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「・・・」
「・・・」
つ、辛い・・・無言の車内がとてつもなく辛い!
あの後数分の内に車の支度までしてくれた暁とともに街へと繰り出すがどちらも話すことなどなくただただ重苦しい車内だ。なんて罰ゲームなんだろう・・・いや、そんなことを言っては私なんかのために時間を割いてくれてた暁に申し訳ない。雰囲気のことは気にせずに、迷惑もかけないようにしよう、あと他のことを考えよう。
そうだお土産だ。何買おう?お菓子とかでいいかな?無難に。まあ食べ物なら苦手でもどうにかなるでしょ、他の人にあげればいいし・・・あ、どうやって渡そう、手渡しは難易度高いなー無理だわーとなるとどっかに置いて置く方向にするか、名前書いときゃなんとかなるなる。
じゃあお土産を買うとして・・・あ、お金いくら持ってたんだろ?
財布の中を確認してすぐにしまった。しっかりと。厳重に。
なんで万札が5枚も入ってるんだ!!お小遣いか!多いわ!社会人になってからもこんなに持ち歩くことなんてめったになかったぞ!なんで分けて使うことをせず全部財布に入れてたんだ思い出す前の私!!馬鹿か!!いや、馬鹿だったわ!
「お嬢様、到着いたしましたが?」
「はっ、え、ええ、ありがとう。」
お土産についての熟考や過去の愚かな自分にツッコんでいる内に到着したらしく暁が後部座席のドアを開けてくれていた
荷物をもって降りると暁がすかさず荷物を持ってくれた、目にもとまらぬ速さに驚いて呆然としてしまう
前世でもプレイヤー達の間で暁は忍者説が出てたけれど本当に忍者なのかもしれない
「お嬢様?」
「・・・いえ、なんでもないわ。」
「そうですか。」
車から降りてリサイクルショップに向かおうとして気づく、どこにリサイクルショップあるか調べてくるの忘れた・・・前世を思い出す前に何度か買い物などに来ているはずだが高級店などが殆どで記憶の中にリサイクルショップの存在がない、まあお嬢様だったから、知らないか・・・
「あー・・・暁、リサイクルショップがどこにあるかわかるかしら?」
「ええ、こちらですね。少し失礼します。」
そういって今まで後ろに控えていた暁が横を歩いてくれる、しかも私の歩く速度に合わせてゆっくりと。流石超人使用人。動きがとてもスマートだ
暁に案内してもらってリサイクルショップへと到着する、小さなリサイクルショップのはずなのに扉を開けてくれる暁のおかげで高級店のような雰囲気になる、不思議だ・・・
入店してそのままレジへと直行すると店員さんが暁を従える私をみて驚いたようだったけど仕方ないだろう
「すみません、この品を買い取っていただけますか?」
暁に目を向けるとさっと紙袋を店員に渡してくれる
店員は少々おびえながら商品を確認していく、誠に申し訳ない
査定大丈夫かなー?と店員さんが確認し始めようとしたところで暁さんが店員さんに何かを伝える
するとすぐに店員さんはどこかへと電話した
「暁?」
「ああ、いえ、お嬢様が持っているものはブランド品も多いので・・・個人経営の店ですが此処にはブランド品を見分けれる人間がいるので。」
「そうなの・・・詳しいわね。」
大抵リサイクルショップでは安値で買い取られる。前世では大量に売っても3000円行くか行かないかくらいだったこともある。まあ、前世で売りに行っていたのは本が殆どだったけれど
そんなことを考えているとちょっと中年ぐらいのやさしそうな背の高くてひょろっとしたおじさんが出てきて、私と暁にあいさつをしてした後査定を始めた
査定中暇なのでぶらぶらと店内を見てまわる、確かに高価そうなブランド品や時計、宝石も多い。なるほど、あの人が査定できるからブランド物はここに持ってきた方がいいのか
最近はネットでオークションなんかがあるが、そんなことをしたこともない私のような人間にとっては実際に売りに来る方が早い
暫くふらふらと見回ったあとレジに戻ると丁度査定が終わっていたようだ
書類を書いてくれている暁の隣に立つと予想外な値段に驚く、諭吉さんが何人もいるではないか・・・
査定金額をちらりとみるとそこには金やブランド名の文字が。やけに綺麗なアクセサリーだなあとか、触り心地がいい服とか、精巧なおもちゃだなあとか思ってはいたけどここまでか
ちょっとげっそりしてしまいながらも、書類をかいた暁が買い取り金額を手渡してくる。うん、すぐに貯金しよう
店主にもお礼を言って、ついでに店に売っていたお札も入る可愛いアンティーク調の貯金箱を買って店を出た。これからは貯金しよう
車に戻るまでに見つけたお菓子屋さんに寄ってもらいケーキやプリンなども購入する、これでお土産も良し
何か精神的疲労を感じながら車揺られ、窓の外を見る。へー意外といろんなお店屋さんがあるなー
今度は服を買いに来てみようかな、絶対着るつもりのない服は売っちゃったからクローゼットに空きが出来たし。
行きの時ほどの重苦しい空気は感じずに家に到着する。
同じように暁が扉を開けてくれた
「今日は急に突き合わせて申し訳なかったわ。ありがとう。」
「いえ・・・」
驚いた風をなるべく顔に出さないようにしているけど眉が少し動いているのが分かる。ふむ精進が必要ですな。
「これ、暁にもあげるわ。私は部屋に戻るから。」
「は・・・ありがとうございます。」
先ほどのお菓子屋さんで他に購入したクッキーを手渡す、褒美じゃ受け取れ、とはこのような感じなのだろうか。
相変わらず呆ける暁を置いて屋敷の中へと入る。
おっと忘れちゃだめだめ。部屋に戻る前にお土産置いてこないと。
厨房に誰もいないか確認してこっそり入り、ケーキのは箱にわかりやすく【龍太の】と書いておくこれで完璧!冷蔵庫にしまって本日のミッションクリア!
さあお部屋に帰ろう!勉強しよう!そう意気込み意気揚々と部屋へと戻った