盾への祈り
むかしむかし、この国には大きな大きな盾がありました。
この盾はとってもとっても重たくて、国一番の力持ちでも担ぐことが出来ませんでした。
でもでも、この盾には古ーい伝説がありました。
それはもっともっとむかしのこと、わるーい怪物がこの国にやって来たときのことです。
わるーい怪物はとってもとっても熱い火を吹いて、すっごくすっごくかたいウロコは剣をはね返します。
そこで王様は国中の鍛冶屋さんに大きな大きな盾を作らせて、門の前に置きました。
わるーい怪物は盾をこわそうとがんばります。ばりばり。がりがり。ばりばり。がりがり。
しかし、とってもとっても頑丈な盾は傷つかず、怪物はあきらめて帰ってしまいました。
それからこの国はずっとずっと平和になりました。
そんなある日、あのわるーい怪物がまたまたこの国にやって来ました。
でも困ったぞ。大きな大きなあの盾は、国のみんなでお城に運んでしまっていたのです。
王様はどうしようと、とってもとっても困ってしまい、あの大きな盾に祈ります。
かみさま、ほとけさま、大きな盾さま。どうかあのわるいわるい怪物を追い払ってください。
お城のみんなも、町のみんなも大きな盾に助けて助けてと祈りました。
すると、大きな盾がピカピカっと光りだし、わるーい怪物と、大きな盾は消えて無くなりました。
それからこの国では、一年に一度、大きな盾にありがとうありがとうと感謝するお祭りが始まったそうです。