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ばっと部屋のクローゼットをを開けると全体的にピンクの服が多い気がする。あとは、母がまだ生きていてなおかつ、父も母も体裁を保とうとしていた時期があり、その時パーティに参加するために用意されたドレスが数着だ

こちらも見事にピンク、しかも結構濃い色だ

東雲零の顔的に暖色よりも寒色が似合うと思うし、暖色ならばパステルカラーの方が良いと思う。

ドレスは流石に売ったら不味いかもしれないが、普段着なら売ってもいいかな?いいよね、似合わないもの持っててもしょうがないし。

クローゼットの中を見てこれからどう考えても着なさそうな普段着も袋に詰める、両手に紙袋で大荷物だ

肩掛けカバンも持ち、その中に財布を突っ込んで部屋を出る


「さて・・・」


きょろきょろと周りを見渡すがもちろん人はいない、使用人を探さねば

当初1人で行く予定であったが、ここで問題が1つ生じた。私は未成年、身分証明できるものは学生証くらいである。

住所なんてものは書かれていないので身分証としては不十分な上に金持ち私立の学生証を見せるなんて迂闊すぎる。そうなると必要になるのは成人だ。誰かついてきてくれる人がいればいいんだけど


「いかがなされましたか?」

「ああ、暁、ちょうどよかった。」


黒髪をオールバックにして三白眼の黒目でこちらを見る、無表情の若い青年。使用人頭の暁だ

ゲームでは23という若さで使用人頭、主人公たちのサポートから運転手、教育係まで務める超人。ぱっと見は暗殺までできそうだ。今この世界はゲームの3年前だがもうゲームの彼が完成されている。

彼は本編では攻略対象ではなくサポートという立場であったが、とても人気があったのでファンディスクでは攻略対象へと昇格したキャラだ


「今から買い物に出ようと思うのだけど、身分証明を持っている使用人に一緒に来てもらいたいの。誰か頼めるかしら?」


龍ちゃんの時は相手のペースに呑まれて、前世の砕けた話し方をし過ぎていたが忘るべからず、私も一応お嬢様、疎まれていようとお嬢様。きちんとお嬢様らしく話していこう


「身分証明書ですか・・・屋敷の使用人では私くらいしか免許証を持っていませんが」

「あ、そうなの」


おい!運転免許証位取りましょう?!たとえ車に乗らなくても身分証明になるんですよ!

って、あ、そうか、この屋敷の使用人でこの屋敷が住所な人間ってこの人くらいか・・・

ファンディスクで明らかになるのだが、彼は幼いころ両親を亡くし天涯孤独の身となった。そこで彼の両親の知り合いであった私の祖父がこの家に連れてきて使用人として働くことになったという過去がある。なので住所もこの家。

一方他の使用人は住んでこそいるものの実家の住所や自分の家が有り、そっちで登録がされているであろう


うーん、困った。彼は私に対しても嫌な顔をしない唯一の使用人(無表情なだけかもしれない)だけど、使用人頭として暇ではないだろう。それに新しい家族のこともある、これからが彼の本領が発揮されるはずだ

そんな彼を連れ出すわけにはいかないだろう

あ、保険証、それでもいいな・・・病院に何度か行ってはいるが付き添いが使用人だったので暁が管理してるかもしれない


「それじゃあ私の保険証は暁が管理しているのかしら?」

「ええ、まあ、そうですが・・・お嬢さまは一体何をなさるおつもりですか?」


いつもと変わらぬ無表情だが、怪訝そうに尋ねてくる。威圧感が半端ない


「リサイクルショップに行って不要な物をうってくるだけよ。それで売るときに身分証明書が必要なの。」

「は・・・・?」


無表情を崩してぽかんとこちらを見てくる暁、なんだその顔は。まあ言いたいことはわかる。今まで我儘に欲しいものを買ってきたお嬢様がいきなりリサイクルショップでものを売るなんて言い出したら訳が分からないだろう


「部屋に不要な物が多かったから片付けたの、もうぼろぼろな物もあったけれどまだ真新しいものもあって勿体ないでしょう?捨てるくらいなら売った方がいいと思って。」

「お嬢様もしかして具合がよろしくないのでは・・・?」

「頗る好調よ。」


副音声で頭の具合がよろしくのないのでは?と聞こえた気がするが気にしない

もしかして自分の調子が良くないのではとぐりぐり蟀谷を押し始める暁、残念だけど誰の調子も悪くないとは思うし目の前の出来事は現実だ


暫く蟀谷を触っていた暁だが、蟀谷から手を放してこちらを見る。すると暫く黙り込み何かを考えてから


「そうですね、少々お待ちください。私がお供いたしましょう。」

「え!いや、でも、暁は色々忙しいでしょう?」

「いえ、今日は大丈夫ですので他の使用人に指示を出し次第出発いたしましょう。」

「そ、そう?ならお願いするわ、ありがとうね。」


そうするとまた目をぎょっと開いて信じられないようなものを見ている顔をした後、はっとして


「失礼しました。お部屋でお待ちくださいませ。失礼します。」


とだけ言って去っていった。私のお礼に驚いたんだろうけれど・・・うん、最後のは本当に失礼な顔だったと思うから本編開始前までにはそこらへんも鍛えておいてほしい。

本編では紫音さんがどんな突拍子もないことしても無表情だったのだから今から練習だと思えばいいとおもうよ。






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