世界を知った
私は転移魔法で自宅に緊急避難し、その場から逃げ出しました。
「ハァ……ハァ……死ぬかと思った……」
なんですかアレ? 俺TUEEEEEEイベントですか? 異世界洗礼ですか? それとも転生者暗殺イベント?
「落ち着け、落ち着く時、落ち着く」
突然の事で心臓がバクバクして息が苦しいです。
「スーハー、スーハー、ふぅぅ……」
多分ですけど私の持っていた未知のスキルの力試しをしたかったのではないでしょうか? あのエロフは危なくなったら助けてくれると言っていたような気がしますし。そもそも街周辺の見回り調査の依頼書に誰かが同行するなんて書かれていなかった気がするのでスティアが私のスキルを見た時点で役所に連絡を入れていたのではないでしょうか?
つまりスティアとンルヴァはグルって事ですね。コンチクショー!
「せっかく真面目に働こうとしてたのに、こういう事されると萎えちゃいますよ……はぁぁ……」
美人なお姉さん達に騙されていた事も加えてショックです。
前世のお爺ちゃんが事あるごとに「美人には気を付けろ」と口をすっぱくして言っていた事を今更ながらに思い出しました。時すでにおすし。
とりあえず偽装魔法でカードのスキル欄から調合、合成、錬金以外は全部消しときます。
調合、合成、錬金スキルは他のギルドにも見られていますがそれで何かされた事は無いので残しておきました。
「これで良し」
次に私のスキルを知っている人間の抹殺……は流石にやり過ぎなので、うーん……どうしようかな?
「しばらく引きこもる? いや、ダメか……住んでる場所なんて簡単にバレるだろうし……えー、どうしよう……」
説得してもまた何かされそうだし、そもそも国に私の情報が行ってそうでめちゃ怖い。
「遠くに引っ越すしかないかな……」
どんなにチートスキルを持っていようが突然あんな事をされたら逃げる以外の選択肢はありませんでした。
動物達が殺されてしまった時は怒りで我を忘れてましたからなんとかなりましたけど、今回は人に騙されたというショックが大き過ぎて思考が停止してしまったのもいけませんね。
落ち着いて考えれば俺TUEEEEEEイベントが出来た状況でしたけど前世からの逃げ癖に加えて圧倒手に戦闘経験値が足りてませんでした。
「あーぁ、せっかくオシャレなツリーハウスを作ったのにすぐに引っ越さなきゃいけないなんて本当に最低だよ。まったくもうっ」
現状どうしようも無さそうなので仕方無しに部屋の物をストレージに仕舞い、残ったツリーハウスと栗の木を液化解体して元の空き地に戻しました。
「さてと、どこに行こうかな……」
海か山、いやいやこの国から離れないといけないからもっと遠くか……。
「まずは地図が必要ですね」
市場に行き、雑貨屋でまともそうな世界地図を購入しました。
こういう時に前世の知識があると助かりますね。
まともじゃ無い方の地図はモンスターとか天使だとか悪魔だとかが描かれてます。
異世界なので天使や悪魔も居る可能性はありますけど、大陸の形が妙に丸っこいので想像で描かれた物だと思われます。
「うーむ、地球とはまるで違う大陸だ」
人通りの少ない公園のベンチに腰掛けて地図を広げてみました。
「ストラ大陸、フーリア大陸、ユーグドラシア大陸……」
今、私が居るのはストラ大陸の南にあるメボン国という小さな国です。
世界地図でみると余計に小さく感じますね。
この小さな国から遠く離れた場所へ引っ越さないといけない訳ですが。
「ヒズル国、ここ日本っぽいな」
ユーグドラシア大陸の極東に龍みたいな形の島が描かれていました。
日本列島の形をより龍に近付けた様な形です。
実際に行ってみないと本当にこんな形をしているのか分かりませんけどね。
「お試しで行ってみますか」
戦国時代なら即退散します。血みどろの争いに参戦したくないので。
江戸時代なら住んでみるのも良いでしょう。幕末はヤバイですけど。
明治、大正、昭和なら喜んで住み着きます。そこまで文明が進んでいる可能性は低いですけどね。
そもそも異世界なので前世の日本とはまるで別物の可能性大ですけど、それはそれで楽しみです。
地図をストレージに仕舞い、転移ゲートのある隣町の人気の無さそうな場所へ転移ゲートを開いて人が居ないかしっかりと確認した後に移動しました。




