大賢者と再開
ある程度やんちゃな幼少期を過ごし、俺はようやく15歳となった。この世界では15歳になると魔法学園に通うらしい。例にもれず俺も学園に通うことになった。王族や貴族の子どもが多く通う学園で魔法を学ぶために通うらしい。多くの貴族の子息や子女たちがここで魔法を深く学び国のために強くなることを目的とするらしい。しかし、俺にはほかの目的がある。それは、破滅の歴史で俺の相棒だった大賢者を探すことだ。俺の長年の戦士の感があいつもこの国にいるといっている。同じ時期に学園にいるかまではわからないが探し人は元大賢者、いなくても貴族の子どもならなにか情報を知っているかもしれない。
「ついにシルバーも15歳か。早いものだな。」
「そうねぇ。でもシルバーならきっと優秀な生徒になるでしょうね。」
「あぁ、でもシルバーなら剣士としてでも優秀な成績を収められるだろうな。」
最初は俺が剣士になることに否定的だった父も母も今は俺の意思を尊重してくれている。ただし条件として最低限、魔法学園を
優秀な成績で卒業することを約束した。卒業した後は俺の自由にしていいと言ってくれている。
「入学するとしばらく会えなくなるわね。」
「学園は全寮制だからな。長期休みや仕事があれば帰ってくる。」
「休みが楽しみだな。」
俺が入学する魔法学園、ウォルヘン王国ラクトース魔法学園は王族貴族かかわらず全寮制で3年間通うことになる。長期の休みや家の仕事などがあれば帰ることができるが、基本親元とは離れることになる。
「会えなくなってもしっかり手紙を送って頂戴ね。」
「わかっている。」
「荷物は準備したのか?」
「昨日のうちにすべて終わっている。」
学園への入学にはどちらかというと俺よりも両親のほうがそわそわしているようだ。確かに明日には入寮するし、1週間後には授業も始まる。気持ちはわからなくもない。
結局入寮前の夜を両親に心配されながら終えた。
両親に心配されながらもようやく魔法学園に入寮した。寮には護衛や侍女などを連れてきていいようで、他の貴族の生徒たちは連れてきていたが俺はついて来ようとする者たちの提案を断り、寮の部屋には1人。それに加え公爵子息であるため、部屋はそれなりに広い。部屋は今年入学する同学年のファーラン王子の次に広いだろう。王子とは幼少期からの友人だ。どうやら部屋が近いらしい。もともと荷物も少ないし入学前でやることもないので王子で俺の友人のもとにあいさつでもしに行こう。
コンコンコン
「はい」
ファーランの部屋をノックして出てきたのは護衛のニックだった。こいつも同学年で王子の護衛も兼ねて入学するのだろう。
「なんだ、シルバーか。ファーラン様、シルバーが来ました。」
「シルバーか。入ってくれ。」
ファーランの部屋も荷解きは終わっていた。ファーランは俺を快く迎え、ニックはお茶を持ってくるといって席を離れた。
「これから3年間、お前と一緒か。」
「なんだ、嫌か?」
「嫌ではないさ。ただ、王子である俺よりも優秀であるお前がいると俺は苦労しそうだと思ってな。」
これからについて話しながらニックの持ってきたお茶を飲んだ。その後も1時間ほど3人で話し、俺は部屋に戻った。
入寮してから1週間、特に何事もなく時間は過ぎ、ついに入学を迎えた。
入学の挨拶は王子であるファーランが行い、入学式は無事終了した。その後、数日間は授業に慣れるために新入生はバタバタしていた。入学してから約1週間、俺はファーランとニックと雑談しながら廊下を歩いていた。
「なぁ、さっきの授業の先生、すごいお前に遜ってなかった?」
「当たり前だろう。ファーラン様は王子だぞ。」
「シルバーは無関心すぎだ。ちゃんと授業を聞いているのか?」
ふと、何かを感じ俺は前を見た。そこには侯爵家の子息である、アラン・フォン・ルージュが俺と同じようにこちらを見ていた。俺たちは立ち止まり数秒見つめあった後、先に向こうが口を開いた。
「...ライさん?」
侯爵家の子息、アラン・フォン・ルージュが俺の前世の名を口にした。