Happy X'mas
更新が12/24なので、時系列的にはおかしいですが、間更新させて頂きます!
クリスマス…それは、何て魅惑的で甘美でそして素晴らしい響きなのだろう。
この世界は、私が前世でプレイしていたゲームの世界であり、乙女ゲーなのだから、勿論ゲーム同様クリスマスイベントが発生し、キャッキャウフフでスチルバンバン量産…………何て事はなく…クリスマスなんて存在しませんでした…。やはり、ゲームと現世は差異が存在する様ですわね…。
クリスマスに似たイベントや祭りがある…訳もなく、普通に過ぎ去る日常でした…えぇ…。なんて味気ないのでしょう…。
ですので、学園入学後は学園で布教し…何れは国中…いえ、世界に拡めるべく前準備の為に、入学前に城下とアイスフェルト領合同でクリスマスイベントを行う事にしましたの。比較的隣接している場所柄実現したと言っても過言では無いわね…。
先ずは、子供達にクリスマスの素晴らしさを布教し、子供達から親へ、親からご近所各位への井戸端会議布教を目論み、教会で子供達へ布教を行う事に。
因みに、我がアイスフェルト家では、私が3歳の時に布教(強請り)し、以後定例イベントにしました。えぇ、しましたの。
また、婚約をした年にはエデル王子を巻き込み、王家とアイスフェルト家合同パーティを行い、城内勤務者も巻込みつつも、王家とアイスフェルト家合同にしては、招待客もいないひっそりとしたパーティーに。
ですが、今年も合同パーティの企画を私とエデル王子がする事になりましたので、これを期に城下、アイスフェルト領両方を巻込み、大規模な祭りにしよう!と画策してますの。
「ねぇ、エデル王子?今年のクリスマスですけど、メイン会場は城下で良いですわよね?」
私は、忙しい合間を縫ってエデル王子と打合せをする。
因みに、アイスフェルト領では、教会を中心にマリーから布教活動をしてもらっている。
「おっ!例のパーティーっすか?」
身を乗り出し聞いてきたのはお馴染み、カリムだ。お祭り男らしく城下への布教にはカリムにも頼むつもりではある。
「えぇ、そうよ。年の瀬に今年一年の感謝を親しい人達に伝え、子供達には沢山のお菓子とオモチャのプレゼントで祝う皆が幸せになれるイベントよ。」
私は、身振り手振りを加え、とっても幸せで楽しいイベントだとクリスマスを伝える。
まぁ、この世界でイエスキリスト生誕祭と言っても理解はされないので、無難な理由でクリスマスと云うキーワードを布教している。
「良いっすね!皆が笑顔になれるイベントは沢山あっても困りませんしね!俺も協力するっすよ。」
はい、言質頂きました〜!協力するって言ったわね?言ったわね?ふふふ…
「では、カリムには城内、城下の人達に、12月24日から25日にかけて、日中夜問わず王都とアイスフェルト領でクリスマスパーティーを行う事を大々的にアピールして来て下さいませ。そうね…25日の夕方からは、アイスフェルト公爵家より素敵なお菓子のプレゼントがある事もアピールして来てくださいね。」
カリムなら、きっと元同僚たちである近衛兵をまきこみ…週内には王都中に広まっているだろう。
「イベント周知はカリムにお願いしましたし、パーティーの内装や細かい内容など突き詰めていきましょう。エデル王子となら出来ますわ!」
私は、エデル王子の手を取りニッコリと微笑む。
そう、クリスマスを広めるためには王族が直接関わり、国内行事にも率先して携わる…そんなイメージを付けなくては。
数年後の、学園でのクリスマスパーティー赤ワインドレス掛け定番イベント達成の為にも!鍛えに鍛えた私の悪役令嬢必須項目手首スナップを華麗に披露する為にも!!
是が非でも毎年恒例のイベント定着にしていかなければ…。
「リリアーナ…とりあえず、私はリリアーナ手作りお菓子が良いな…。」
「そうですわね…、子供達の為にも一口サイズのお菓子を沢山用意しましょう!そして、城とアイスフェルト公爵家を赤と緑のリボンでデコレーションしますわよ!」
こうして、着々と準備を進めていった。
◇
「メリークリスマス!!!」
「「「メリークリスマス!!!」」」
12月24日 クリスマス前夜祭開幕
合同イベントの企画運営から、早数カ月…、沢山の苦労もあったが先ず先ずのスタートを切れた。
前夜祭に先駆け、ひと月前には王による城下へのスピーチまでして頂いた。イケオジな王に、白い長いお髭と、赤い例の服を着て頂いてのスピーチ…、正に異例中の異例。
宰相を始め、政務官達のあんぐり顔は印象に新しい。
そして、前夜祭当日の今日…、王族を始め、関係者各位のドレスコード(主にアイスフェルト公爵家、城勤務の人達)は赤い例の服(女性陣は、赤であればどの様なデザインでもOK)で、正に記憶にあるクリスマスイベントな雰囲気だ。
「やっぱりツリーは、城前の噴水広場に設置して正解でしたわね。恋人達の待ち合わせにも最適ですし、何より沢山の子供達と飾り付けが出来て、本当に楽しめましたわ。」
城の正面門程の高さがあるもみの木を設置してくれたのは、カリムを始めとした近衛兵達。
もみの木を彩る飾りを作り、飾り付けをしたのは、王都、アイスフェルト領の子供達だ。
飾りのイメージは雪や星、キラキラとした物を飾ると綺麗かもね?とだけ伝え、デザインも作り方も各々好きな様にしてもらった。勿論、天辺に飾る一番星は、私とエデル王子で一生懸命作り、カリムに飾り付けてもらった。
「いや〜、凄いっすね!沢山の屋台も出てるし、老若男女問わず皆笑顔じゃないっすか。」
「赤と緑のコントラストも綺麗なもんだな。」
「ふふふ…それだけじゃありませんわ!夜には、城とアイスフェルト領を繋ぐ街道と、メインストリートを中心にしてツリーまでの道にランタンを設置予定ですのよ!」
「「そりゃやり過ぎだろう!!」」
いえいえ、24日から25日にかけて、キラキラを演出し、ワクワク感と沢山の人達が交流したり行き来出来る様に考えたのだ。
「いいえ?きっと、来年から定番になりますわよ?」
そして、その夜、手にロウソクを持った人々が、アイスフェルト領と王都を行き来する様子が伺えた。
また、教会から聞こえてくる讃美歌が、非現実感を演出し何とも神秘的で美しい光景だった。
「あ、雪…ですわね。ふふ…ホワイトクリスマス、初めてですわ。エデル王子、カリム、マリー、ハッピークリスマスですわ。」
私は、エデル王子達に手作りの焼き菓子と、メッセージカードを手渡した。
「ふふ、エデル王子、来年も必ず開催致しましょうね。」
「あぁ、必ず。」
こうして、クリスマスの夜は深けていく。
今年も、無事クリスマスパーティーを開催し、そして参加者みんなの笑顔が素敵なイベントになりましたわ。
「ふふ、ハッピークリスマス!今宵、全ての人達に幸せが訪れますように…。」
◇
さて、ここで余談ですが
この頑張り屋のリリアーナ・アイスフェルト公爵令嬢が翌朝目覚めると、枕元にはプレゼントが。
勿論、リリアーナは枕元にプレゼントを置く風習は伝えてはいませんでした。
さて、誰が枕元にプレゼントを置いたのでしょう。護衛や、優秀な侍女によると、夜中、深々と雪が降る中、鈴の音とフォーフォッフォという、軽快な笑い声が聞こえてきたそうです。
頑張り屋さんのリリアーナに、違う世界の赤い御爺様が、大きなトナカイに乗って、プレゼントをくれたのかもしれませんね。




