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透明な蜥蜴

作者: 山辺 夜



 ある猟師が、村の西側の深い深い森の中で、一匹の透明な蜥蜴(とかげ)を見つけたそうな。



 猟師はそれに驚いて、じっと眺めてみるけれども、やっぱりそれは透明で、これは何か珍しい蜥蜴に違いないと、猟師は村に持ち帰ることにしたという。



 ところがこの蜥蜴が動かないものだから、一体生きておるやら死んでおるやら、猟師は蜥蜴に触るまで分からなんだそうだ。



 脈のあるので、蜥蜴が生きておるようだと確信した猟師は、これを村まで持って帰った。



 村の人々は、猟師の持ち帰った蜥蜴に仰天して、次々に騒ぎ立てたというから、やっぱりそれは珍しい蜥蜴に違いなかったと、猟師は誇らしげになっておったそうな。



 その騒ぎを聞きつけて、村の司祭がやってきたのだけれども、この司祭にも、その蜥蜴を見たことはなかったらしい。



 司祭はこの蜥蜴を祭壇の上に載せて、蜥蜴が良いものなのか悪いものなのか、占ってみることにしたそうだよ。



 占いの用意をして、さて神様に()いてみようと、村のみんなで祈りを捧げているうちに、蜥蜴は消えてしまったそうな。



 村のみんなは大層驚いて、司祭に占いの結果を尋ねたという。



 すると司祭は、蜥蜴が精霊になりかかっておって、身体の透けていたのは、このためだったのだと言うたそうな。



 占いの儀式で、あの蜥蜴は神様に一番近いところにおったから、神様が蜥蜴の徳の高いのに感心して、精霊になるのを手助けしたのだとも言うたそうな。



 村のみんなは大層この蜥蜴をありがたがって、祭壇に描いたというから、今もその祭壇には、蜥蜴の姿が刻まれておるそうだよ。



挿絵(By みてみん)


 猫屋敷たまる様より、FAいただきました!

 雰囲気があってとても良いです!

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― 新着の感想 ―
[一言] 非常に読みやすかったです。 子どもの頃昔話が好きでよく読んでいました。 その時のことをふと思い出しました。 温かみのある雰囲気が好きです。
[良い点] はじめまして!天音こかげと申します。 声に出して読みたい、と思った作品でした。 不思議な雰囲気と民俗風の文章がすごく好きです! 手法がとても面白いと思いました。 [一言] 共通のお気に入り…
2020/07/24 12:45 退会済み
管理
[一言] 再度、失礼します。 先の感想、確かめたいことがあり、誇張とぼかしを入れてしまいました。ごめんなさい。 気になった部分はそこじゃないですよ。文語と口語を混ぜているのはわかったのですが、感想…
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