていない少し嫌がっているアルリナの方がムッツリスケベな気がします。
試作品のパイロットスーツですが、こちらも白を基調とした色合いなのでシン世紀の方のスーツを参考に、楽園から追放される感じのデザインの金属パーツと黒線をゲーミングカラーに変更して、こっそりと谷間やへそ、尾骶骨部分の露出度を高めておきます。
もちろん耐性アップスキルも合成しておきます。
「良し、完璧な仕上がりだ」
「マスク」
「あ」
一つの事に没頭すると直ぐに忘れてしまう私の悪い癖。
マスク、では無くてヘルメットを作っていきましょう。
ストレージから先ほど集めた砂ポーション、シリコーン液を取り出して錬金スキルで金魚鉢みたいな丸いヘルメットを作成します。
このまま被っても密封性が無いので缶詰の蓋の様にヘルメットとパイロットスーツに溝を加えて試着してみました。
「……窒息するわ!」
失敗は誰にでもあります。
その失敗から何かを学ぶ事こそ大事な事なのです。
金魚鉢ヘルメットに万物魔法スキルで空気魔法を付与しました。
空気魔法とは、名称そのままの空気を生み出す魔法です。ぼっちが空気みたいに認識されなくなる訳ではありません。
今回は物体に付与して発動したので効果時間はその時込めた魔法力に応じます。
たぶん1年は持つと思います。
生んでばかりでは破裂するので金魚鉢の後頭部部分に吐き出し用フィルターを錬金スキルで加工して取り付けておきましょう。
「スーハー、スーハー、うん。普通に呼吸出来るね」
あとはエアロアダマンタイトと耐性アップスキルを合成して、ついでにサングラス加工も施して完璧に仕上げました。
これをもう一着作り上げたら出発しましょう。
ついでのついでにエアロアダマンタイトシリコーンとエアロアダマンタイトガラスを作っておいたので、ほぼ壊れない商品を扱う雑貨屋さんなどを開店してみるのも良いかもしれませんね。
「ねぇ、ほんとにこの格好で出るの?」
「人なんてまったく居なかったし、恥ずかしがる必要は無いかと」
「ロトルルは恥ずかしくないの?」
「アルリナとお揃いで嬉しいですけど?」
何を言っても無駄だと深い溜息を吐くアルリナの手を握って小屋の外へ出ます。
「うんうん。生身の時より全然暑くないね」
「わたしは恥ずかしくて顔が熱いわよ」
「では出発!」
「……はぁ、もう好きにして」
エロスーツを着て飛び上がってから数分、ヘルメットなどのおかげか飛行速度が昨日よりも段違いに速くなっていたので2時間もあれば火山地帯に突入出来そうな勢いです。
「わたし、こんなに速く飛べたんだ」
鑑定スキルでアルリナの飛行スキルレベルを見てみるとレベル8と表示され、慌てて自分の飛行スキルレベルを確認するとレベル15になっていたので、少しだけ安心しましたが、この分だとアルリナに追い越されるのも時間の問題かと苦笑いしてしまいました。
アルリナ、恐ろしい子……!




