ハメられた
まだまだ時間はあるので冒険者レベル2で受けられる依頼を確認しに依頼ボードの前に行きます。
「ペットの猫探し、子供の世話、畑の手伝い、手紙の配達、倉庫整理、店番、キノコ採取、タマゴ採取、街周辺の見回り調査(戦闘系スキル必須)」
ふむふむ、俺TUEEEEEEE的に街周辺の見回り調査を受ける事にしましょう。
まぁ、街の周辺も盗賊やらモンスターやらはほとんど出て来ませんから俺強案件にはならないと思いますけど、もしかしたらを期待しても良いのではないでしょうか?
戦闘系スキル必須と書いてありますし出る時は出るんですよきっと。
依頼票をボードから剥がして、受付のお姉さんに渡しに行きます。
「この依頼を受けます」
「えーっと、街周辺の見回り調査ですか、スキルを確認しますね……え?」
くふふ、驚いてる驚いてる。
受付のお姉さんが目を白黒させて慌てふためきだしました。
「え? え? なにこれ!? こんなに沢山スキル!?」
「どうしましたか?」
「どうしたもこうしたも! あなた確か調合と合成と錬金スキルだけだったわよね!? スキルを三つも持っている時点でだけって事は無いんだけど……って今はそんな事どうでもよくて! 数日でこんなに沢山のスキルをどうやって手に入れたの!? それに見たことも聞いたこともないスキルも! あなた何者!?」
思っていた以上に驚いてくれてすごく嬉しいです。けど教えてあげませーん。
私のスキルが気になって常にモヤモヤさせて、私の顔を見る度にソワソワさせてあげたい。
そんなお姉さんを私は見たいんです。ニチャァ…。
「秘密です」
「くっ! そこをなんとか!」
「えー、どうしようかなー?」
「お願いお願いお願い! みんなには内緒にするから!」
「うーん、でもなぁー?」
「何か欲しいものとかある!? お姉さんがなんでも買ってあげるからから教えて欲しいなぁ!」
「今は特に欲しい物は無いですね」
「じゃ、じゃあ、して欲しい事は!? お姉さんに出来る事ならなんでもしてあげるから教えて!」
「ん、今、なんでもって言いましたか?」
「え、ええ! スキルの事、教えてくれるならなんでもしてあげるわよ!」
「ふーん、なんでも、ねぇ……?」
「なんでも」なんて言われちゃうと、興奮しちゃうじゃないか……ふへへ。
「お姉さんのお名前を教えてください」
「スティアです!」
「年齢は?」
「26歳、独身です!」
「ご趣味は?」
「冒険者達の飲み話を聞く事です!」
「猫の物真似をしてください」
「にゃおーん!」
「発情したメス猫の物真似をしてください」
「はっ!? ……ごろにゃーん! ごろにゃーん!」
「可愛いですね。これお礼の1000エルです」
「どもども……って違うわよ!? スキルの事教えてよ!」
「また今度で。依頼、受けられますよね?」
「ぐぬぬぬ……!」
渋々といった感じで依頼票にスタンプを押してくれました。
お姉さんをからかうのやっぱり超楽しいですね。
このメスガキはいつか痛い目に遭うのではと思う前世のオタク君なのであった。
「街の門前で役所の調査員が待ってますので合流してから調査開始してくださいね!」
恨めしそうにこちらを見つめ続けているお姉さんを華麗にスルーして冒険者ギルドを後にし、門前に着くと金色の長髪がきらきら輝く耳の長い美人なお姉さんが腕を組んで待っていたので、スティアさんが言っていた役所の調査員だと思われます。
エルフかな? エルフでしょう。きっとエルフだよ。エルフに違いない。正しくエルフ! これでエルフじゃなかったら逆にビックリです。
それにしても露出度高い服だな! 全体的にスケスケだし、大きいおっぱいが零れ落ちそうだし、片足ニーソだし、10歳児に見せて良い服装じゃないぞ!
エロフ最高! イヤッッホォォォオオォオウ!
「本当にありがとうございます!!」
「……?」
余りにも眼福過ぎて、つい頭を下げてお礼を口走ってしまいました。
困惑した表情も最高ですね!
「あなたが依頼を受けてくれた子かしら?」
「あ、はい! ロトルルと言います! よろしくお願いします!」
「ふふ、元気が良いわね。私はンルヴァよ。よろしくね」
握手を交わし、早速調査に出発しました。良い香りがすりゅ……。
「今回の依頼は街周辺の見回り調査ですが、モンスターを見掛けた場合は速やかに駆除してもらいます。と言っても滅多に現れる事はありませんけどね」
絶世の美女が私に微笑み掛けてくれてますよ!
この依頼受けて本当に良かった!
神様ありがとうございます!
「……? 私の顔に何か付いてるのかしら?」
「な、何も無いです! すみません!」
「そう? なら良いんだけど」
無意識にガン見していたようです。
失礼の無いように今後は気をつけねば! でも気になっちゃう……女の子だもん。
平和な街の周辺を美女エルフと調査という名のお散歩デートをしながら見回り、人に仇なすモンスターや盗賊などが現れる事も無く無事に依頼達成、とはならなかったんだなぁこれが。フラグは立ててましたよ。ええ、不本意ながらバッチリと。
「あの、こんな森の奥まで調査するものなのでしょうか?」
「……」
「えっと……?」
「……本当に危なくなったら助けてあげる」
そう言い残してンルヴァさんが突然消えて居なくなり、私が驚いて呆然と立ち尽くしていると次の瞬間、狼の様なモンスターが何十匹という数で襲い掛かって来ました。
「ひっ!?」
私は慌てながらも飛行スキルで飛び上がり難を逃――。
「痛ッ!?」
全耐性アップスキルでそれほど痛みは感じませんでしたが鋭い物が頬を掠めて行きました。
「え……」
カラスの様なモンスターの大群が私目掛けて襲い掛かって来ていたのです。




