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目覚めたら画面のヒロイン  作者: もえもん
3/4

メンバーと出会う

「あら、アンナじゃないの。」

「久しぶりね」

「あなたの顔久しぶりに見たから忘れちゃったわよ」



「アンナ、クリスタルのメンバー達よ。挨拶して。」


「こ、こんにちは。赤井杏奈です。」


すると、私が自己紹介した途端、思いもない笑いが部屋中に起こった。


「あはは!そんなの知ってるわよ!」

「記憶喪失になってるんだからそういうとこは大目に見てあげないと可哀想よ、花さん。」

「そうよ、この子何にも知らないんだから。」


クリスタルのメンバーやマネージャーも含め、アンナを小馬鹿にしたような感じで笑っていて、私の存在を無視するように口々に話していた。


「売れっ子のアンナちゃんだったのに、何も覚えてないなんて可哀想ね。」

「これじゃあファンもそのうち離れていくんじゃないの?」


詳しい事情はまだ分からないが、少なくともアンナがクリスタルのメンバーから好かれていないことだけは感じることが出来た。

その時、


「クリスタルの皆さん、もうすぐ番組の打ち合わせがあるので準備してください!」


と声が聞こえたので、メンバーとそのマネージャー達は部屋を出て行ってしまった。どうやら今は自分以外のメンバー4人で活動しているらしく、私は一時活動休止と報道が出ているとの事だった。


だが、部屋を出ていく直前「おこぼれもらいのくせに」と私の耳元で呟かれたのを聞き逃さなかった。




「一難去ったってところね。それにしても相変わらず辺りのきついこと!」


「あの、私って嫌われてますよね?」

と聞くと、


「んー、まあ否定はしないわ。メンバーの中であなただけ売れ始めてるから妬んでるのよ。あの子たちはあなたのおこぼれもらってる感じだし。そんなに悔しかったら自分たちも売れてみろって話しよね!」と、沙耶さんが吐き捨てるように言ってくれた。


「おこぼれ」というワードを聞いて、さっき耳元で呟かれたことを思い出した。


「そうだ、さっき1人の女の人に『おこぼれ』って耳元で呟かれたんです。それってどういう意味ですかね?」

「あぁーきっとスキャンダルのことね。」

「スキャンダル?」

「そういや、まだ伝えてなかったわね。あなたが事故に遭う前に熱愛報道が出たの。それでしばらく芸能界をザワつかせていたのよ。」


あまりに沙耶さんがサラッと言ったので一瞬固まってしまった。


「え、私が熱愛!?あ、相手は誰ですか!?」

そう言うと沙耶さんは大きく息を吸い込んで、吐き出すように大きな声で言った。


「相手は…あのジヒョンよ!」


私はその名前を聞いて、また固まってしまった。


「ジ、ジヒョン!?ジヒョンってあのアイドルのジヒョンですか!?」

「そうよ、そのジヒョン。」


それを聞いて、前に「アンナとジヒョン熱愛」という記事が出ていたのを思い出した。でも私は詳しく内容を知ることが出来ないまま、事故にあってしまった。


「え、じゃあ事務所前で騒いでた女の子達って、、」

「ジヒョンのファンね。熱烈な方の」


それを聞いて背筋がヒヤリとしたのを感じた。

「あれって私を出せと言ってたってことですよね…」

「きっとね。でも安心して、あなた達本当は付き合ってないから。」


沙耶さんにそう言った意味が、すぐに理解出来なかった。


「付き合ってないってどういうことですか?熱愛報道出たんですよね?」

「熱愛報道が出たのは本当だけどそれは世間の注目を集めるためのフェイクよ。社長は最近ジヒョンを事務所の看板にするために、特に力を入れていたから、話題性を高めるために熱愛報道を出したってわけ。その恋人役に、少しずつファンが増えてきていたアンナ、あなたが選ばれたのよ。まあジヒョンの恋人っていう括りで話題になったことは事実だから、おこぼれっていう表現は間違いではないのよ」


「熱愛記事が話題性のためのフェイク」その事実を聞いて言葉が出なかった。そんな情報隠蔽が裏で行われているなんで想像したことすらなかった。


(アンナはジヒョンの人気に便乗させてもらったってこと?そんなことって…)


沙耶さんの話を聞いて、私が顔をしかめていると


「ジヒョンの人気に便乗させてもらったことに不服そうね。でもこれが芸能界の現実なのよ。消えるか残るかの世界。残るためにはどんな手でも使わないと生きていけないわ。」


沙耶さんの言っていることの意味は分かるが、キラキラしている芸能界しか知らない私にとってはショックだった。


(じゃあジヒョンのファンは嘘の記事をずっと信じているんだ。前の私だったら間違いなく同じようにショックを受けた)


「ジヒョンとの熱愛報道であなたの名前も知られるようになった訳だし、むしろジヒョンには礼を言うべきよ。」


沙耶さんの言うことは最もだったので、私はただ黙り込むしかなかった。

メンバー達をどのように悪く表現するかを悩みました。

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